どうか、幸せになれますように

はやしかわともえ

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高校生

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僕達は高校生になっていた。
あの時、千尋に告白されたのに、僕達の関係はあまり変わらずにいた。
今から思えば僕が子ども過ぎたんだと思う。
千尋と気まずくなりたくなくて必死だったんだ。
高校生になって、僕にもようやく成長期がやってきた。でも千尋は更に身長が伸びていたからあまり変わりなかった。

僕と千尋は家から近いという理由から、同じ高校を選んでいた。
公立の普通レベルの高校だ。
(僕にとってはギリギリだったけど千尋がヤマを張ってくれたのが功を奏した。)
そして、そこはサッカー部がそれなりに強かった。
やっぱり千尋はサッカー部に入った。
でも相変わらず興味はないみたいで、手を抜けるところは抜いていたみたいだ。

千尋のお父さんは千尋にスポーツをしてほしいと言っていたみたいで、千尋はそれに素直に従っていた。
普通その年齢なら反抗しそうなものなのに、千尋にはそれが全く無かった。
多分、この頃から千尋は達観した人だったんだろう。
今も一緒に暮らしていて思うけど、千尋はどんなこともきちんとする人だ。
自分の興味のある範囲では特に。
やっぱり抜け目ないなあ。
ハイスペック過ぎてついていけない。
でもその時から千尋は僕の隣にいてくれた。
ずっと僕を待っていてくれた。

僕も高校に入って、人生初めての部活に所属した。
それは新聞部だった。
おやつやお茶も出るし、みんなでわいわいしながらできる部活だと聞いて入ったのだ。

確かに新聞部はゆるかった。
先輩方も優しかったし、時折刊行するゆるい新聞を書くのも初めての経験で楽しかった。

高校の頃のことを思い出すためには、「ゆづるくん」のことを話さないわけにはいかなくなる。

ゆづくんこと花柳ゆづるくんは、オカルトが大好きな子だった。
頭が良くて、優しい彼に僕は一気にゆづくんが大好きになった。
千尋はそんな僕にゆづくんと仲良くなれるよう、協力してくれた。
自分の気持ちをすごく我慢してだ。
僕は高校の頃の自分を殴りたい。
千尋を苦しめていたのは他ならない僕だった。

それから僕達は改めて、お互いの気持ちを確認し合った。
ゆづくんもその為にずいぶん気を遣ってくれたっけ、懐かしいな。

千尋がまた僕に告白してくれて、僕はやっと千尋の隣にいていいんだって自分を赦せた。
「千尋」ってようやく呼べるようになったんだ。
僕達は小さな頃からずっと一緒にいた。
そこで僕達二人はある事件を思い出すことになったんだ。
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