最恐ダンジョンの薬師姫

はやしかわともえ

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召喚魔法

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「カイ先生ー、こんにちはー」
モアレナ王都の大通りを外れ、少し行った先にカイが開いているクリニックがある。
「ルリ。久しいね」
カイは見目麗しい美女だ。白衣から伸びるスラリとした足は異性どころか同性も惹かれる。ルリアは作ったばかりの上級薬を彼女に手渡した。
「これどうぞ」
「上級薬をこんなに?一体どうしたんだい?」
「ダンジョンで薬草を採ってきたんです。ね、ラヴィアン」
「そうか、ありがとう。ルリ、ラヴィアン。これで足りるかな?」
ルリアは貨幣を受け取った。
「いつもありがとう!カイ先生!行こ、ラヴィアン!
まだまだ薬を売るよ」
「あぁ」
「ラヴィアン、と言ったね?君とはまた話がしたい。ルリと一緒に遊びにおいで」
「分かりました」
「ラヴィアン!早くー!」
ルリアはラヴィアンと共に薬を売って歩いた。
「え!上級薬が銀貨8枚?安い!!」
「嘘、私も買う!!」
ワイワイとルリアたちの周りは冒険者で溢れかえっている。
「すみません、もう売り切れです。近日中にまた売りに来ますね」
ルリアが申し訳ないと思いながら言うと、冒険者たちは仕方ないと理解を示してくれた。モアレナの冒険者は基本的に実力のある者が集まっている。ルリアは頭を下げてラヴィアンの所に戻った。
「ルリア、君は商才もあるんだな。絶妙な値段設定だ」
「うん、作る手間とか考えたらこれくらいはね。でも、金貨1枚じゃちょっと高いし」
「難しいな。でも喜んでもらえてよかったな。よし、今日も100階層目で訓練をしよう」
「お願いします」
ルリアたちは再びダンジョンに戻った。

「あ!上ヒール薬みっけ!」
ルリアたちは100階層目でのんびり採集をしている。時折現れるモンスターを蹴散らしながらだ。
「よく見つけたな。ルリアは召喚魔法を持っているみたいだけど使わないのか?」
「え?そうなの?」
ルリアがきょとん、とするとラヴィアンがいやいやと慌てたように言う。
「いや、普通学校で自分のスキルを鑑定してもらえるだろ?」
「俺、学校行ってないんだよね。俺が子供の頃のモーリは町ですらなかったんだよ」
「そうだったのか。なら色々困らなかったか?」
「勉強は両親から教わったから一通りのことは出来るつもり。でもスキルについては知らなかったよ。俺、召喚獣と契約できるの?」
「いや、出来るっていうか…」
ずしり、と重みのある音がする。ルリアはそちらを見て驚いた。虎型の巨大なモンスターが現れたからだ。
「ウオオオオオン」
大きな咆哮を上げられて、ルリアは耳を塞いだ。よく見ると、モンスターの足に棘のようなものが無数に刺さっている。ズウウウンとモンスターはその場に崩れ落ちた。ルリアは慌ててモンスターに近付いた。
「大丈夫?」
ルリアは手早くゴムの手袋を着けた。棘を丁寧に抜いてやる。
「この棘、毒が塗られてるな。多分谷にいる毒龍に襲われたんだろう」
「そんなのがいるの?ここ」
怖くなってきてしまったルリアである。だが手は止めず棘を抜き続けた。
「大丈夫だ。やつらの縄張りに入らなければ襲って来ない」
「そうなんだ。よし、全部抜いた」
ルリアは薬草をモンスターの足の傷に当て包帯を巻いた。
「はい、もう大丈夫だよ、えーと?」
「こいつはタイガレアっていうモンスターだ。君と契約したくてここまで来たんだと思うぞ」
「え?!そうなの?」
「グルル」
タイガレアが喉を鳴らしている。
「名前をつけて契約してやるといい」
「名前かぁ。じゃあタイガね」
ルリアがタイガの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めた。タイガが真っ白な丸い石に姿を変える。ルリアの杖に石が装着された。
「ねえ、ラヴィアン、なんで急にここに召喚獣が来たんだろう?」
「そりゃ、君が強くなったからに決まってるだろ。ダンジョンでアイテムを採集したりモンスターと戦ったりすれば経験値が貯まるからな」
ルリアは自身が強くなったことに喜びを覚えた。
「ラヴィアン、俺、まだ強くなれる?」
「あぁ。まだまだ強くなれるよ」
ラヴィアンがルリアの頭をポンと優しく撫でてきた。
「ね、ラヴィアン?今日も一緒にお風呂入る?」
「ルリアがいいならな」
ルリアは今まで恋というものをしたことがなかった。まさか初恋が同性であるとは思わなかったが、ルリアは確実にラヴィアンが好きになってきている。恋愛と結婚がまるで別物であることはルリアも承知している。だが、今はこの気持ちを大事にしたかった。
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