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里長の屋敷はルーゴの住む屋敷より更に豪華なものだった。いかにも高そうな壷が飾られていたり、襖一つをとってもあちらこちらに金箔が使われている。目利きの出来るソータからすれば凄まじい価値に驚くことしか出来ない。
奥の部屋に通され、ソータたちは床に正座をした。幻獣の姿であるキメルもその場に座る。
「キメル、何があったか話してくれるか」
キメルは事の経緯をかいつまんで話した。中央都市の店にあった不出来な魔剣の存在、そして先ほどタキナミの家でみた完成度の高い魔剣のデータも出す。
「このタキナミという女に、ここで一度魔剣を作らせてみたらどうだ?技術をこいつが独自に発展させている可能性が否めない」
ざわと周りがどよめいた。里長は先ほどから目を閉じてキメルの話を聞いている。
「真龍の技術を発展だって?もう技術は完成されているはずじゃ」
「このタキナミは真龍の技術を全て教えてもらってるわけじゃねえ。それに店にタキナミが作った魔剣を持ち込んだのはサルト、お前だな?」
「ああ、そうだ。俺はそういう技術はさっぱりでな目利きも得意じゃない。恥ずかしい限りだが」
「ならやらせてみよ」
里長が言うとしん、とその場は静まり返った。
「あ、あの、私がここで魔剣を作ればいいのですか?」
やっとタキナミは事態を飲み込んだらしい。
「ああ、すぐ準備をさせよう」
サルトが言うと他の真龍も動き出した。
***
ざわざわと真龍たちが集まって、これから何が起きるのかと窺っている。タキナミはエプロンを着けて腕まくりをした。
「タキナミ、周りは気にするな。あんたはいつも通りにやればいい」
キメルとソータは彼女のサポートをするため傍にいた。
「ではやらせていただきます」
タキナミが魔剣を作成した期間は三日を要した。それでも短い方らしい。彼女による物体に魔力を込める技術に真龍族の者たちは驚いたらしい、その技術に歓声が起こったくらいだ。
「なんだ、あの札は」
「すごいな…!」
タキナミはシオウと同じ式神使いらしい。だが彼女の式神は戦うためのものではない。魔力を物質に込めるのに特化したものである。しかもタキナミの魔力が籠った札は誰が使っても同じ効果を得るらしい。
「なるほど、式神にそういう使い方があったとはな」
キメルも感心してこう漏らしたくらいだ。ソータも彼女の力に驚いていた。そして、完成した魔剣は里長の前に献上された。里長がその魔剣を持つ。そして目を見開いた。
「む…軽い」
「あ、あの、武器はやっぱり軽くないと…長時間持って移動するわけですし」
「むう…」
里長がしばらくしげしげと魔剣を眺めて置いた。そして言う。
「これは真龍の技術を独自に発展させたものだ。オリジナルと言ってもいい。我々はいつの間にか慢心していたようだ。サルト、お前がしたことは決して許されることではない。タキナミさんと共に技術を磨け」
「!!…里長!!ありがとうございます!」
サルトが平伏している。
「キメル、聖女よ。お主たちに頼みたいことがある」
里長に言われて二人は彼を見つめた。
「ドラゴを立派な真龍に育て上げてほしい」
「あいつの成長を傍でみてやらなくていいのか?」
キメルが笑うと里長もふ、と笑った。
「なにせ隠しているからな」
「全く。とんだ腹黒爺だぜ」
キメルの暴言とも取れる言動に他の真龍たちが慌て出す。だが、里長はおかしそうに笑い出す。
「キメルよ、この生意気な小僧め、ふっ、はははは」
真龍たちはその様子にぽかんとしていた。
✢✢✢
「あ、あの、私は魔剣を造り続けて大丈夫なのでしょうか?」
真龍の里を後にしている。キメルの背にソータとドラゴ、そしてタキナミが乗り、更にその後ろからはサルトが翼を広げてついてくる。
「はい。タキナミ様の技術はオリジナルと認められたのです。できればその技術をもっと広めていただけると助かります」
「えぇ?!私が教える?」
「あとお願いがあるのです、キメルいいよね?」
「あぁ、もちろんだ」
キメルはスピードを上げた。カイガラをとっくに通り過ぎ、中央都市へ向かっている。
「サルト、お前、いっくら目利きが出来ないからって未完成の不出来な魔剣を売りに行くな」
うぐ、とサルトが声を詰まらせる。
「仕方がなかったんです。サルトさんの所属する部のノルマだったから」
タキナミが困ったように言う。
「店主のラコスタが困っていた。真龍の魔剣なのに、売り物にならないってな」
「だからタキナミ様にその魔剣の調整をお願いしたいのです」
「はい。完璧にしてみせます!」
タキナミがぐっと拳を握る。キメルは下降し始めた。間もなくラコスタの店に到着する。タキナミとサルトをラコスタに会わせ、ソータは事情を説明した。キメルがラコスタにタキナミの造った魔剣のデータを見せると彼の目の色が変わった。
不出来だった魔剣二本をタキナミは引き取り、サルトが彼女ごと抱えてカイガラへ戻って行った。
「よし、俺たちも中央に戻るか」
「うん、パペにお礼を言わなきゃいけないもんね」
ふふ、とソータが笑うとキメルが頷く。
「ぎゅあ?ソータ、キメル」
眠っていたドラゴがもぞりと起き上がり、ぽむと人間の姿になる。まだ幼児だ。ソータはそんなドラゴを抱き上げた。
「ドラゴ、お腹空いたよね」
「うんっ!」
ドラゴが元気よく頷く。三人は中央都市に戻った。
奥の部屋に通され、ソータたちは床に正座をした。幻獣の姿であるキメルもその場に座る。
「キメル、何があったか話してくれるか」
キメルは事の経緯をかいつまんで話した。中央都市の店にあった不出来な魔剣の存在、そして先ほどタキナミの家でみた完成度の高い魔剣のデータも出す。
「このタキナミという女に、ここで一度魔剣を作らせてみたらどうだ?技術をこいつが独自に発展させている可能性が否めない」
ざわと周りがどよめいた。里長は先ほどから目を閉じてキメルの話を聞いている。
「真龍の技術を発展だって?もう技術は完成されているはずじゃ」
「このタキナミは真龍の技術を全て教えてもらってるわけじゃねえ。それに店にタキナミが作った魔剣を持ち込んだのはサルト、お前だな?」
「ああ、そうだ。俺はそういう技術はさっぱりでな目利きも得意じゃない。恥ずかしい限りだが」
「ならやらせてみよ」
里長が言うとしん、とその場は静まり返った。
「あ、あの、私がここで魔剣を作ればいいのですか?」
やっとタキナミは事態を飲み込んだらしい。
「ああ、すぐ準備をさせよう」
サルトが言うと他の真龍も動き出した。
***
ざわざわと真龍たちが集まって、これから何が起きるのかと窺っている。タキナミはエプロンを着けて腕まくりをした。
「タキナミ、周りは気にするな。あんたはいつも通りにやればいい」
キメルとソータは彼女のサポートをするため傍にいた。
「ではやらせていただきます」
タキナミが魔剣を作成した期間は三日を要した。それでも短い方らしい。彼女による物体に魔力を込める技術に真龍族の者たちは驚いたらしい、その技術に歓声が起こったくらいだ。
「なんだ、あの札は」
「すごいな…!」
タキナミはシオウと同じ式神使いらしい。だが彼女の式神は戦うためのものではない。魔力を物質に込めるのに特化したものである。しかもタキナミの魔力が籠った札は誰が使っても同じ効果を得るらしい。
「なるほど、式神にそういう使い方があったとはな」
キメルも感心してこう漏らしたくらいだ。ソータも彼女の力に驚いていた。そして、完成した魔剣は里長の前に献上された。里長がその魔剣を持つ。そして目を見開いた。
「む…軽い」
「あ、あの、武器はやっぱり軽くないと…長時間持って移動するわけですし」
「むう…」
里長がしばらくしげしげと魔剣を眺めて置いた。そして言う。
「これは真龍の技術を独自に発展させたものだ。オリジナルと言ってもいい。我々はいつの間にか慢心していたようだ。サルト、お前がしたことは決して許されることではない。タキナミさんと共に技術を磨け」
「!!…里長!!ありがとうございます!」
サルトが平伏している。
「キメル、聖女よ。お主たちに頼みたいことがある」
里長に言われて二人は彼を見つめた。
「ドラゴを立派な真龍に育て上げてほしい」
「あいつの成長を傍でみてやらなくていいのか?」
キメルが笑うと里長もふ、と笑った。
「なにせ隠しているからな」
「全く。とんだ腹黒爺だぜ」
キメルの暴言とも取れる言動に他の真龍たちが慌て出す。だが、里長はおかしそうに笑い出す。
「キメルよ、この生意気な小僧め、ふっ、はははは」
真龍たちはその様子にぽかんとしていた。
✢✢✢
「あ、あの、私は魔剣を造り続けて大丈夫なのでしょうか?」
真龍の里を後にしている。キメルの背にソータとドラゴ、そしてタキナミが乗り、更にその後ろからはサルトが翼を広げてついてくる。
「はい。タキナミ様の技術はオリジナルと認められたのです。できればその技術をもっと広めていただけると助かります」
「えぇ?!私が教える?」
「あとお願いがあるのです、キメルいいよね?」
「あぁ、もちろんだ」
キメルはスピードを上げた。カイガラをとっくに通り過ぎ、中央都市へ向かっている。
「サルト、お前、いっくら目利きが出来ないからって未完成の不出来な魔剣を売りに行くな」
うぐ、とサルトが声を詰まらせる。
「仕方がなかったんです。サルトさんの所属する部のノルマだったから」
タキナミが困ったように言う。
「店主のラコスタが困っていた。真龍の魔剣なのに、売り物にならないってな」
「だからタキナミ様にその魔剣の調整をお願いしたいのです」
「はい。完璧にしてみせます!」
タキナミがぐっと拳を握る。キメルは下降し始めた。間もなくラコスタの店に到着する。タキナミとサルトをラコスタに会わせ、ソータは事情を説明した。キメルがラコスタにタキナミの造った魔剣のデータを見せると彼の目の色が変わった。
不出来だった魔剣二本をタキナミは引き取り、サルトが彼女ごと抱えてカイガラへ戻って行った。
「よし、俺たちも中央に戻るか」
「うん、パペにお礼を言わなきゃいけないもんね」
ふふ、とソータが笑うとキメルが頷く。
「ぎゅあ?ソータ、キメル」
眠っていたドラゴがもぞりと起き上がり、ぽむと人間の姿になる。まだ幼児だ。ソータはそんなドラゴを抱き上げた。
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