異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ

文字の大きさ
8 / 68

8

しおりを挟む
夜になっている。厚い雲の隙間から月明かりがチラチラ覗いている。この荒廃した世界で、月が見えるなんて、珍しいこともあるもんだな。端末で自分の場所を探ってみると、間もなく宿に到着だ。よかった、予定通り進めたな。無事に宿に到着して、ハクを解き放つ。ルネがハクの言っていたことを教えてくれた。自分で自分のことは出来る、だから心配不要とのことだった。ハクは暴れ馬どころか、すごく優しい子だった。危なっかしい俺たちの面倒を見なければ…と彼女の母性が爆発したらしい。なるほどな。ハクはただの馬じゃない。俺より遥かに色々なことが分かるようだ。そしてそれはルネも同様だ。二人共優しいから俺と一緒に旅をしてくれている。二人に恥ずかしいところはみせられないよな。

「ショーゴ、お腹空いたね」

「ずっと移動だったしね」

宿屋のレストランの席に着いて、俺たちはそれぞれ料理を頼んだ。ここに来るまでどうやって来たかと聞かれて陸路で来たと言ったら物凄く驚かれた。

陸路には強力なモンスターがウロウロしていて、とても進めないらしい。でも俺たちが歩いていた時にはモンスターの姿なんて見当たらなかったけど。きっとラッキーだったんだろう。明日はもっと気を引き締めないとな。宿屋の部屋は2つ取るつもりだったけど、ルネが一緒に寝ると言って聞かなかったので、少し大きな部屋にしてもらった。
俺はそこで装備を外した。ふう、やっと休める。ベッドに横になると、ルネがしがみついてくる。可愛いな。

「ショーゴ、おやすみ」

「おやすみ」

ルネが寝息を立て始める。俺は明日のルートを端末で確認していた。どうやら明日は野宿になりそうだ。モンスター対策はどうにかしないとな。
今日はよく休んでおこう。俺も目を閉じた。

「早く!早くしろ!!」

「ショーゴ!!助けて!!」

ルネが叫んでいる。俺は慌てて起きあがった。男たちがルネを麻袋に入れて拐おうとしている。俺の装備もだ。ルネは必死に抵抗している。男たちの手に噛みついたり殴ったりバタバタしている。

「なにをやっているんだ…」

俺の声に相手は怖気づいたようだ。

「ひぃっ!逃げろ!!」

「待て」

俺はものすごく怒っていた。強盗の腕をぐっと掴む。いつもより何故だか力が漲っている。

「なにをやっているかと聞いている」

ぐぐと男の腕を捻じると強盗は悲鳴を上げた。バキという骨が軋む音。結局奴らは何も盗らずに逃げ出していった。

「旦那!!大丈夫ですかい?!」

宿屋の主人は顔を殴られたのか、痣で青くなっていた。ひどい奴らだな。

「御主人こそ、その怪我…」

「あっしは大丈夫でさぁ。不覚を取っちまいました」

へへと照れたように主人は笑った。

「ショーゴ、怖かったよ!」

ルネが抱き着いてくる。俺はルネを抱き締めた。よかった、無事で。装備はまだ盗られてもいい。でもルネは絶対に守る。俺は気になって外に出た。ハクがこちらに駆け寄ってくる。騒ぎを聞きつけたのだろう。俺は彼女の首元を撫でた。

「ハク、あいつらはどっちへ逃げた?」

「ブル…」

「南東の方だって言ってるよ」

ルネがすかさず翻訳してくれる。俺は端末を見た。南東は中央に向かうためにこれから通る。

「馬はいたか?」

ハクは首を振って否定を示した。馬に乗らずにここまで来られるということは、近くに集落があるのかもしれない。宿の人が知らないってことは、最近出来たばかりか?
俺の頭の中を色々な考えが巡る。

「ショーゴ、これからどうするの?」

俺はルネの頭を撫でた。月明かりが優しく俺たちを照らしている。

「とりあえず休もう。俺はまだヘトヘトだ」

「うん」

ハクが再び走っていく。ルネと俺は部屋に戻って休んだ。まだまだ長い道中、休める時に休まないとな。

✢✢✢
早朝、宿屋で朝飯を食べて俺たちは出発している。かなり遠回りをしながらだ。この辺りには高い木々が生えているし目隠しの効果が期待できる。そこで、端末が鳴り出した。当然我等がピンフィーネ団長である。

「ショーゴ、何故遠回りを?理由を話せ」

あぁ、やっぱりそのことか。ピンフィーネさんには正直に話しておいたほうがいいよな。俺は昨日の件について詳しく話した。

「何、賊だと?ショーゴ、絶対に無理をするなよ。今から近くの騎士をそちらへ派遣させる」

「よろしくお願いします」

俺たちは東に向かって進んでいる。昨日のことがあったからわざとだ。俺の考えどおり、南東に集落があるとしたら、ぐるっと後ろに回って裏側から攻めたほうが有利だからな。攻めるなら…だけど。道なき道を俺たちは進む。

「ぁ」

ルネには何か見えたらしい。龍は目もいいんだな。ハクにも視認できているようだ。

「何かあった?」

「うん、小さいけど家がいくつかあるよ…でも」

やっぱり集落か。ルネはなにか言いたそうにして口を噤んだ。どうしたんだろう?しばらく歩くと向こうからもくもくと黒い煙が出ている。な、なんだ?火事か?このまま周りの木に燃え移ったりしたら俺たちもやられちまう。

「ハク!乗せてくれるか?」

「ブルル」

「僕も行くよ!」

ルネが龍の姿に戻る。俺はハクに飛び乗った。
全速力でハクを走らせる。ルネが飛びながら言った。

「やっぱりモンスターだよ、ショーゴ!人間を襲ってる!さっきもしかしてって思ったんだけど」

なるほどな。俺は騎乗から敵に切りかかった。なんだか、面倒なことに巻き込まれちまった。ルネがモンスターにかぶりつく。

「グギャッ」  

ボンと敵は黒い煙のようになって消滅する。なんなんだ?最後の一体を倒した。火はルネが傍にあった布で消し止めてくれた。あちらこちらに死体が倒れている。男がほとんどだったけど、女性もいた。子供がいなかったのはまだよかった。全部見て回ったけど、生きている人間は一人もいなかった。奥には宝物庫と思われる部屋があった。もしかして盗んだものかもしれない。ルネに見てもらったらその通りだと言われた。こんなに宝を貯め込んでどうするつもりだったんだろう?何かに使う予定だったのか?

「おーい!!」

馬に乗った騎士さんたちがこちらにやってくる。俺も彼らに手を振った。

「わぁ、こりゃ酷いですね」

「あ!こいつ国際手配されているやつ!」

「悪いことはできねえな」

どうやらこの集落は最近出来たばかりみたいだ。賊の集まりだったらしい。ここを新しい拠点にして、近くにある宿の客を食い物にしようと狙っていたらしい。それがたまたま俺たちだったみたいだ。ある意味不運だったのか?俺たちじゃない。賊たちがだ。

「ショーゴ殿、あとは我々が処理しますので!あとこれを!」

騎士さんの一人に渡されたのは立派な弓と矢筒だった。

「これ…」

俺が驚いていると、騎士さんが笑う。

「団長よりお預かりしたものです。ショーゴ殿なら上手く扱うと仰っていました」

「あ、ありがとう」

俺は弓と矢筒を背負った。恐ろしいほど軽いな。
そばで待っていてくれたルネとハクの元に戻ると、龍の姿だったルネにまた押し倒されてキスされた。ルネはあっという間に人間の姿に戻る。どうやらルネは俺とキスすることで変身に集中出来るらしい。ちょっと嬉しい。毎回押し倒されるのには慣れないけど。

「ショーゴ、その弓素敵だね!」

青い瞳をキラキラさせて、ルネは言った。
俺は戸惑いを隠せなかった。、それは、俺が小学生の頃から弓道を習っていたからだ。大学に入ってからはあまりやらなくなっていたけれど、体は覚えているものだ。矢を番えず、弓の弦を引き絞ってみる。ああ、変わらない感触だ。新しい武器がこうして俺の元にきたのだ。

「とりあえず先に進もう」

ルネをハクに乗せて、荷物も持ってもらった。周りの木々がだんだん低くなってきているな。向こうには高い山々が見える。そんな折だった。大きな龍が俺たちの前に立ち塞がってきたのだ。あまりの巨大さにびっくりした。でも龍からは殺意や敵意を感じない。ルネがハクから飛び降りた。

「ルネシア、ショーゴとは番になれたのですか?」

この声、聞き覚えがあるな。確かルネのお姉さんだ。

「まだだよ。僕はショーゴを龍の仕来たりに巻き込みたくない」

「あなたって子は」

「大体、母様のペンダントを失くしてる時点で僕に龍姫の役割を果たせないって証明してるようなものじゃないか!」

ルネがこんなに感情的になるのは見たことがない。

「ルネシア、加護は必ず元に戻します。あなたにも村に戻ってきて欲しい。皆そう思ってますよ」

「姉さん…」

龍は再び飛び去っていった。お姉さん、優しいな。

「姉さんもこうと決めたら梃子でも動かないんだから」

はああとルネがため息を吐いている。俺は笑ってしまった。ルネもそうだからだ。血は争えないのかもしれないな。しばらく歩くと木のない開けた場所に出た。日も暮れてきたし、そろそろ寝る準備をした方がいいかもしれない。俺は小学生の時に一度キャンプをしたことがあるだけだ。つまり素人である。

「火なら僕、熾せるよ」

乾いた木々を集めて、ルネがふう、と息を吐くと、もう火が付いてしまった。もしかして魔力?すごいな。さて、夕飯の支度をしようかな。食べないと元気出ないし。
ハクが持ってくれていた荷物の中から銅製の小さな鍋を取り出す。近くの川から水を汲んできて沸騰させる。いくら水が綺麗でも、生水は怖いもんな。団長がくれた栄養食を水に溶かすと熱いスープの出来上がりだ。ルネと代わりばんこにスープを飲んだ。そんなに驚くほど不味くない。ハクは近くに生えている草をむしゃむしゃ食べている。
テントを設営して、と。
中で端末を見ながらルートを確認する。うーん、今日は色々あったからあまり進めなかったな。

「ショーゴ、どう?」

ルネが不安そうな顔で尋ねてくる。

「大丈夫だからな。ほら、寝よう」

ルネの頭を撫でると、うんと頷いてルネは目を閉じた。俺も眠ろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

黒豚神子の異世界溺愛ライフ

零壱
BL
───マンホールに落ちたら、黒豚になりました。 女神様のやらかしで黒豚神子として異世界に転移したリル(♂)は、平和な場所で美貌の婚約者(♂)にやたらめったら溺愛されつつ、異世界をのほほんと満喫中。 女神とか神子とか、色々考えるのめんどくさい。 ところでこの婚約者、豚が好きなの?どうかしてるね?という、せっかくの異世界転移を台無しにしたり、ちょっと我に返ってみたり。 主人公、基本ポジティブです。 黒豚が攻めです。 黒豚が、攻めです。 ラブコメ。ほのぼの。ちょびっとシリアス。 全三話予定。→全四話になりました。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

魔王様に溺愛されています!

うんとこどっこいしょ
BL
「一目惚れをしたんだ、必ず俺に惚れさせてみせる」 異世界で目覚めた倉木春斗は、自分をじっと見つめる男──魔王・バロンと出会う。優しいバロンに、次第に惹かれていく春斗。けれど春斗には、知らぬ間に失った過去があった。ほのぼの、甘い、ラブコメファンタジー。 第一章 第二章 第三章 完結! 番外編追加

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

【完結】まずは結婚からで。〜出会って0日、夫夫はじめました〜

小門内田
BL
ドケチで貧乏な大学生の瀧本 純也は、冷徹御曹司の諏訪 冬悟に交際0日、いや、初対面で結婚を迫られる!? 契約から始まった奇妙な結婚生活は、次第に互いの心を少しずつ変えていく。 “契約から本物へ―” 愛を知らない御曹司×愛されたがりの大学生の、立場も性格も正反対な二人が、不器用に心を通わせていく、ドタバタあり、じんわり甘い、ゆるやかな日常BL。 ※最初は少し殺伐としていますが、ゆっくりと変化していく物語です。 ※男同士の結婚が、一般的な世界線となります。 ※関係性をわかりやすくするため、「嫁」や「妻」といった表現を使用しております。 ※同タイトルのpixiv版とは、加筆・修正しておりますので、若干内容が変わっております。 予めご了承ください。 ※更新日時等はXにてお知らせいたします

婚約破棄された公爵令嬢アンジェはスキルひきこもりで、ざまあする!BLミッションをクリアするまで出られない空間で王子と側近のBL生活が始まる!

山田 バルス
BL
婚約破棄とスキル「ひきこもり」―二人だけの世界・BLバージョン!?  春の陽光の中、ベル=ナドッテ魔術学院の卒業式は華やかに幕を開けた。だが祝福の拍手を突き破るように、第二王子アーノルド=トロンハイムの声が講堂に響く。 「アンジェ=オスロベルゲン公爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」  ざわめく生徒たち。銀髪の令嬢アンジェが静かに問い返す。 「理由を、うかがっても?」 「お前のスキルが“ひきこもり”だからだ! 怠け者の能力など王妃にはふさわしくない!」  隣で男爵令嬢アルタが嬉しげに王子の腕に絡みつき、挑発するように笑った。 「ひきこもりなんて、みっともないスキルですわね」  その一言に、アンジェの瞳が凛と光る。 「“ひきこもり”は、かつて帝国を滅ぼした力。あなたが望むなら……体験していただきましょう」  彼女が手を掲げた瞬間、白光が弾け――王子と宰相家の青年モルデ=リレハンメルの姿が消えた。 ◇ ◇ ◇  目を開けた二人の前に広がっていたのは、真っ白な円形の部屋。ベッドが一つ、机が二つ。壁のモニターには、奇妙な文字が浮かんでいた。 『スキル《ひきこもり》へようこそ。二人だけの世界――BLバージョン♡』 「……は?」「……え?」  凍りつく二人。ドアはどこにも通じず、完全な密室。やがてモニターが再び光る。 『第一ミッション:以下のセリフを言ってキスをしてください。  アーノルド「モルデ、お前を愛している」  モルデ「ボクもお慕いしています」』 「き、キス!?」「アンジェ、正気か!?」  空腹を感じ始めた二人に、さらに追い打ち。 『成功すれば豪華ディナーをプレゼント♡』  ステーキとワインの映像に喉を鳴らし、ついに王子が観念する。 「……モルデ、お前を……愛している」 「……ボクも、アーノルド王子をお慕いしています」  顔を寄せた瞬間――ピコンッ! 『ミッション達成♡ おめでとうございます!』  テーブルに豪華な料理が現れるが、二人は真っ赤になったまま沈黙。 「……なんか負けた気がする」「……同感です」  モニターの隅では、紅茶を片手に微笑むアンジェの姿が。 『スキル《ひきこもり》――強制的に二人きりの世界を生成。解除条件は全ミッション制覇♡』  王子は頭を抱えて叫ぶ。 「アンジェぇぇぇぇぇっ!!」  天井スピーカーから甘い声が響いた。 『次のミッション、準備中です♡』  こうして、トロンハイム王国史上もっとも恥ずかしい“ひきこもり事件”が幕を開けた――。

処理中です...