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あなたのお姫様になりたいSS
朱里の休日
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「わわ、またこっちのルートか」
「アオー、おはよー」
「あ、あーちゃん、おはよ」
ある日曜日の朝、朱里が起きて居間に行くと、双子の兄である葵がゲームをしていた。
葵がプレイしているゲームといえば乙女ゲーム一択である。
(この前買ったゲームかな?)
「あ、新しい話解放できた」
葵がぶつぶつ呟いているのを見て朱里は笑ってしまった。
「あーちゃん?」
じ、と葵に見つめられて朱里はこう言う。
「アオは本当に乙女ゲーム好きだよね!」
「うん、大好きだよ!
だってみんなイケメンだしさ!
ハーレ厶だよ!」
「そんなにかっこいいの?」
「かっこいいよ!あーちゃんもやればいいのにー」
朱里が画面を覗き込むと、葵が見やすいようにゲーム機を傾けてくれる。
そこには長髪の美青年が微笑んでいた。
「ホントだ!イケメン!」
「でしょ!!キリくんてゆうんだよ、めちゃくちゃ優しいんだから!!」
葵はしばらくそのキャラクターについて朱里に一通り説明してくれる。
「キリくんは一津さんが声をあててるんだよ」
「え?そうなの?」
なんだかドキリ、としてしまう朱里である。
「あ、そうだ、あーちゃんに貸してあげる。
今オレがやってるのは2だからさ、1からやりなよ。待って、取ってくる!」
「アオ?!」
どうやら、朱里がゲームをプレイすることが確定してしまったらしい。
葵は自分の部屋に行ってしまった。
(あたし、ゲームあんまりやったことないのに、大丈夫かな)
そんなとき、インターフォンが鳴る。モニターを見ると、帽子を被った男性が映っている。
その人が誰なのか、朱里はすぐ気が付いた。
慌てて玄関のドアを開ける。
「アカリさん、朝早くからすまないね」
「新さん、なんで?」
朱里が尋ねると、新は帽子を脱いで笑った。
「アオイくんにあげたいものがあってね」
「とにかく上がってください」
「いや、でも」
「新さん!」
葵もやってくる。手にはゲーム機を持っていた。
「もしかしてこれからお仕事ですか?」
朱里は再び尋ねる。
新は首を横に振る。
だったら、と朱里は新を強引に家へ上げた。
「新さん、久しぶりですね!」
葵が弾んだ声を上げる。
「アオ、あたし、お茶持ってくるからね」
「あーちゃん、ありがとう!」
(アオ、新さんとしばらく会えてなかったんだ)
そういえば最近、葵は家にいることが多かった。
作曲も忙しかったのだろう。
葵が、夜中まで起きて作業していたことも朱里は知っている。
お茶を持って戻ると、二人はにこにこしながら話していた。
なんだかホッとする。
「そうなんです、あーちゃんもやればいいのにって」
「ふむ、確かにそうだね」
自分の話をしていることに朱里は気が付いて、無理やり割り込んだ。
「アオー、お茶ー」
「あ、あーちゃん!」
とりあえず朱里は二人の対面に座った。
「そうそう、あーちゃん、これゲーム機とソフトね」
葵がティッシュボックスくらいの箱を差し出してくる。
朱里はそれを受け取った。
「あぁ、星空の君か。懐かしいな」
新が嬉しそうな声を上げる。
「オレ、このシリーズ大好きなんです。
すごくキャラクターがキラキラしてますよね!
ゲーム機も新調しちゃいました」
「それは嬉しいな」
二人のトークについていけなくなった朱里は、とりあえず箱を開けてみることにした。
中にはメタリック調の紫色のゲーム機とソフトが入っている。
画面も大きい。
「アオ、あたし、やり方わかんない」
ソフトのセットの仕方すらわからず、朱里は泣き声をあげた。
「あ、そうだよね!
教えるよ!」
「そうか、アカリさんはゲームをしないんだったね」
葵にやり方を教えてもらい、ようやく起動できる。
タイトルがキラキラと現れる。
「わぁ、なんか楽しそう」
朱里が呟くと、葵は頷く。
「これにも一津さんが声をあててるキャラクターがいるよ!」
「え、そうなの?すごい」
一津というワードに最近敏感になっている自分を葵はよくわかっている。さすが双子だ。
「アカリさん、オレも出ているから是非攻略してほしいな!」
「もちろんです!」
朱里はなんとか主人公の名前を入力し終わった。
ストーリーが始まる。
「すごいねー。あたしが主人公だよ?」
葵に言うと笑われる。
「あーちゃんなら余裕でハーレ厶だよ!」
(ハーレム、悪くないかも)
そういえば、と朱里は気が付いた。新がここに来た理由を聞かなければならない。
「新さん、アオにあげたいものって?」
「あぁ、そうだったね!」
「わあ、もしかしてこの前話してた?」
葵が嬉しそうに目を輝かせる。
「そう、ずいぶん時間が経ってしまってすまないね」
新が取り出したのはキラキラしたキャラクターのステッカーだった。
葵はそれを食い入るように見つめている。
「すっごいレア!」
葵はそう言うが、朱里にはその価値はよくわからない。
「それ、シール?」
「うん、オレのベースに貼りたくてさ!これコラボカフェのくじでしか手に入らないんだよ?
すごいんだから!」
「そんな珍しいもの、頂いていいんですか?」
葵の代わりに一応尋ねると新は笑って首を振った。
「今はそこまで価値のあるものじゃないから大丈夫だよ。
それに、アオイくんが喜んでくれるなら」
「新さん、本当にありがとう!」
新は本当に葵が好きなのだな、と分かり、朱里は少し寂しさを感じた。もう葵は自分の届かない新しい世界を築いている。
「あーちゃん、選択肢出てる!」
「え?!」
葵に言われて朱里は慌ててゲーム画面に視線を戻した。
どうやら攻略するキャラクターを選べるらしい。
「わあ、この中から選べるんだ」
「まだ難易度もそんなに高くないから、好きな子を選びなよ」
朱里はしばらく迷って、一津が声を当てているキャラクターを選ぶ。
「あーちゃん、新さんのキャラクターは隠しキャラだから頑張ってね!」
「そうなんだ?」
「アカリさんの腕前拝見したいね」
「わからなかったらオレに聞いて!」
こうして、三人でゲームをする日が来るなんて思いもしなかった。
朱里はふと思う。
(あたし、ずっと葵に守ってもらえてるな)
朱里は笑って頷いた。
おわり
「アオー、おはよー」
「あ、あーちゃん、おはよ」
ある日曜日の朝、朱里が起きて居間に行くと、双子の兄である葵がゲームをしていた。
葵がプレイしているゲームといえば乙女ゲーム一択である。
(この前買ったゲームかな?)
「あ、新しい話解放できた」
葵がぶつぶつ呟いているのを見て朱里は笑ってしまった。
「あーちゃん?」
じ、と葵に見つめられて朱里はこう言う。
「アオは本当に乙女ゲーム好きだよね!」
「うん、大好きだよ!
だってみんなイケメンだしさ!
ハーレ厶だよ!」
「そんなにかっこいいの?」
「かっこいいよ!あーちゃんもやればいいのにー」
朱里が画面を覗き込むと、葵が見やすいようにゲーム機を傾けてくれる。
そこには長髪の美青年が微笑んでいた。
「ホントだ!イケメン!」
「でしょ!!キリくんてゆうんだよ、めちゃくちゃ優しいんだから!!」
葵はしばらくそのキャラクターについて朱里に一通り説明してくれる。
「キリくんは一津さんが声をあててるんだよ」
「え?そうなの?」
なんだかドキリ、としてしまう朱里である。
「あ、そうだ、あーちゃんに貸してあげる。
今オレがやってるのは2だからさ、1からやりなよ。待って、取ってくる!」
「アオ?!」
どうやら、朱里がゲームをプレイすることが確定してしまったらしい。
葵は自分の部屋に行ってしまった。
(あたし、ゲームあんまりやったことないのに、大丈夫かな)
そんなとき、インターフォンが鳴る。モニターを見ると、帽子を被った男性が映っている。
その人が誰なのか、朱里はすぐ気が付いた。
慌てて玄関のドアを開ける。
「アカリさん、朝早くからすまないね」
「新さん、なんで?」
朱里が尋ねると、新は帽子を脱いで笑った。
「アオイくんにあげたいものがあってね」
「とにかく上がってください」
「いや、でも」
「新さん!」
葵もやってくる。手にはゲーム機を持っていた。
「もしかしてこれからお仕事ですか?」
朱里は再び尋ねる。
新は首を横に振る。
だったら、と朱里は新を強引に家へ上げた。
「新さん、久しぶりですね!」
葵が弾んだ声を上げる。
「アオ、あたし、お茶持ってくるからね」
「あーちゃん、ありがとう!」
(アオ、新さんとしばらく会えてなかったんだ)
そういえば最近、葵は家にいることが多かった。
作曲も忙しかったのだろう。
葵が、夜中まで起きて作業していたことも朱里は知っている。
お茶を持って戻ると、二人はにこにこしながら話していた。
なんだかホッとする。
「そうなんです、あーちゃんもやればいいのにって」
「ふむ、確かにそうだね」
自分の話をしていることに朱里は気が付いて、無理やり割り込んだ。
「アオー、お茶ー」
「あ、あーちゃん!」
とりあえず朱里は二人の対面に座った。
「そうそう、あーちゃん、これゲーム機とソフトね」
葵がティッシュボックスくらいの箱を差し出してくる。
朱里はそれを受け取った。
「あぁ、星空の君か。懐かしいな」
新が嬉しそうな声を上げる。
「オレ、このシリーズ大好きなんです。
すごくキャラクターがキラキラしてますよね!
ゲーム機も新調しちゃいました」
「それは嬉しいな」
二人のトークについていけなくなった朱里は、とりあえず箱を開けてみることにした。
中にはメタリック調の紫色のゲーム機とソフトが入っている。
画面も大きい。
「アオ、あたし、やり方わかんない」
ソフトのセットの仕方すらわからず、朱里は泣き声をあげた。
「あ、そうだよね!
教えるよ!」
「そうか、アカリさんはゲームをしないんだったね」
葵にやり方を教えてもらい、ようやく起動できる。
タイトルがキラキラと現れる。
「わぁ、なんか楽しそう」
朱里が呟くと、葵は頷く。
「これにも一津さんが声をあててるキャラクターがいるよ!」
「え、そうなの?すごい」
一津というワードに最近敏感になっている自分を葵はよくわかっている。さすが双子だ。
「アカリさん、オレも出ているから是非攻略してほしいな!」
「もちろんです!」
朱里はなんとか主人公の名前を入力し終わった。
ストーリーが始まる。
「すごいねー。あたしが主人公だよ?」
葵に言うと笑われる。
「あーちゃんなら余裕でハーレ厶だよ!」
(ハーレム、悪くないかも)
そういえば、と朱里は気が付いた。新がここに来た理由を聞かなければならない。
「新さん、アオにあげたいものって?」
「あぁ、そうだったね!」
「わあ、もしかしてこの前話してた?」
葵が嬉しそうに目を輝かせる。
「そう、ずいぶん時間が経ってしまってすまないね」
新が取り出したのはキラキラしたキャラクターのステッカーだった。
葵はそれを食い入るように見つめている。
「すっごいレア!」
葵はそう言うが、朱里にはその価値はよくわからない。
「それ、シール?」
「うん、オレのベースに貼りたくてさ!これコラボカフェのくじでしか手に入らないんだよ?
すごいんだから!」
「そんな珍しいもの、頂いていいんですか?」
葵の代わりに一応尋ねると新は笑って首を振った。
「今はそこまで価値のあるものじゃないから大丈夫だよ。
それに、アオイくんが喜んでくれるなら」
「新さん、本当にありがとう!」
新は本当に葵が好きなのだな、と分かり、朱里は少し寂しさを感じた。もう葵は自分の届かない新しい世界を築いている。
「あーちゃん、選択肢出てる!」
「え?!」
葵に言われて朱里は慌ててゲーム画面に視線を戻した。
どうやら攻略するキャラクターを選べるらしい。
「わあ、この中から選べるんだ」
「まだ難易度もそんなに高くないから、好きな子を選びなよ」
朱里はしばらく迷って、一津が声を当てているキャラクターを選ぶ。
「あーちゃん、新さんのキャラクターは隠しキャラだから頑張ってね!」
「そうなんだ?」
「アカリさんの腕前拝見したいね」
「わからなかったらオレに聞いて!」
こうして、三人でゲームをする日が来るなんて思いもしなかった。
朱里はふと思う。
(あたし、ずっと葵に守ってもらえてるな)
朱里は笑って頷いた。
おわり
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