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21話
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「皆!優勝目指して頑張ろうぜ!」
次の日の昼休み、僕たちは体育祭の種目の1つであるクラス対抗の大縄跳びの練習をしていた。大縄跳びは皆の呼吸を合わせるのが大事だ。先程から何度も縄に引っかかってしまう。皆で連続で跳ぶのは難しいな。
なにかコツみたいなのがあるんだろうか?
とにかくひたすら練習するしかないんだろう。頑張るか。
一方で、今朝からは合唱部の練習もあった。部室に行ったら他の部員さんから、めちゃくちゃ歓迎されてしまって正直困った。曲は今流行っているアニメソングをメドレーで歌うらしい。僕も知っている曲だったのでホッとした。放課後にも練習がある。合唱部の熱の入れようには感心する。歌うとスッキリするし、僕に向いているのかな?なんて思った。でも勉強をしながら部活を継続できる気がしない。バイトは学校が夏休みだったから出来たんだろう。両立って難しい。
✢
「はぁ、お腹空いた…」
「奏、それだけで足りるのか?」
お弁当を広げていたら、海咲がやって来た。手には購買で買ったと思われるサンドイッチが握られている。その数3つ。この学校の購買は安いのにパンが大きいという所で人気がある。具もたっぷりだ。
「半分食わね?買い過ぎた」
「え?そうなの?」
海咲なら3つくらいぺろりと食べられるだろうと思っていたら、大きなお弁当箱が鞄から出てきた。あ、なるほど。これは食べ切れないな。
「僕も半分お金出すよ。一緒に食べるから」
「悪いな、奏」
お金をしっかり出したので、僕は遠慮なく食べることにした。1つ包みから取り出してみる。
これは、ハムサンドかな?がぶりと齧り付くと、からしのピリッとした味が効いている。
「ん、美味しー!」
「美味いよなー、こっちのフルーツサンドも食えよ」
「ありがとう」
2人でうまいうまいとしばらく夢中で咀嚼した。あんなにあったサンドイッチは瞬殺だ。
「よし、これで弁当食えばちょうどいいな」
僕はちらっと海咲のお弁当の中身を覗いた。卑しいけど海咲のお母さんの作るお弁当は本当に美味しいのだ。いいな、とつい思ってしまった。
「海咲くんのお弁当、今日も美味しそうだね」
「奏のも美味そうだぞ。おかず交換するか?」
「いいの?!」
「そんなに喜ばれたら今更しないなんて言えないだろ」
海咲が吹き出している。
「僕のお母さんも料理上手いんだけど、高校生男子としてはちょっとおかずがつまらないというか」
「あぁ、ちょっとジャンクな感じを求めてるんだな」
「そうなの!分かってくれる?」
「分かるよ。うちの母さんも時々気が付いたように栄養バランス考えたメニュー出してくるし、やっぱりその日はテンション下がる」
「分かるー!」
海咲が僕の方に弁当箱を差し出してくれた。卵焼きに厚いハムカツ、マヨネーズで和えたごぼうサラダ、全部手作りらしい。どれも美味しそうだな。僕も弁当箱を差し出す。今日は大きながんもどきと大根の煮物にちりめんじゃこと枝豆の混ぜご飯、それとくし切りにされたオレンジが入っている。
「混ぜご飯食ってみたい」
「いいよ、好きなだけ取って」
海咲が自分の弁当箱の蓋にご飯を取り分けた。
「奏も取れよ」
「ハムカツもらっていい?」
「いいぞ。母さんの得意料理だから美味さは保証出来る」
「ありがとう、嬉しい」
早速ハムカツに齧り付くとチーズが入っている。
「ふわぁ、美味しい!」
「だろ?揚げ立てはもっと美味いんだぜ」
そうでしょうとも。
「放課後は合唱部の練習か?」
「うん、そうなの。海咲くんは体育祭の練習だよね?」
「そう。今日は体育館でリレー練習だな。終わるの同じくらいだろ?一緒に帰ろうぜ」
「え?いいの?」
「いいに決まってるだろ」
海咲がまた吹き出してる。
「じゃあ体育館前で待ち合わせね!」
「おう」
午後の一番はじめの授業は選択科目だったので、海咲とは手を振って別れた。一番最後の時限はホームルームだった。文化祭のクラスの演し物を決めるのだ。体育祭と文化祭が続け様に来るのはなかなか大変だ。でもイベントの準備は楽しい。何個か案が出て、多数決を採ることになった。結果、うちのクラスは焼きそばの屋台を出すことになった。火を使うので会場は当然外になる。飲み物も冷やして提供することになった。本格的なチラシやノベルティ用に団扇を作ることになって、皆が盛り上がった。
「一ノ瀬、筆で文字書いてよ」
「え?僕が?」
「字が上手いんだからいいだろ?」
「いいけど」
借りてきた筆でためしに書いてみた。「燃やせ!」と。
「いいな!かっこいい!これで頼む!」
「分かった、もっと文字をいかつく出来るけど?」
「おぉ、さすがだな!」
イラストのデザインはクラスにいる美術部の部員数名が担当してくれるらしい。僕はそのグループに入った。
「海咲ー、お前は校門でビラ配りな!」
「は?まだ暑いのにか?」
「お前、顔いいんだからいいじゃねえか!他校の女子呼んでこい」
海咲が不本意ですという顔をしているのが少し面白い。それからはグループに分かれてじっくりアイデアを固めた。
「一ノ瀬くん、文字を真ん中に書いてもらって良い?」
団扇とチラシのデザインは話し合いで着々と決まりつつある。僕は筆を執った。今度はもっと集中して書く。
「本当に上手いねぇ」
「ありがとう」
これから細かなデザインはパソコンのソフトで描くとのことだった。僕の文字もスキャナーで取り込んで調整しながら入れるらしい。今時だなぁ。クラスに割り当てられた予算内で作るために団扇は手作り。チラシは学校のコピー機を使うことになった。焼きそばの材料など、必要な物のことを考えれば仕方がない。
「材料は皆で買いに行きましょう」
僕のグループの話し合いはここで終わった。
✢
合唱部の練習はかなり熱が入った。たまにカラオケもいいかもしれないな。海咲と行くのは…恥ずかしいな。
体育館に向かうとなんだか騒がしい。
なんだろう?と思ったら女子たちが体育館の中を覗いてきゃあきゃあ言っている。
「海咲くーん!!頑張ってー!」
「海咲くん!こっち見て!!」
海咲は人気者だな。当の本人は迷惑そうな顔をしている。海咲、そこは笑顔で手を振るんだよ!!
僕がそう示すために手を振ると海咲がぱあっと笑った。え?急に?きゃあああとそれを見た女の子たちが騒ぐ。しばらくして、練習を見るのに飽きたのか女の子たちが帰っていく。僕はホッとした。
「奏!」
海咲がすごいスピードで駆け寄ってきた。ぎゅっと抱き着かれる。
「海咲くん、待って!苦しいから」
「あ、悪い。合唱部の練習終わったのか?早かったんだな!」
「ううん、リレーの練習が長いんだよ」
僕がスマートフォンの画面を見せると、海咲が本当だと呟いた。もうすぐ18時だ。
「高市!もう終わるから早く来い!」
先輩に呼ばれて海咲が気怠そうに走っていく。体育祭当日は女子たちにすごく騒がれそうだなぁ。海咲、頑張るんだよ。僕も全力で応援するからね。
次の日の昼休み、僕たちは体育祭の種目の1つであるクラス対抗の大縄跳びの練習をしていた。大縄跳びは皆の呼吸を合わせるのが大事だ。先程から何度も縄に引っかかってしまう。皆で連続で跳ぶのは難しいな。
なにかコツみたいなのがあるんだろうか?
とにかくひたすら練習するしかないんだろう。頑張るか。
一方で、今朝からは合唱部の練習もあった。部室に行ったら他の部員さんから、めちゃくちゃ歓迎されてしまって正直困った。曲は今流行っているアニメソングをメドレーで歌うらしい。僕も知っている曲だったのでホッとした。放課後にも練習がある。合唱部の熱の入れようには感心する。歌うとスッキリするし、僕に向いているのかな?なんて思った。でも勉強をしながら部活を継続できる気がしない。バイトは学校が夏休みだったから出来たんだろう。両立って難しい。
✢
「はぁ、お腹空いた…」
「奏、それだけで足りるのか?」
お弁当を広げていたら、海咲がやって来た。手には購買で買ったと思われるサンドイッチが握られている。その数3つ。この学校の購買は安いのにパンが大きいという所で人気がある。具もたっぷりだ。
「半分食わね?買い過ぎた」
「え?そうなの?」
海咲なら3つくらいぺろりと食べられるだろうと思っていたら、大きなお弁当箱が鞄から出てきた。あ、なるほど。これは食べ切れないな。
「僕も半分お金出すよ。一緒に食べるから」
「悪いな、奏」
お金をしっかり出したので、僕は遠慮なく食べることにした。1つ包みから取り出してみる。
これは、ハムサンドかな?がぶりと齧り付くと、からしのピリッとした味が効いている。
「ん、美味しー!」
「美味いよなー、こっちのフルーツサンドも食えよ」
「ありがとう」
2人でうまいうまいとしばらく夢中で咀嚼した。あんなにあったサンドイッチは瞬殺だ。
「よし、これで弁当食えばちょうどいいな」
僕はちらっと海咲のお弁当の中身を覗いた。卑しいけど海咲のお母さんの作るお弁当は本当に美味しいのだ。いいな、とつい思ってしまった。
「海咲くんのお弁当、今日も美味しそうだね」
「奏のも美味そうだぞ。おかず交換するか?」
「いいの?!」
「そんなに喜ばれたら今更しないなんて言えないだろ」
海咲が吹き出している。
「僕のお母さんも料理上手いんだけど、高校生男子としてはちょっとおかずがつまらないというか」
「あぁ、ちょっとジャンクな感じを求めてるんだな」
「そうなの!分かってくれる?」
「分かるよ。うちの母さんも時々気が付いたように栄養バランス考えたメニュー出してくるし、やっぱりその日はテンション下がる」
「分かるー!」
海咲が僕の方に弁当箱を差し出してくれた。卵焼きに厚いハムカツ、マヨネーズで和えたごぼうサラダ、全部手作りらしい。どれも美味しそうだな。僕も弁当箱を差し出す。今日は大きながんもどきと大根の煮物にちりめんじゃこと枝豆の混ぜご飯、それとくし切りにされたオレンジが入っている。
「混ぜご飯食ってみたい」
「いいよ、好きなだけ取って」
海咲が自分の弁当箱の蓋にご飯を取り分けた。
「奏も取れよ」
「ハムカツもらっていい?」
「いいぞ。母さんの得意料理だから美味さは保証出来る」
「ありがとう、嬉しい」
早速ハムカツに齧り付くとチーズが入っている。
「ふわぁ、美味しい!」
「だろ?揚げ立てはもっと美味いんだぜ」
そうでしょうとも。
「放課後は合唱部の練習か?」
「うん、そうなの。海咲くんは体育祭の練習だよね?」
「そう。今日は体育館でリレー練習だな。終わるの同じくらいだろ?一緒に帰ろうぜ」
「え?いいの?」
「いいに決まってるだろ」
海咲がまた吹き出してる。
「じゃあ体育館前で待ち合わせね!」
「おう」
午後の一番はじめの授業は選択科目だったので、海咲とは手を振って別れた。一番最後の時限はホームルームだった。文化祭のクラスの演し物を決めるのだ。体育祭と文化祭が続け様に来るのはなかなか大変だ。でもイベントの準備は楽しい。何個か案が出て、多数決を採ることになった。結果、うちのクラスは焼きそばの屋台を出すことになった。火を使うので会場は当然外になる。飲み物も冷やして提供することになった。本格的なチラシやノベルティ用に団扇を作ることになって、皆が盛り上がった。
「一ノ瀬、筆で文字書いてよ」
「え?僕が?」
「字が上手いんだからいいだろ?」
「いいけど」
借りてきた筆でためしに書いてみた。「燃やせ!」と。
「いいな!かっこいい!これで頼む!」
「分かった、もっと文字をいかつく出来るけど?」
「おぉ、さすがだな!」
イラストのデザインはクラスにいる美術部の部員数名が担当してくれるらしい。僕はそのグループに入った。
「海咲ー、お前は校門でビラ配りな!」
「は?まだ暑いのにか?」
「お前、顔いいんだからいいじゃねえか!他校の女子呼んでこい」
海咲が不本意ですという顔をしているのが少し面白い。それからはグループに分かれてじっくりアイデアを固めた。
「一ノ瀬くん、文字を真ん中に書いてもらって良い?」
団扇とチラシのデザインは話し合いで着々と決まりつつある。僕は筆を執った。今度はもっと集中して書く。
「本当に上手いねぇ」
「ありがとう」
これから細かなデザインはパソコンのソフトで描くとのことだった。僕の文字もスキャナーで取り込んで調整しながら入れるらしい。今時だなぁ。クラスに割り当てられた予算内で作るために団扇は手作り。チラシは学校のコピー機を使うことになった。焼きそばの材料など、必要な物のことを考えれば仕方がない。
「材料は皆で買いに行きましょう」
僕のグループの話し合いはここで終わった。
✢
合唱部の練習はかなり熱が入った。たまにカラオケもいいかもしれないな。海咲と行くのは…恥ずかしいな。
体育館に向かうとなんだか騒がしい。
なんだろう?と思ったら女子たちが体育館の中を覗いてきゃあきゃあ言っている。
「海咲くーん!!頑張ってー!」
「海咲くん!こっち見て!!」
海咲は人気者だな。当の本人は迷惑そうな顔をしている。海咲、そこは笑顔で手を振るんだよ!!
僕がそう示すために手を振ると海咲がぱあっと笑った。え?急に?きゃあああとそれを見た女の子たちが騒ぐ。しばらくして、練習を見るのに飽きたのか女の子たちが帰っていく。僕はホッとした。
「奏!」
海咲がすごいスピードで駆け寄ってきた。ぎゅっと抱き着かれる。
「海咲くん、待って!苦しいから」
「あ、悪い。合唱部の練習終わったのか?早かったんだな!」
「ううん、リレーの練習が長いんだよ」
僕がスマートフォンの画面を見せると、海咲が本当だと呟いた。もうすぐ18時だ。
「高市!もう終わるから早く来い!」
先輩に呼ばれて海咲が気怠そうに走っていく。体育祭当日は女子たちにすごく騒がれそうだなぁ。海咲、頑張るんだよ。僕も全力で応援するからね。
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