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ソータはそのまま、中央都市へ飛空艇でとんぼ返りすることになった。アオナの王の最後の命令である。それを命じられたのが、自分で嬉しいとソータはニヤニヤした。
「ソータナレア様、何かあったのですか?」
パペに不思議そうに尋ねられて、ソータは素直に答えた。パペも合点がいったという顔をしている。
「私もシヴァ様に命令されるのは嬉しいので、お気持ちはよく分かります」
「パペはなんでも出来るもの。ねえキメル」
「ブル」
「そろそろお食事にしましょう。食べなければ元気が出ません」
「わぁ、嬉しい」
ソータはいつの間にか普段の口調になっている。パペとはなんとなく、特別仲良くなれそうなそんな気がしたのだ。
「ソータナレア様はよくお笑いになられますね」
ふとパペにそう言われて、ソータは顔が熱くなった。もしかしたら気持ち悪かったかもしれない。
「へ…変だったかな?」
パペがふっと、表情を緩めた…気がした。
「ソータナレア様の笑顔は皆さんを癒やしてくれると私は確信しています」
「!!」
例えリップサービスだとしても嬉しい。そしてパペの作る料理も絶品で、ソータは更に嬉しい気持ちになった。
「おーい、ソータ!」
声が聞こえる。ソータは飛空艇の窓に駆け寄った。この飛空艇はものすごく速い。それについてこられるのは相当な能力の持ち主だ。
「ハ・デス様?!」
飛空艇の隣を彼は楽々と飛んでいる。やはりそれなりに高位な神だから可能なのだ。
「先に中央都市に行っているからな!ったく、リヒにこき使われてたまんねえよ」
なんだかんだ文句を垂れているが、彼は楽しそうである。ソータは彼にまた後でと手を振って見送った。
中央都市を改めて空から眺めると、土地の様子がよくわかった。ほぼ地面が抉れ、黒い土がむき出しになっている。本来なら、アスファルトで舗装されていたはずだ。ソータは被害の大きさに震えていた。もし、リヒが予知をしていなかったらと思うと背筋が冷たくなる。
「すごいな」
キメルも同じことを思っていたらしい。ソータの隣で呟いた。
「絶対に元通りにする」
ソータの決意にキメルが頷いてくれた。
「間もなくターミナルに到着します」
パペが言う。
「そういえば、私は一体どうしたら?」
肝心なことを何も知らなかったとソータは慌てた。
「それはシヴァ様からお話があるかと」
「全てシヴァ様に頼り切りなのです」
ソータはうぅと呻いた。神々の前ともなると聖女として自分が出来ることはごく僅かである。だが、出来ることは全力でやろう、そう決意した。
飛空艇は静かに着陸する。パペは再びソータが船から降りるのに手を貸してくれた。
「あら、速かったじゃない。さすがあたしのパペ」
シヴァが当然のようにターミナルにいて、ソータは驚いた。だが今までも神々はどこにでも現れている。彼らは基本的に自由なのだ。
「シヴァ様、お待たせ致しました」
パペが優雅にお辞儀をするので、ソータも倣って頭を下げる。
「あら、全然よ。来て頂戴」
シヴァに連れてこられたのは教会の隣にある学校の校庭だった。そこに四人の子供達が制服を着て佇んでいる。男の子二人、女の子二人だ。
「紹介するわね。この子たちは精霊なの。これから人間を助けるためにあたしが直々に指導していたんだけど」
ふふ、とシヴァが笑う。
「ソータ、あんたが人間のことを教えてあげてくれない?」
「わ、私がですか?」
「ソータはいくつかしら?」
「15です」
シヴァが笑いながら手を打つ。
「あら、若いわね!でもこの子たちよりお姉さんなんだもの。出来るわよね?」
まさか、とソータは思った。
「あ、あの、シヴァ様。それが土地を復活させた対価…なのですか?」
「あら、それだけじゃ全っ然足りないのよ。この子たちに精霊らしい振る舞いを教えて、必要なアイテムを持ってきてもらわなくちゃ」
ソータは視界が揺らぐ思いがした。
「大丈夫よ、ソータ。キメルもパペもいるじゃない、あ、ハ・デスも一応いるけど、どうなのかしらね」
ソータはなんとかその場に踏みとどまった。自分は聖女だ。常にタフで無ければならない。
「分かりました。やってみるのです」
「お願いね、あたしの聖女ちゃん」
ぱちり、とシヴァはウインクをして消えた。ソータは子供たちの元に向かった。だが、なんと声を掛けたものか分からない。
「え、えーと…」
「ソータ、頑張れ」
キメルが応援してくれる。パペも心配そうに見つめていた。
「私はソータナレアという者です。えーと、聖女を任されていて…」
「なんだ?こんなチビが聖女?」
「弱そう…大丈夫なの?」
子供たちの不遜な言葉に、キメルが今にも飛びかかりそうになっているのをソータは必死に抑えた。
「駄目ですよ、キメル!子供たちに悪意はないのです!」
ふー、ふー、とキメルが荒く息をしている。
「なんだよ。馬だかペガサスだかはっきりしろよな」
「えー、こんなでかくて重たそうなの飛べないよ流石に!」
あははと子どもたちが沸く。キメルは再び飛びかかろうとしてソータに抑えられている。
「おーい、お前ら。そろそろ教室…って…」
ソータは声を掛けてきた彼の顔を見て驚いてしまった。
「サラ先生!」
子どもたちがサラに駆け寄る。女の子に至ってはサラの足に縋り付いている。
「変な女が来たんだ!早く追い出してよ!」
「シヴァ様が騙されてるの!」
子どもたちの声にサラがあー、と呟いた。
「じゃー、模擬戦でもするか?」
「えー、あんな弱っちそうなのに負けるわけ無いじゃん」
子どもたちがそうだそうだと騒いでいる。サラはまあまあと彼らを諌めた。
「ならあの子に勝ったら次の小テストの範囲教えてやるよ」
「えー!ナシにしてよー!」
「ほら、やってこーい」
「サラ先生、ちゃんとあたしの活躍、見ていてよね!」
子供たちが位置に付いたのでソータも位置に付いた。
「はじめ!」
サラの号令がかかる。
「ソータナレア様、何かあったのですか?」
パペに不思議そうに尋ねられて、ソータは素直に答えた。パペも合点がいったという顔をしている。
「私もシヴァ様に命令されるのは嬉しいので、お気持ちはよく分かります」
「パペはなんでも出来るもの。ねえキメル」
「ブル」
「そろそろお食事にしましょう。食べなければ元気が出ません」
「わぁ、嬉しい」
ソータはいつの間にか普段の口調になっている。パペとはなんとなく、特別仲良くなれそうなそんな気がしたのだ。
「ソータナレア様はよくお笑いになられますね」
ふとパペにそう言われて、ソータは顔が熱くなった。もしかしたら気持ち悪かったかもしれない。
「へ…変だったかな?」
パペがふっと、表情を緩めた…気がした。
「ソータナレア様の笑顔は皆さんを癒やしてくれると私は確信しています」
「!!」
例えリップサービスだとしても嬉しい。そしてパペの作る料理も絶品で、ソータは更に嬉しい気持ちになった。
「おーい、ソータ!」
声が聞こえる。ソータは飛空艇の窓に駆け寄った。この飛空艇はものすごく速い。それについてこられるのは相当な能力の持ち主だ。
「ハ・デス様?!」
飛空艇の隣を彼は楽々と飛んでいる。やはりそれなりに高位な神だから可能なのだ。
「先に中央都市に行っているからな!ったく、リヒにこき使われてたまんねえよ」
なんだかんだ文句を垂れているが、彼は楽しそうである。ソータは彼にまた後でと手を振って見送った。
中央都市を改めて空から眺めると、土地の様子がよくわかった。ほぼ地面が抉れ、黒い土がむき出しになっている。本来なら、アスファルトで舗装されていたはずだ。ソータは被害の大きさに震えていた。もし、リヒが予知をしていなかったらと思うと背筋が冷たくなる。
「すごいな」
キメルも同じことを思っていたらしい。ソータの隣で呟いた。
「絶対に元通りにする」
ソータの決意にキメルが頷いてくれた。
「間もなくターミナルに到着します」
パペが言う。
「そういえば、私は一体どうしたら?」
肝心なことを何も知らなかったとソータは慌てた。
「それはシヴァ様からお話があるかと」
「全てシヴァ様に頼り切りなのです」
ソータはうぅと呻いた。神々の前ともなると聖女として自分が出来ることはごく僅かである。だが、出来ることは全力でやろう、そう決意した。
飛空艇は静かに着陸する。パペは再びソータが船から降りるのに手を貸してくれた。
「あら、速かったじゃない。さすがあたしのパペ」
シヴァが当然のようにターミナルにいて、ソータは驚いた。だが今までも神々はどこにでも現れている。彼らは基本的に自由なのだ。
「シヴァ様、お待たせ致しました」
パペが優雅にお辞儀をするので、ソータも倣って頭を下げる。
「あら、全然よ。来て頂戴」
シヴァに連れてこられたのは教会の隣にある学校の校庭だった。そこに四人の子供達が制服を着て佇んでいる。男の子二人、女の子二人だ。
「紹介するわね。この子たちは精霊なの。これから人間を助けるためにあたしが直々に指導していたんだけど」
ふふ、とシヴァが笑う。
「ソータ、あんたが人間のことを教えてあげてくれない?」
「わ、私がですか?」
「ソータはいくつかしら?」
「15です」
シヴァが笑いながら手を打つ。
「あら、若いわね!でもこの子たちよりお姉さんなんだもの。出来るわよね?」
まさか、とソータは思った。
「あ、あの、シヴァ様。それが土地を復活させた対価…なのですか?」
「あら、それだけじゃ全っ然足りないのよ。この子たちに精霊らしい振る舞いを教えて、必要なアイテムを持ってきてもらわなくちゃ」
ソータは視界が揺らぐ思いがした。
「大丈夫よ、ソータ。キメルもパペもいるじゃない、あ、ハ・デスも一応いるけど、どうなのかしらね」
ソータはなんとかその場に踏みとどまった。自分は聖女だ。常にタフで無ければならない。
「分かりました。やってみるのです」
「お願いね、あたしの聖女ちゃん」
ぱちり、とシヴァはウインクをして消えた。ソータは子供たちの元に向かった。だが、なんと声を掛けたものか分からない。
「え、えーと…」
「ソータ、頑張れ」
キメルが応援してくれる。パペも心配そうに見つめていた。
「私はソータナレアという者です。えーと、聖女を任されていて…」
「なんだ?こんなチビが聖女?」
「弱そう…大丈夫なの?」
子供たちの不遜な言葉に、キメルが今にも飛びかかりそうになっているのをソータは必死に抑えた。
「駄目ですよ、キメル!子供たちに悪意はないのです!」
ふー、ふー、とキメルが荒く息をしている。
「なんだよ。馬だかペガサスだかはっきりしろよな」
「えー、こんなでかくて重たそうなの飛べないよ流石に!」
あははと子どもたちが沸く。キメルは再び飛びかかろうとしてソータに抑えられている。
「おーい、お前ら。そろそろ教室…って…」
ソータは声を掛けてきた彼の顔を見て驚いてしまった。
「サラ先生!」
子どもたちがサラに駆け寄る。女の子に至ってはサラの足に縋り付いている。
「変な女が来たんだ!早く追い出してよ!」
「シヴァ様が騙されてるの!」
子どもたちの声にサラがあー、と呟いた。
「じゃー、模擬戦でもするか?」
「えー、あんな弱っちそうなのに負けるわけ無いじゃん」
子どもたちがそうだそうだと騒いでいる。サラはまあまあと彼らを諌めた。
「ならあの子に勝ったら次の小テストの範囲教えてやるよ」
「えー!ナシにしてよー!」
「ほら、やってこーい」
「サラ先生、ちゃんとあたしの活躍、見ていてよね!」
子供たちが位置に付いたのでソータも位置に付いた。
「はじめ!」
サラの号令がかかる。
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