僕と君を絆ぐもの3(完結編)

はやしかわともえ

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第二話

対神装備

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千尋は食事をしていた。
相変わらず美味しいとも思わないのだが、腹は減る。その欲求には抗えず、機械的に食べ物を口に運んだ。

「ねえ、千尋?」

中からこうしてハルカに話しかけられるのにも慣れてきた。

「なんだ…」

「私の完成させた対神たいじん装備をもっと見たいと思わない?」

千尋はしばらく考える。ふと脳裏を加那太がよぎる。

「あぁ、見てみたいな」

ハルカは楽しそうに笑った。
今はこうしてハルカの思うようにさせればいい。
少しずつ彼女から力を奪い取る。今できるのはそれだけだ。

(俺の中には少ししかハルカの力を貯められない)

それは千尋の中にハルカがいるせいである。
それだけハルカは巨大な容量を使うということだ。トレント戦で分かったが、あれだけの力が出せるのだから無理もない。

「アオイ!」

ハルカが呼ぶと、あの少女が現れた。

「ハルカ様、なんでしょうか?」

「あなたにも装備をあげる」

「え……?」

アオイと呼ばれた少女は戸惑っているようだ。

「ですが、対神装備は選ばれた者しか使えないのでは…?」

ハルカがくすくす笑う。

「私もあれから改良を加えたの。
もっと強力に容易に扱えるように。
次の神は地の神より強大よ。あなたも力を貸して頂戴」

「わ、わかりました…」

それから千尋と同じように彼女も装備を手に入れた。
それは青い色をした弓矢だった。

「青い焔。素敵ね、アオイ」

「は、はい」

千尋は黙ってそれを眺めていた。

✢✢✢

加那太は地図を見つめていた。

「どうしたの?加那太」

ハルカが話しかけてくる。

「うん、寺院の位置を確認してる。
次はどこが狙われるのかなって」

「私のことだから水の神を司るゴルド寺院かな。そんなに離れていないし」

加那太はゴルド寺院を探した。
確かにシルヴァ寺院からあまり離れていないようだ。
だがここからは十分距離がある。
シルヴァ寺院は歩いていける距離だったから良かったが、どうするべきだろうか。
そんな加那太の考えに気が付いたのかハルカは言った。

「大丈夫、レオならどこの宿屋にでも泊まれるから」

やはりお金持ちは違う。
そんなことを思っていたらバタバタと足音がした。

「加那太ー!だめだった!!」

レオはびしょびしょだ。
加那太はギョッとした。

「どうしたの?レオ?」

「いや、人を集めようと思ってギルドに行ったんだけど、みんな忙しいみたいでさ。
仕方なくこの辺り一帯を一人で探してみたんだけど、水たまりに落ちて」

「それは大変だったね。とにかく着替えたほうがいいよ」

「あぁ!」

レオが着替えをしに部屋から出ていく。
ハルカが中で笑っていた。

「レオは相変わらずなのね」

加那太をさらったとはとても思えない。
加那太も耐えきれずに一緒に笑った。
しばらくして着替えを終えたレオがやってくる。

「加那太、何をしてるんだ?」


「うん、千尋が次にどこに現れるかなって」

「それは大事だな!
距離的にはゴルド寺院が近い。
もし行くならすぐ動かないと間に合わない」

レオの意見は最もだった。
加那太は言っておくことにした。

「レオ、僕の中にハルカさんがいる」

「えぇ?!ハルカ?」

レオの驚きぶりは凄まじかった。

「ハルカ!会いたかった!!」

そう言って加那太に抱き着いてくる。

「レオ、その前にまずは私を止めなくちゃ」

ハルカの言葉にレオは頷いた。

「その通りだな!よし準備して早速ゴルド寺院に向かおう!」

こうして進路が決まったのだった。

「にしてもさー、神さえ殺す装備にどう対抗すればいいんだ?」

レオの疑問も最もだった。
加那太は考える。

「多分、あの武器はハルカさんの魔力を基礎にして作られている。つまり」

レオもハッとしたようだ。

「ハルカの魔力を失くせば…!」

「うん、もしかしたら壊せるかもしれない」

ハルカが言う。

「私の魔力は私が奪う。
任せておいて」

「上手く行くといいけれど」

この前の千尋の立ち回りを思い出す。
全く無駄がなかった。
だがやるしかない。

(今できる最善の方法を試すしかない)

加那太はそう決意した。
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