どうか、幸せになれますように

はやしかわともえ

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進路

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高校生活も終わりに近付いてきて、僕達は次の進路に向けて動き出していた。
僕は私立の大学に推薦が決まっていて、千尋も僕と同じ大学に進むと言ってくれていた。

だから急に一人暮らしをするために引っ越すと言われて、僕はすごく驚いたんだ。
千尋は僕には告げず、IT系の専門学校に進むことにしたらしかった。
なんで、って何度も思った。僕がキライになったの?って千尋に何度も聞いた。
でも千尋は答えてくれなかった。

「必ず迎えに来るよ、愛してる」

千尋は僕にこう告げて、都内のマンションに引っ越していったんだ。
千尋と離れて暮らすのは幼稚園ぶりだったから、僕はすごく寂しくて精神的に不安定になった。

辛うじて大学には毎日通えていた。
館山先輩という、僕を気に掛けてくれる優しい先輩もいた。
千尋に振られたんだって僕は思っていたけれど、千尋はそんなことを微塵も思ってもいなかったようだ。
休日になれば一緒に遊んだし、ゆづくんの大学の文化祭に遊びに行ったりもしていた。

千尋は勉強で忙しいようだったけど、メールも必ず返信してくれた。
僕もまた、同じくらい大学の勉強を頑張っていた。

いつの頃からか図書館か学校で働きたいと僕は思うようになっていた。
子供は嫌いじゃないし、本も好きだったから図書館司書教諭と国語教諭の資格を取るために毎日頑張った。

実習は母校に聞いてみたらすんなり受入れてもらえたから本当に幸運だった。
小耳に挟んだ噂だけど、実習生を嫌がる学校もあるらしい。
僕はその例から考えればすごくラッキーだった。
実習はかなり入念に準備をした。
でもまだまだな授業しかできなかった。
先生という職業の厳しさを思い知った。
でもこの経験は無駄じゃなかったって今なら思える。

これがあったから、僕は今中学校で働けている。
子供たちはみんなそれぞれ違う。
人間誰でもそうだけど、長所や短所がある。
どうすればみんなが楽しく優しい気持ちで過ごせるか、僕は学校で常にそれを考えている。

大学三回生になると、忙しくて千尋とはなかなか会えなくなった。
もしかしたらこのまま音信不通になるのかもしれない、なんて僕は思ったりした。

でも千尋は必ず毎日「おはよう」ってメールをくれた。懐かしいな。
僕はやっぱり千尋が大好きだ。
朝はどうしてもバタバタしてしまうから、千尋の「おはよう」メールに返信できない日も結構あった。
だから僕は、寝る前に「おやすみ」って送っていた。

千尋を信じよう、僕はだんだんそう思えるようになっていたんだ。
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