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お家デート(大地×翼)
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「翼さん、明日お仕事お休みだよね?」
ある日の夜のこと、パートナーの大地に問われ、翼は頷いた。最近仕事のタスクに追われ忙しかった翼である。やっと休みという気持ちで気が抜けていた。
「よかった。明日は俺も休みだからどこか行く?」
デートに誘われていると気が付き、翼は大地を見つめた。
「あのね、大地くん。明日はお家デートしよ?」
大地が目を丸くする。翼は急に恥ずかしくなった。
「さ、最近あんまり一緒にいられなかったから…その…あ!嫌かな?」
大地がふっと笑った。
「いいよ。しようか、お家デート」
「いいの?!」
「でも2人きりだから結構触っちゃうかもね」
大地の言葉にドキッとしてしまった翼である。だが、嬉しい気持ちもあった。
「だ、大地くんに触ってほしい」
「翼さんは本当に可愛いんだから。1人で外出は危ないな」
大地が困ったように言う。
「大丈夫だよ。俺、近くの100円ショップによく1人で行くし」
「翼さんのキャラクターグッズが最近やたら増えてるのそれか」
大地の言葉にまたドキッとしてしまった翼である。
「な、なんで100円ショップでグッズ買ってるって知ってるの?」
「え、この間酔っぱらった翼さんがグッズ1つ百円でいいでしょうって。そのキャラのディテールとか紹介してくれたし」
「俺そんなことしてたの?!」
「あ、やっぱり覚えてなかったんだ」
かーっと顔が熱くなった翼である。酒に弱い自覚はあるが、時々こうしてやらかしてしまう。
「翼さんの推し、引けたんだよね」
「う、うん」
「翼さん、今度祭壇作ろうね」
「え?いいの?」
「翼さんがグッズ集めてるのそのためなんでしょ?」
どこまでも優しいパートナーに翼は骨抜きになった。
「大地くん、好き」
ギュッと大地にしがみつくと、大地も翼を抱き締めてくれた。
「俺も翼さんが好きだよ」
翼は恥ずかしくなって更に抱き着いていた。
*
「わぁ、ピザだぁ!」
夕飯時になっている。この家では、いつも2人で家事をこなしていた。
大地が冷蔵庫から取り出したのはピザ生地である。
「うん、ずっとここの店のピザ生地食べてみたかったんだよね。ちょうど見切り品になってたから」
「大地くん、女子力高いね」
「よく言われる」
大地がそう言いながらピザ生地にたっぷりチーズを載せた。
「これでトースターで焼く、と。翼さん、パスタは明太クリームでいい?」
「うん。お湯沸いてきたね」
「よし、なら作っていこっか」
そんなこんなで夕飯が出来上がる。
「いただきまーす!」
「翼さん、赤ワイン飲む?」
「どうしよう」
ちょっと迷った翼だったが、目の前に並ぶ料理を見たら我慢できなかった。
「い、一杯だけね」
「ふふ」
美味しい食事に2人は舌鼓を打った。
*
翼は寝る前にやることにしている、SNS用のイラストを描いていた。大地もなにやら仕事をしている。翼がイラストを描いていると大地が隣に座ってきた。
「翼さん、明日は何をしようか?」
「あのね、一緒に映画観たいの。候補がいくつかあるんだけど」
「何がいいかな?」
翼は持っていたタブレットの画面を切り替えて大地に見せた。
「へぇ。これ、この間賞獲った作品だよね?」
「そうなの。アニメーション映画になったんだよ」
「こっちのタイトルも聞いたことある」
2人は話し合って2本まで絞り込んだ。
「翼さん、今日はよく休んでね。体調が優先だよ」
「うん、絵もちょうど出来たからもう寝るよ」
「おやすみ、翼さん」
「おやすみなさい」
大地におやすみのキスをされて、翼はドキドキしながら寝室に向かった。ベッドに入り、先程描いたイラストをSNSに上げる。タブレットの電源を落として、翼は横になった。
(大地くんとデート、久しぶりだな)
翼はいつの間にか眠っていた。
*
「ん…」
翼は慌てて起き上がった。近くの時計で時間を確認すると、既に午前9時を回っている。
「わぁ!!寝過ぎた!!!」
ベッドから降りて、居間に向かう。
「おはよう、翼さん」
「おはよう!ごめんね、大地くん」
「なんで謝るの?」
不思議そうに問われて、翼は下を向いた。
「だって、今日はいっぱい大地くんと一緒にいたいんだもん」
大地が近寄ってきて翼の手を取る。
「大丈夫」
そう言われて優しく抱き寄せられていた。
「翼さん、今日も肩凝ってるねー」
「んっ!」
ぐっと肩を指で押される。大地は整体師だ。普段から翼の身体のメンテナンスをしてくれている。
「繋がってるからさ、背中の筋肉も凝るんだよね」
「ふぐっ…はっ…」
大地の指圧につい喘いでしまう。
「翼さん、エッチな声出さないの」
「らって…ひぐっ!」
今度は腰を押された。
「これから冷えるから腰も気を付けてあげてね。今月、院に予約しておこうか?湿布も要るよね?」
「お願いします」
大地が仕事用のメモ帳にメモをしている。整体院で行う翼のマッサージは大地が担当している。他の人にはやらせたくないと言う理由からだ。
「とりあえず朝食にしようか。カフェオレでいい?」
「うん、ありがとう」
食卓に並んでいたものはトーストに目玉焼き、ハムサラダ、ヨーグルトだった。翼はカリカリのトーストにバターを塗って齧りついた。
「ふぁ、ウマ」
「美味しいよね、その食パン。最近スーパーで焼いてるやつ買ってるんだよ」
「ふえ、そうなんだあ。美味しいよ」
大地がカフェオレの入ったマグカップを置いてくれた。
「俺、ちょっと院に湿布の在庫確認してくるね」
「うん」
ゆっくり食べててと言われ、翼は頷いた。翼と大地は三階建ての雑居ビルの三階に住んでいる。二階は大地が経営する整体院だ。三階は翼のアトリエ含む居住スペースになっている。
翼はゲームキャラクターのデザインをするイラストレーター兼漫画家である。
普段はソーシャルゲームのキャラデザインをメインにしており、時折コミカライズも手掛けている。
2人はとある合同コンパで出会い、付き合うようになった。もうすぐ付き合い始めて5年が経とうとしている。2人の仲は変わらずラブラブだ。
(俺たち、このままおじいちゃんになるまでずっと仲良く出来るかな?)
大地のことを疑っているわけじゃない。自身の年齢がこれから上がることにふと不安を感じたのだ。アラサーになって、これからアラフォーにと考えた時、恐ろしくなった。老いは誰にも止められない。
「翼さん?大丈夫?」
翼はハッとなった。いつの間にかフリーズしていたらしい。大地が翼の前にしゃがむ。
「翼さん、具合良くない?」
「ううん、あの…次の仕事のこと考えてたの」
咄嗟に嘘をついてみたが、大地を騙せた例がなかった。
「そうなんだ。負担が大きいようならちゃんと担当さんと相談してね。俺も話聞くし」
「う、うん」
大地は一応信じてくれたらしい。それにも罪悪感を覚えた。なんとか朝食を終えて、食器を片付ける。
翼は自身の頬を叩き気合いを入れた。今日は自分から提案したデートである。大地を不安にさせている場合ではない。
「大地くん、お菓子いっぱいあるの。どれがいい?」
翼は買ってきた菓子類を並べた。大地が手に取り選び始める。
「本当にいっぱいあるね。どれがいいかなー」
大地が手に取ったのは翼が好きな菓子だった。
「これにするー」
「俺もそれ好き」
「翼さん、美味しそうに食べるもん。見てて楽しいよ」
ドキッとしてしまった翼である。
「え?見てるんだ?」
「うん。翼さん、今日も天使だなーって」
大地の言葉が嬉しいが恥ずかしい。
「映画観ようか」
なんとか空気を切り替えようと翼はネットに繋げている居間のテレビの電源を点けた。昨日観たいと決めていた映画を表示させる。
「2本決めたけど、短いほうから観る?」
「うん、そうだね」
翼は部屋を暗くし、リモコンで映画を流した。
「わぁ、映像綺麗」
「今のアニメってすごいよね」
映画の内容は一匹の子犬が飼い主を探して何年もの間、旅をするというものだった。翼の涙腺はすぐさま崩壊した。
「うっ…ずっと…ひとりぼっちで…っ…」
「翼さん、ティッシュ要る?」
「要る…」
大地が渡してくれたティッシュで鼻をかみ、翼はやっと落ち着いた。
「面白かったねぇ。ワンちゃんって怖いって思ってたけど可愛いんだ」
「あれ?翼さん、もしかして犬苦手?」
「動物全部怖いって思ってた」
「そうだったんだぁ。あ、俺たち、お菓子食べるの忘れてたね」
「俺がずっと泣いてたから、ごめんね」
「全然いいんだよ」
2人はお菓子を食べ始めた。
「家でこうして映画観るのもいいね。ちょっと休憩しようか」
「うん」
「ね、翼さん…?」
大地が翼の手に自身の手を重ねてくる。
「キスしていい?」
「うん」
かあっと顔が熱くなったがなんとか頷く。
「翼さん、可愛い。好き」
ちゅ、と食べられるようにキスをされた。
「んっ…つ…ふ…はぁ…ふ!」
舌を吸われ快感に震えていると、大地の手が服の中に入ってくる。
「あん、だい…ちくん…ん」
既に期待で勃ち上がった自身の湿りに翼は焦った。このままではあっさり達してしまう。
「まって…いっちゃ…」
「翼さん」
「ひぎっ」
耳たぶを咥えられ熱っぽく囁かれる。
「らめ…も、いっちゃ」
大地は翼の履いていたパンツをあっさり下着ごと脱がせた。
「いいよ、いっぱいいこっか」
「んんっ!」
大地の大きな手で自身を握られ緩く擦られる。翼はあっさり達していた。だが、それで許してくれる大地ではない。
そのまま後ろを探られる。
「っく!」
「翼さん、力を抜いてね。触るよ」
「ふっ…んん」
大地の指が中に入ってくる苦しさに翼は呻いた。
「大丈夫、痛くないよね?」
「いたく…ない…あっ!」
大地の指が良いところを掠め、翼は喘いだ。
「ここ良かった?」
くにくにと繰り返し刺激され、翼の自身はまた勃ち上がっている。
「あんっ…らめ…」
「駄目なの?」
手を止められる。
「あ…もっとして欲しい」
言うのは恥ずかしかったが、快楽を求めるもどかしさには敵わなかった。
「翼さん、いい子。ちゃんと言えたね」
「っひ!!」
大地の指に奥を刺激され、翼はまた達していた。
*
「翼さん、気持ちいいね…」
「ん…っう…んっ!!」
後背位でずんずんと大地に突かれて翼は喘ぐのに必死だった。
「翼さん、顔見せて?」
「んぁ…」
正常位に姿勢を変えられ翼は悲鳴に近い声をあげた。
「可愛い顔だね、2人でよくなろうね」
「ンンっ!」
大地にされるがまま揺さぶられ、翼は達していた。大地もほぼ同じタイミングで果てたようだった。
「大丈夫?」
「あ…気持ちよかった」
「よかった。今身体を拭くね」
「ありがとう」
大地がふかふかの洗いたてのタオルで翼の身体を拭いてくれた。
「翼さん、もうパジャマでいい?今、お風呂沸かしてるから」
何もかも大地にやってもらってしまっていると翼は焦った。
「だ、いちく…けほ…」
声を出そうとしたら掠れて咳が出た。
「翼さん、やり過ぎちゃったね、ごめんね」
ぎゅっと大地に抱き締められる。
「ん…大丈夫」
「良かった」
こうして大地に愛されるのは幸せだ。翼は大地にしがみついていた。
*
「えー、俺がやらなきゃいけないの?」
ある日の夜、翼がいつものようにSNS用のイラストを描いていると、大地の不満そうな声が聞こえた。
(どうしたんだろ?)
翼が様子を窺っていると、通話を終えたらしい大地がやってくる。
「どうしたの?」
翼がそう尋ねると、大地が隣に座った。
「うん、それがね、今週の日曜日に競馬場に行けって言われちゃって」
「競馬場?なんでなの?」
大地とはまるで縁がない場所である。
「うん、おじいさまが馬主をしている馬が走るから写真を撮ってきてくれって」
「あ…今フランスにいるんだっけ?」
「そう、だから俺が代わりにって」
翼はワクワクしていた。
「俺も行く」
「え!翼さん、行きたいの?人が沢山いるよ?」
「楽しそう」
普段外に出ない翼だ。お祭りみたいだと気分が上がっていた。
「分かった。でも無理なスケジュールは組まないでね?」
「うん」
「ちょっと他のスタッフに連絡してくるね」
「はーい」
大地が離れたのを確認して、翼はタブレットを叩いてカレンダーアプリを呼び出した。仕事のスケジュールをこのアプリで、担当と同期している。
「Hi、ツバサ。どうされましたか?」
AIが翼の操作に反応する。翼はタブレットに向かって言った。
「今週の日曜日、遊びに行きたいから仕事のリスケして」
「かしこまりました。
ツバサ、このスケジュールですと、少し忙しくなりますよ?」
「いいよ。お願い」
「かしこまりました」
AIの技術は近年、どんどんと上がってきている。はじめこそ懐疑的だったが、今ではすっかり頼り切りだ。一応スケジュールを確認してみると確かに忙しくなりそうだった。
「忙しいって有難いんだよね。うん、頑張って稼ぐぞ!」
翼はイラストをSNSに上げて電源を落とした。もう眠る時間だ。毎日元気に働くために翼は横になって目を閉じた。
ある日の夜のこと、パートナーの大地に問われ、翼は頷いた。最近仕事のタスクに追われ忙しかった翼である。やっと休みという気持ちで気が抜けていた。
「よかった。明日は俺も休みだからどこか行く?」
デートに誘われていると気が付き、翼は大地を見つめた。
「あのね、大地くん。明日はお家デートしよ?」
大地が目を丸くする。翼は急に恥ずかしくなった。
「さ、最近あんまり一緒にいられなかったから…その…あ!嫌かな?」
大地がふっと笑った。
「いいよ。しようか、お家デート」
「いいの?!」
「でも2人きりだから結構触っちゃうかもね」
大地の言葉にドキッとしてしまった翼である。だが、嬉しい気持ちもあった。
「だ、大地くんに触ってほしい」
「翼さんは本当に可愛いんだから。1人で外出は危ないな」
大地が困ったように言う。
「大丈夫だよ。俺、近くの100円ショップによく1人で行くし」
「翼さんのキャラクターグッズが最近やたら増えてるのそれか」
大地の言葉にまたドキッとしてしまった翼である。
「な、なんで100円ショップでグッズ買ってるって知ってるの?」
「え、この間酔っぱらった翼さんがグッズ1つ百円でいいでしょうって。そのキャラのディテールとか紹介してくれたし」
「俺そんなことしてたの?!」
「あ、やっぱり覚えてなかったんだ」
かーっと顔が熱くなった翼である。酒に弱い自覚はあるが、時々こうしてやらかしてしまう。
「翼さんの推し、引けたんだよね」
「う、うん」
「翼さん、今度祭壇作ろうね」
「え?いいの?」
「翼さんがグッズ集めてるのそのためなんでしょ?」
どこまでも優しいパートナーに翼は骨抜きになった。
「大地くん、好き」
ギュッと大地にしがみつくと、大地も翼を抱き締めてくれた。
「俺も翼さんが好きだよ」
翼は恥ずかしくなって更に抱き着いていた。
*
「わぁ、ピザだぁ!」
夕飯時になっている。この家では、いつも2人で家事をこなしていた。
大地が冷蔵庫から取り出したのはピザ生地である。
「うん、ずっとここの店のピザ生地食べてみたかったんだよね。ちょうど見切り品になってたから」
「大地くん、女子力高いね」
「よく言われる」
大地がそう言いながらピザ生地にたっぷりチーズを載せた。
「これでトースターで焼く、と。翼さん、パスタは明太クリームでいい?」
「うん。お湯沸いてきたね」
「よし、なら作っていこっか」
そんなこんなで夕飯が出来上がる。
「いただきまーす!」
「翼さん、赤ワイン飲む?」
「どうしよう」
ちょっと迷った翼だったが、目の前に並ぶ料理を見たら我慢できなかった。
「い、一杯だけね」
「ふふ」
美味しい食事に2人は舌鼓を打った。
*
翼は寝る前にやることにしている、SNS用のイラストを描いていた。大地もなにやら仕事をしている。翼がイラストを描いていると大地が隣に座ってきた。
「翼さん、明日は何をしようか?」
「あのね、一緒に映画観たいの。候補がいくつかあるんだけど」
「何がいいかな?」
翼は持っていたタブレットの画面を切り替えて大地に見せた。
「へぇ。これ、この間賞獲った作品だよね?」
「そうなの。アニメーション映画になったんだよ」
「こっちのタイトルも聞いたことある」
2人は話し合って2本まで絞り込んだ。
「翼さん、今日はよく休んでね。体調が優先だよ」
「うん、絵もちょうど出来たからもう寝るよ」
「おやすみ、翼さん」
「おやすみなさい」
大地におやすみのキスをされて、翼はドキドキしながら寝室に向かった。ベッドに入り、先程描いたイラストをSNSに上げる。タブレットの電源を落として、翼は横になった。
(大地くんとデート、久しぶりだな)
翼はいつの間にか眠っていた。
*
「ん…」
翼は慌てて起き上がった。近くの時計で時間を確認すると、既に午前9時を回っている。
「わぁ!!寝過ぎた!!!」
ベッドから降りて、居間に向かう。
「おはよう、翼さん」
「おはよう!ごめんね、大地くん」
「なんで謝るの?」
不思議そうに問われて、翼は下を向いた。
「だって、今日はいっぱい大地くんと一緒にいたいんだもん」
大地が近寄ってきて翼の手を取る。
「大丈夫」
そう言われて優しく抱き寄せられていた。
「翼さん、今日も肩凝ってるねー」
「んっ!」
ぐっと肩を指で押される。大地は整体師だ。普段から翼の身体のメンテナンスをしてくれている。
「繋がってるからさ、背中の筋肉も凝るんだよね」
「ふぐっ…はっ…」
大地の指圧につい喘いでしまう。
「翼さん、エッチな声出さないの」
「らって…ひぐっ!」
今度は腰を押された。
「これから冷えるから腰も気を付けてあげてね。今月、院に予約しておこうか?湿布も要るよね?」
「お願いします」
大地が仕事用のメモ帳にメモをしている。整体院で行う翼のマッサージは大地が担当している。他の人にはやらせたくないと言う理由からだ。
「とりあえず朝食にしようか。カフェオレでいい?」
「うん、ありがとう」
食卓に並んでいたものはトーストに目玉焼き、ハムサラダ、ヨーグルトだった。翼はカリカリのトーストにバターを塗って齧りついた。
「ふぁ、ウマ」
「美味しいよね、その食パン。最近スーパーで焼いてるやつ買ってるんだよ」
「ふえ、そうなんだあ。美味しいよ」
大地がカフェオレの入ったマグカップを置いてくれた。
「俺、ちょっと院に湿布の在庫確認してくるね」
「うん」
ゆっくり食べててと言われ、翼は頷いた。翼と大地は三階建ての雑居ビルの三階に住んでいる。二階は大地が経営する整体院だ。三階は翼のアトリエ含む居住スペースになっている。
翼はゲームキャラクターのデザインをするイラストレーター兼漫画家である。
普段はソーシャルゲームのキャラデザインをメインにしており、時折コミカライズも手掛けている。
2人はとある合同コンパで出会い、付き合うようになった。もうすぐ付き合い始めて5年が経とうとしている。2人の仲は変わらずラブラブだ。
(俺たち、このままおじいちゃんになるまでずっと仲良く出来るかな?)
大地のことを疑っているわけじゃない。自身の年齢がこれから上がることにふと不安を感じたのだ。アラサーになって、これからアラフォーにと考えた時、恐ろしくなった。老いは誰にも止められない。
「翼さん?大丈夫?」
翼はハッとなった。いつの間にかフリーズしていたらしい。大地が翼の前にしゃがむ。
「翼さん、具合良くない?」
「ううん、あの…次の仕事のこと考えてたの」
咄嗟に嘘をついてみたが、大地を騙せた例がなかった。
「そうなんだ。負担が大きいようならちゃんと担当さんと相談してね。俺も話聞くし」
「う、うん」
大地は一応信じてくれたらしい。それにも罪悪感を覚えた。なんとか朝食を終えて、食器を片付ける。
翼は自身の頬を叩き気合いを入れた。今日は自分から提案したデートである。大地を不安にさせている場合ではない。
「大地くん、お菓子いっぱいあるの。どれがいい?」
翼は買ってきた菓子類を並べた。大地が手に取り選び始める。
「本当にいっぱいあるね。どれがいいかなー」
大地が手に取ったのは翼が好きな菓子だった。
「これにするー」
「俺もそれ好き」
「翼さん、美味しそうに食べるもん。見てて楽しいよ」
ドキッとしてしまった翼である。
「え?見てるんだ?」
「うん。翼さん、今日も天使だなーって」
大地の言葉が嬉しいが恥ずかしい。
「映画観ようか」
なんとか空気を切り替えようと翼はネットに繋げている居間のテレビの電源を点けた。昨日観たいと決めていた映画を表示させる。
「2本決めたけど、短いほうから観る?」
「うん、そうだね」
翼は部屋を暗くし、リモコンで映画を流した。
「わぁ、映像綺麗」
「今のアニメってすごいよね」
映画の内容は一匹の子犬が飼い主を探して何年もの間、旅をするというものだった。翼の涙腺はすぐさま崩壊した。
「うっ…ずっと…ひとりぼっちで…っ…」
「翼さん、ティッシュ要る?」
「要る…」
大地が渡してくれたティッシュで鼻をかみ、翼はやっと落ち着いた。
「面白かったねぇ。ワンちゃんって怖いって思ってたけど可愛いんだ」
「あれ?翼さん、もしかして犬苦手?」
「動物全部怖いって思ってた」
「そうだったんだぁ。あ、俺たち、お菓子食べるの忘れてたね」
「俺がずっと泣いてたから、ごめんね」
「全然いいんだよ」
2人はお菓子を食べ始めた。
「家でこうして映画観るのもいいね。ちょっと休憩しようか」
「うん」
「ね、翼さん…?」
大地が翼の手に自身の手を重ねてくる。
「キスしていい?」
「うん」
かあっと顔が熱くなったがなんとか頷く。
「翼さん、可愛い。好き」
ちゅ、と食べられるようにキスをされた。
「んっ…つ…ふ…はぁ…ふ!」
舌を吸われ快感に震えていると、大地の手が服の中に入ってくる。
「あん、だい…ちくん…ん」
既に期待で勃ち上がった自身の湿りに翼は焦った。このままではあっさり達してしまう。
「まって…いっちゃ…」
「翼さん」
「ひぎっ」
耳たぶを咥えられ熱っぽく囁かれる。
「らめ…も、いっちゃ」
大地は翼の履いていたパンツをあっさり下着ごと脱がせた。
「いいよ、いっぱいいこっか」
「んんっ!」
大地の大きな手で自身を握られ緩く擦られる。翼はあっさり達していた。だが、それで許してくれる大地ではない。
そのまま後ろを探られる。
「っく!」
「翼さん、力を抜いてね。触るよ」
「ふっ…んん」
大地の指が中に入ってくる苦しさに翼は呻いた。
「大丈夫、痛くないよね?」
「いたく…ない…あっ!」
大地の指が良いところを掠め、翼は喘いだ。
「ここ良かった?」
くにくにと繰り返し刺激され、翼の自身はまた勃ち上がっている。
「あんっ…らめ…」
「駄目なの?」
手を止められる。
「あ…もっとして欲しい」
言うのは恥ずかしかったが、快楽を求めるもどかしさには敵わなかった。
「翼さん、いい子。ちゃんと言えたね」
「っひ!!」
大地の指に奥を刺激され、翼はまた達していた。
*
「翼さん、気持ちいいね…」
「ん…っう…んっ!!」
後背位でずんずんと大地に突かれて翼は喘ぐのに必死だった。
「翼さん、顔見せて?」
「んぁ…」
正常位に姿勢を変えられ翼は悲鳴に近い声をあげた。
「可愛い顔だね、2人でよくなろうね」
「ンンっ!」
大地にされるがまま揺さぶられ、翼は達していた。大地もほぼ同じタイミングで果てたようだった。
「大丈夫?」
「あ…気持ちよかった」
「よかった。今身体を拭くね」
「ありがとう」
大地がふかふかの洗いたてのタオルで翼の身体を拭いてくれた。
「翼さん、もうパジャマでいい?今、お風呂沸かしてるから」
何もかも大地にやってもらってしまっていると翼は焦った。
「だ、いちく…けほ…」
声を出そうとしたら掠れて咳が出た。
「翼さん、やり過ぎちゃったね、ごめんね」
ぎゅっと大地に抱き締められる。
「ん…大丈夫」
「良かった」
こうして大地に愛されるのは幸せだ。翼は大地にしがみついていた。
*
「えー、俺がやらなきゃいけないの?」
ある日の夜、翼がいつものようにSNS用のイラストを描いていると、大地の不満そうな声が聞こえた。
(どうしたんだろ?)
翼が様子を窺っていると、通話を終えたらしい大地がやってくる。
「どうしたの?」
翼がそう尋ねると、大地が隣に座った。
「うん、それがね、今週の日曜日に競馬場に行けって言われちゃって」
「競馬場?なんでなの?」
大地とはまるで縁がない場所である。
「うん、おじいさまが馬主をしている馬が走るから写真を撮ってきてくれって」
「あ…今フランスにいるんだっけ?」
「そう、だから俺が代わりにって」
翼はワクワクしていた。
「俺も行く」
「え!翼さん、行きたいの?人が沢山いるよ?」
「楽しそう」
普段外に出ない翼だ。お祭りみたいだと気分が上がっていた。
「分かった。でも無理なスケジュールは組まないでね?」
「うん」
「ちょっと他のスタッフに連絡してくるね」
「はーい」
大地が離れたのを確認して、翼はタブレットを叩いてカレンダーアプリを呼び出した。仕事のスケジュールをこのアプリで、担当と同期している。
「Hi、ツバサ。どうされましたか?」
AIが翼の操作に反応する。翼はタブレットに向かって言った。
「今週の日曜日、遊びに行きたいから仕事のリスケして」
「かしこまりました。
ツバサ、このスケジュールですと、少し忙しくなりますよ?」
「いいよ。お願い」
「かしこまりました」
AIの技術は近年、どんどんと上がってきている。はじめこそ懐疑的だったが、今ではすっかり頼り切りだ。一応スケジュールを確認してみると確かに忙しくなりそうだった。
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