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第四話
予防線
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如月の二人、キラルとテンシンがドラゴンの捕獲を諦めかけた瞬間、ドラゴンの巨大な体に何本もの糸が巻き付いた。その糸がドラゴンを締め上げる。
当然、ドラゴンは苦しんで暴れるが糸はびくともしない。
こんなことができる人物を如月の二人は一人しか知らなかった。
「ようやくあたしの出番のようね。あたしもウル様の力になれる」
彼女はそう言いながらきゅ、と糸を引く。
ドラゴンは益々暴れるが彼女は顔色一つ変えなかった。
彼女の華奢な体からは信じられないほどの剛力である。
「キラル、テンシン、ドラゴンの捕獲を」
冷静に二人にそう指示する。
「サンキュー!織姫ちゃん!」
「感謝する!」
「やめろ!!!やめろおおお!!!」
ドラゴンが最後の咆哮を上げた。
キラルが薬を撃ち込むと、ズウウンとドラゴンが地面に伏せた。
無事昏睡させることができたのだ。
「終わったようだね」
向こうからウルが歩いてくる。
「ウル、避難してなきゃ危ないじゃん!」
三人がウルに駆け寄る。
「織姫と共に来たんだ。大丈夫。奴はしばらく動けない」
「そうかもしんないけどさー」
キラルがいつものようにへらりと笑う。
「こうなることを予測して織姫を?」
テンシンの言葉にウルは少し申し訳なさそうに頷いた。
「君たちを信じていないわけじゃない。
ただ、念の為に」
「仕方ないよ、テンちゃん。
結局、ウルの予測通りになったんだしさ」
「分かっている。もっと精進しよう」
「ウル様、このドラゴンをどうされるおつもりで?」
「彼から話を聞きたい。
デーモンという組織についてだ。彼が関与しているのかはっきりさせておく必要がある」
「デーモンって壊滅したって聞いたけど?」
キラルの言葉にウルは頷く。
「あぁ。私もそう聞いている。
だが夕夏と行く先々でデーモンの機械人形が現れる」
「まだ組織が残っていると?」
織姫の言葉にウルは首を横に振る。
「それすらもわからない。手がかりがなさすぎるんだ」
「消えた記録ですね」
テンシンが呟いた。
「グルルルル」
突然のうめき声にみな振り返った。
ドラゴンが目を覚ましている。
ウルを護るように三人は身構えた。
ドラゴンはまた目を閉じる。
そして言った。
「何故殺さない?」
「君は何故、夕夏を狙う?」
ウルが尋ね返す。
「あのガキが記録を取り戻そうとするからだ。忌々しい!!あいつらの記録なぞ取り戻す必要はない!!」
ウルは首を傾げた。
「君は戦乱に関わっているのかな?」
「当たり前だ!俺達は騙された。あの姫君たちに!!
俺達の力が必要だと奴らは確かに言った。
だがあいつらは俺達を裏切った。
そのせいで俺の仲間は虐殺された。俺と残った僅かな仲間たちは怯えながら毎日を暮らしている。そんなことは許されない!」
「なるほど」
ウルはしばらく考えた。
どうするのが最善かを。
ドラゴンは未だに憤り、冷静だとは言い難い。
ドラゴンは強いが、人間の作り出す兵器には結局敵わない。彼らが人間に対して怯えるのも無理はなかった。
ウルにはドラゴンの話が信じ難かった。
姫君たちが裏切りなどという愚かな行為をするようには思えない。
今まで夕夏についてあちこちに行ったが、姫君たちはみな、思いやりにあふれていた。
「確か君は人間の姿になれたはずだ」
「あ?俺に何をさせるつもりだ?」
「君は真実を知る必要がある。
私と来るんだ」
「俺がガキを殺すかもしれないぞ」
テンシンとキラルが太刀をドラゴンに向ける。それはほんの一瞬のことだった。
「夕夏ちゃんは俺達が護る。
お前が死ぬのが先だよ」
「チッ」
ドラゴンが渋々人間の姿になる。
彼はまだ織姫の操る強力な糸で拘束されている。その方が安全だろう。
「さぁ、みんな。エメレシアに行こうか」
ウルは端末を取り出した。
サフィールの早い船を1艘、ミカエルに手配させている。
もうすぐその船が港に着くはずだ。
当然、ドラゴンは苦しんで暴れるが糸はびくともしない。
こんなことができる人物を如月の二人は一人しか知らなかった。
「ようやくあたしの出番のようね。あたしもウル様の力になれる」
彼女はそう言いながらきゅ、と糸を引く。
ドラゴンは益々暴れるが彼女は顔色一つ変えなかった。
彼女の華奢な体からは信じられないほどの剛力である。
「キラル、テンシン、ドラゴンの捕獲を」
冷静に二人にそう指示する。
「サンキュー!織姫ちゃん!」
「感謝する!」
「やめろ!!!やめろおおお!!!」
ドラゴンが最後の咆哮を上げた。
キラルが薬を撃ち込むと、ズウウンとドラゴンが地面に伏せた。
無事昏睡させることができたのだ。
「終わったようだね」
向こうからウルが歩いてくる。
「ウル、避難してなきゃ危ないじゃん!」
三人がウルに駆け寄る。
「織姫と共に来たんだ。大丈夫。奴はしばらく動けない」
「そうかもしんないけどさー」
キラルがいつものようにへらりと笑う。
「こうなることを予測して織姫を?」
テンシンの言葉にウルは少し申し訳なさそうに頷いた。
「君たちを信じていないわけじゃない。
ただ、念の為に」
「仕方ないよ、テンちゃん。
結局、ウルの予測通りになったんだしさ」
「分かっている。もっと精進しよう」
「ウル様、このドラゴンをどうされるおつもりで?」
「彼から話を聞きたい。
デーモンという組織についてだ。彼が関与しているのかはっきりさせておく必要がある」
「デーモンって壊滅したって聞いたけど?」
キラルの言葉にウルは頷く。
「あぁ。私もそう聞いている。
だが夕夏と行く先々でデーモンの機械人形が現れる」
「まだ組織が残っていると?」
織姫の言葉にウルは首を横に振る。
「それすらもわからない。手がかりがなさすぎるんだ」
「消えた記録ですね」
テンシンが呟いた。
「グルルルル」
突然のうめき声にみな振り返った。
ドラゴンが目を覚ましている。
ウルを護るように三人は身構えた。
ドラゴンはまた目を閉じる。
そして言った。
「何故殺さない?」
「君は何故、夕夏を狙う?」
ウルが尋ね返す。
「あのガキが記録を取り戻そうとするからだ。忌々しい!!あいつらの記録なぞ取り戻す必要はない!!」
ウルは首を傾げた。
「君は戦乱に関わっているのかな?」
「当たり前だ!俺達は騙された。あの姫君たちに!!
俺達の力が必要だと奴らは確かに言った。
だがあいつらは俺達を裏切った。
そのせいで俺の仲間は虐殺された。俺と残った僅かな仲間たちは怯えながら毎日を暮らしている。そんなことは許されない!」
「なるほど」
ウルはしばらく考えた。
どうするのが最善かを。
ドラゴンは未だに憤り、冷静だとは言い難い。
ドラゴンは強いが、人間の作り出す兵器には結局敵わない。彼らが人間に対して怯えるのも無理はなかった。
ウルにはドラゴンの話が信じ難かった。
姫君たちが裏切りなどという愚かな行為をするようには思えない。
今まで夕夏についてあちこちに行ったが、姫君たちはみな、思いやりにあふれていた。
「確か君は人間の姿になれたはずだ」
「あ?俺に何をさせるつもりだ?」
「君は真実を知る必要がある。
私と来るんだ」
「俺がガキを殺すかもしれないぞ」
テンシンとキラルが太刀をドラゴンに向ける。それはほんの一瞬のことだった。
「夕夏ちゃんは俺達が護る。
お前が死ぬのが先だよ」
「チッ」
ドラゴンが渋々人間の姿になる。
彼はまだ織姫の操る強力な糸で拘束されている。その方が安全だろう。
「さぁ、みんな。エメレシアに行こうか」
ウルは端末を取り出した。
サフィールの早い船を1艘、ミカエルに手配させている。
もうすぐその船が港に着くはずだ。
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