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本当の最終決戦
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「二人とも、帰ってきたね」
気が付くとそばには小さいミユがいた。まだあの二人は戦っているんだろうか。
「ミユ、二人は?」
「兄さんが押され始めているよ。そろそろかな」
ミユが高く舞い上がった。
くるりと空で回る。
彼がなにか魔法を使ったように見える。
森が地響きを上げ始めた。
僕は慌てて立ち上がった。
何が起こり始めているんだろう。
木がどんどん伸び始めてくる。これは。
「成長の魔法だよ。これで僕を捕らえるんだ」
ミユが説明してくれた。
「ぐああ」
ミユが苦しむ声。彼が太い木の枝にからめとられている。ミユが抵抗しているのか、木がみしみしと音を立てた。
このまま、ミユを捕らえておけるのも時間の問題だ。
チヒロさんは座り込んで荒く呼吸をしていた。
もう体力の限界だったんだろう。
僕達はチヒロさんのもとへ駆け寄った。
「チヒロさん!」
「すまない、俺の力ではこれくらいしかできない」
「十分だよ、兄さん」
ミユはミユの前に向かった。
「お前は?」
縛り付けられたミユが呻く。
「僕は君の未来の僕。加那太達のおかげで生き残れた」
未来からきたミユが笑う。
「僕は君も救う、薬を飲んだだろう?直に効いてくるはずだ。」
そう言って小さいミユは姿を消した。
ずるずると木の枝が緩まっていく。
ミユは滑るように下に落ちてきた。
千尋が下で彼を抱きとめてくれる。
「僕は?」
ミユはぼんやりしている。黒い翼がぽろりと落ちて白い翼が生えてきた。
彼の体に血液らしい赤黒い大きなしみが何箇所かついている。
確認したらミユの血液ではない。だとしたら。
僕はチヒロさんに向き直った。まさか。
「チヒロさん?」
彼の下に血だまりが出来ている。
「カムイ!」
チヒロさんがケガをしている。なんとか二人で彼を横にさせることができた。
でも出血が止まらない。自分のシャツを破って、それで傷口をきつく縛って止血を試みた。
どうしよう。回復魔法は彼に使えない。
ふとカプセルのことを思い出す。
チヒロさんもあれを飲んでいる。
あのカプセルを作った彼方姫の思い。
ミユとチヒロさん、二人が共通するある事項を無効にできたら?僕は必死に考えた。
そうだ、だって先程、ミユで効果は実証されている。
(あのカプセルが、血の制約を解除できるものだとしたら)
だとしたら。僕は力を呼び起こした。ミユの力を。
これで回復できるかもしれない。
「加那?回復できるのか?」
「やってみる」
こんなに重傷を負った人を回復するのは初めてだ。
でもやるしかない。
僕はチヒロさんの傷の上に手をかざした。
力を込める、傷口全体に行き渡るように。
「加那太、ありがとう」
荒く呼吸をしていたチヒロさんの様子が変わる。
確認すると、傷はほとんどふさがっていた。
回復魔法が効いた。
よかった。
チヒロさんが起き上がってミユのそばに座った。ぼんやりしている彼を抱き上げる。
「ミユ、すまなかった」
「兄さん?」
チヒロさんは泣いている。
ミユはまだ眠そうだ。薬の副作用かもしれない。
「カムイ、あんたリバーズでなにしていたんだ?」
千尋がたたきつけるように言う。チヒロさんは頷いてこう答えた。
「プラチナの会に俺は望んで血を提供した。まさか病気のウイルスにされるなんて思わなかった」
「なんでそんなことを?」
「ミユの血液に異常が見つかってな」
チヒロさんはあらゆる治療法を探したらしい。
それは見つからなかった。そこで相談を持ち掛けてきたのがプラチナの会だったらしい。
ミユを治せると彼らは言った。
「結局ミユを救えなかった。俺は駄目な兄貴だ」
「そんなこと」
チヒロさんが立ち上がる。
「俺はそろそろ元の時空に戻らなくてはいけない。ミユを頼んだぞ。お前たちには感謝している」
そうか、チヒロさんも彼方姫も未来から僕たちを助けるためにいてくれたんだ。
自分を救えって初めに言われたけど、僕たちの方がよっぽど救われている。
そして気が付くと僕たちはエアリス市内にいた。
ミユは僕の膝の上ですうすう眠っている。
「ミユ?ミユ!」
チヒロさんが叫んで駆け寄ってきた。よかった、戻ってこられた。
彼方姫が静かに僕の隣に座る。
「上手く行ったのね」
「まだやることがあるんです」
そう言うと、彼女は首を傾げて笑った。
それから僕達は、彼方姫や、チヒロさんに起こったことを全て話した。彼らには未来で自分を助ける必要がある。
ミユはまだ眠り続けている。
医師の診断からすると、神になった反動が来ているのだろうということだった。
血液の異常は発見されなかったから、カプセルはそれすらも補ったんだろう。
彼方姫はやっぱりすごい薬を作る。
プラチナの会は、今でも名前を変えてまだ存在しているらしい。
だが前ほど力は持っていないそうだ。
そして、エアリスで行われた神の泉の調査について、僕達は詳しい話を聞くことができた。
「あの時、チヒロはあたしをかばって飛んできたエネルギーを受けたの」
彼方姫はその時、チヒロさんが魔力で回復できないことを知り、呪いだと思ったらしい。
彼女もまた魔力を失い、動転していたこともあったそうだ。
「加那太、あたしは二人と長い付き合いなのにどうしてそのことを教えてくれなかったのかしら。もし知っていれば」
彼女が切なそうに言う。
「きっと、彼方姫に心配をかけたくなかったんですよ」
「そうね。そう思うことにするわ」
きっと三人ならこのわだかまりもすぐなくなると思う。
未来の彼らがそうだったんだからきっと大丈夫だ。
「二人とも、本当に異世界へ帰るの?」
あれから、目を覚ましたミユはとても元気だった。
僕達は彼の言葉に頷く。
「ちょっと向こうでやることがあるから」
「ふーん。でもいつでもここに来ていいからね」
「ありがとう」
ミユが神になった反動で起きたこと。それは彼が尋常じゃない魔力の持ち主になったことだろうか。
前から強かったのに、ますます強くなったらしい。
チヒロさんは毎日、なんだか嬉しそうだし、本当によかった。
「じゃあまたね、加那太、千尋。君達にさよならは言わないよ」
ミユが手を振る。僕も振り返した。
さよなら、ミユ。またね。
気が付くとそばには小さいミユがいた。まだあの二人は戦っているんだろうか。
「ミユ、二人は?」
「兄さんが押され始めているよ。そろそろかな」
ミユが高く舞い上がった。
くるりと空で回る。
彼がなにか魔法を使ったように見える。
森が地響きを上げ始めた。
僕は慌てて立ち上がった。
何が起こり始めているんだろう。
木がどんどん伸び始めてくる。これは。
「成長の魔法だよ。これで僕を捕らえるんだ」
ミユが説明してくれた。
「ぐああ」
ミユが苦しむ声。彼が太い木の枝にからめとられている。ミユが抵抗しているのか、木がみしみしと音を立てた。
このまま、ミユを捕らえておけるのも時間の問題だ。
チヒロさんは座り込んで荒く呼吸をしていた。
もう体力の限界だったんだろう。
僕達はチヒロさんのもとへ駆け寄った。
「チヒロさん!」
「すまない、俺の力ではこれくらいしかできない」
「十分だよ、兄さん」
ミユはミユの前に向かった。
「お前は?」
縛り付けられたミユが呻く。
「僕は君の未来の僕。加那太達のおかげで生き残れた」
未来からきたミユが笑う。
「僕は君も救う、薬を飲んだだろう?直に効いてくるはずだ。」
そう言って小さいミユは姿を消した。
ずるずると木の枝が緩まっていく。
ミユは滑るように下に落ちてきた。
千尋が下で彼を抱きとめてくれる。
「僕は?」
ミユはぼんやりしている。黒い翼がぽろりと落ちて白い翼が生えてきた。
彼の体に血液らしい赤黒い大きなしみが何箇所かついている。
確認したらミユの血液ではない。だとしたら。
僕はチヒロさんに向き直った。まさか。
「チヒロさん?」
彼の下に血だまりが出来ている。
「カムイ!」
チヒロさんがケガをしている。なんとか二人で彼を横にさせることができた。
でも出血が止まらない。自分のシャツを破って、それで傷口をきつく縛って止血を試みた。
どうしよう。回復魔法は彼に使えない。
ふとカプセルのことを思い出す。
チヒロさんもあれを飲んでいる。
あのカプセルを作った彼方姫の思い。
ミユとチヒロさん、二人が共通するある事項を無効にできたら?僕は必死に考えた。
そうだ、だって先程、ミユで効果は実証されている。
(あのカプセルが、血の制約を解除できるものだとしたら)
だとしたら。僕は力を呼び起こした。ミユの力を。
これで回復できるかもしれない。
「加那?回復できるのか?」
「やってみる」
こんなに重傷を負った人を回復するのは初めてだ。
でもやるしかない。
僕はチヒロさんの傷の上に手をかざした。
力を込める、傷口全体に行き渡るように。
「加那太、ありがとう」
荒く呼吸をしていたチヒロさんの様子が変わる。
確認すると、傷はほとんどふさがっていた。
回復魔法が効いた。
よかった。
チヒロさんが起き上がってミユのそばに座った。ぼんやりしている彼を抱き上げる。
「ミユ、すまなかった」
「兄さん?」
チヒロさんは泣いている。
ミユはまだ眠そうだ。薬の副作用かもしれない。
「カムイ、あんたリバーズでなにしていたんだ?」
千尋がたたきつけるように言う。チヒロさんは頷いてこう答えた。
「プラチナの会に俺は望んで血を提供した。まさか病気のウイルスにされるなんて思わなかった」
「なんでそんなことを?」
「ミユの血液に異常が見つかってな」
チヒロさんはあらゆる治療法を探したらしい。
それは見つからなかった。そこで相談を持ち掛けてきたのがプラチナの会だったらしい。
ミユを治せると彼らは言った。
「結局ミユを救えなかった。俺は駄目な兄貴だ」
「そんなこと」
チヒロさんが立ち上がる。
「俺はそろそろ元の時空に戻らなくてはいけない。ミユを頼んだぞ。お前たちには感謝している」
そうか、チヒロさんも彼方姫も未来から僕たちを助けるためにいてくれたんだ。
自分を救えって初めに言われたけど、僕たちの方がよっぽど救われている。
そして気が付くと僕たちはエアリス市内にいた。
ミユは僕の膝の上ですうすう眠っている。
「ミユ?ミユ!」
チヒロさんが叫んで駆け寄ってきた。よかった、戻ってこられた。
彼方姫が静かに僕の隣に座る。
「上手く行ったのね」
「まだやることがあるんです」
そう言うと、彼女は首を傾げて笑った。
それから僕達は、彼方姫や、チヒロさんに起こったことを全て話した。彼らには未来で自分を助ける必要がある。
ミユはまだ眠り続けている。
医師の診断からすると、神になった反動が来ているのだろうということだった。
血液の異常は発見されなかったから、カプセルはそれすらも補ったんだろう。
彼方姫はやっぱりすごい薬を作る。
プラチナの会は、今でも名前を変えてまだ存在しているらしい。
だが前ほど力は持っていないそうだ。
そして、エアリスで行われた神の泉の調査について、僕達は詳しい話を聞くことができた。
「あの時、チヒロはあたしをかばって飛んできたエネルギーを受けたの」
彼方姫はその時、チヒロさんが魔力で回復できないことを知り、呪いだと思ったらしい。
彼女もまた魔力を失い、動転していたこともあったそうだ。
「加那太、あたしは二人と長い付き合いなのにどうしてそのことを教えてくれなかったのかしら。もし知っていれば」
彼女が切なそうに言う。
「きっと、彼方姫に心配をかけたくなかったんですよ」
「そうね。そう思うことにするわ」
きっと三人ならこのわだかまりもすぐなくなると思う。
未来の彼らがそうだったんだからきっと大丈夫だ。
「二人とも、本当に異世界へ帰るの?」
あれから、目を覚ましたミユはとても元気だった。
僕達は彼の言葉に頷く。
「ちょっと向こうでやることがあるから」
「ふーん。でもいつでもここに来ていいからね」
「ありがとう」
ミユが神になった反動で起きたこと。それは彼が尋常じゃない魔力の持ち主になったことだろうか。
前から強かったのに、ますます強くなったらしい。
チヒロさんは毎日、なんだか嬉しそうだし、本当によかった。
「じゃあまたね、加那太、千尋。君達にさよならは言わないよ」
ミユが手を振る。僕も振り返した。
さよなら、ミユ。またね。
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