いちゃらぶ②(日常パート)

はやしかわともえ

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真司×千晶&千尋×加那太

スポーツアクティビティに挑戦!①みんなでゆるくキャンプしてみた

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「んー、いい天気だなー」

お盆休みに入る一週間前、真司はいつも通り小休止を自主的にとっていた。微糖の冷たい缶コーヒーをくいとあおる。冷たいコーヒーは気分を変えるのに最適だ。

今日は働いているのがもったいないくらいの快晴である。窓から見える空には雲一つない。暑いせいか誰も外を歩いてないがそれはそれでいい。真司はどちらかと言えば夏が好きだ。会社にいれば空調が効いていて、涼しいのもポイントが高い。真司はぐっと身体を伸ばした。

「先輩。もう、早く仕事してください」

「千晶、見てみろよ。いい天気だぞ」

迷惑そうな顔でやって来たのは真司のパートナーである千晶である。真司は千晶、愛猫のナキと共に暮らしている。会社には二人が恋人同士であることを伏せているが、真司が察するに、もう周りのみんなはそれに気が付いている。

それを知らないのは千晶だけだ。

千晶は人より過敏で、繊細なところがある。このことは伏せておこうと真司は一人決意している。

「わあ、本当だ。綺麗な空ですね」

千晶が窓に一歩近づく。ここは21階になる。ガラス張りの高い建物がいくつも建ち並ぶオフィス街だ。昔の景色の面影はもはやない。そうやって社会は姿を変えていく。千晶が小さく息をついた。ふと彼が呟く。

「暑そう…」

「確かに」

最近の日本の夏は温暖化による気温上昇によりますます過ごしにくいものになってきている。
変わりゆく環境変化について連日テレビで報道されているので、真司も少しだが知っていた。

「そうだった。先輩、早く仕事しますよ」

「分かった、頑張るよ」

真司と千晶はある保険会社で働いている。
今日も保険は下りるのかという問い合わせが数件あり、二人はそれの対応にあたっていた。
場合によって、思っていたより保険で下りる金額が少ないと怒られたり泣かれたりするのもしばしばである。怒られるのはまだいい。泣かれた日には一日憂鬱になる。


「あぁ…疲れた」

今は夕方六時。真司はパソコンと格闘している。今日は少し残業になってしまいそうだ。
千晶もずっと忙しそうである。
真司は一回作業の手を止めて、ぐっと伸びをした。ずっと同じ体勢だったので、体がカチコチになっている。このまま作業を続けても効率が悪くなる一方だろう。

「千晶ー、進捗どうだ?」

千晶の席は真司の後側にある。

「俺はもう少しです。先輩はどうですか?」

「今日問い合わせ多かったから、俺ももうちょいだ」

「了解です」


✣✣✣

仕事になんとかケリをつけ、二人は近くのファミリーレストランに来ている。
今日は本当に忙しかった。

「あー、疲れたなぁー」

「真司さん、お疲れ様です」

「それはお前もだろ」

「そう…ですね」

二人はピザやパスタ、その他何品か頼んで二人でシェアすることにした。
ドリンクバーも忘れない。

「出掛けたいな…」

真司がぽつりと漏らすと、千晶が頷く。そして彼はスマートフォンをたたたと、弄りだした。

「俺、ずっと気になっているものがあって」

千晶がスマートフォンの画面を真司に見せてくれる。

「キャンプ、行きませんか?道具とか全部借りられるんです」

真司が画面を覗き込むと、木製のコテージが映っている。

「へえ、キャンプかー。
今流行ってるもんな」

「俺、水怖いので川辺でキャンプなんて絶対に無理なんですが、コテージなら行けるかなって。ここ、温泉もあるし」

千晶は幼い頃、川で溺れた経験があった。

「じゃあ皆で行くか?」

千晶がぱっと顔を明るくする。

「かなさんと千尋さん、お休みが合えばいいな」

そんなことを話しているうちに、頼んでいた料理が来た。先程までの暗い気持ちが少し明るくなった気がする。二人は他愛もない話をしながら食事を摂った。
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