異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ

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俺たちは逃げ込んできたモンスターたちをなんとか村の外へ誘導した。避難させたヒトたちにも、もう大丈夫だからと街へ戻ってもらった。ルネは見た目が目立つせいか、避難誘導が上手いらしい。これからなにかあっても安心だな。俺たちは街・クロガネを出て、フィールドにいる。風が吹いているな。クロガネの近くは草原だった。お陰で、見晴らしがすごくいい。オレンジ色の夕日が俺たちを照らしていた。
先程のモンスターたちがあちらこちらに座り込んで休んでいる。俺たちは彼等を怖がらせない距離までやってきた。

「あたいらにビビりなよ!」

「私たちは確実に負けません」

二人から光が放たれて、先程の巨大な鳥になった。バリバリと電流が翼を走り抜けている。またモフモフできるかな?

「行くぞ!チタン」

「はいっ!」

ニッケルとチタンが電流を翼に溜めながら突進してきた。風を受けると更に発電出来るらしいな。
俺は弓を構えて狙った。ぐぐ、と弦を引く。やっぱり狙うなら。

「きゃああ!!」

「いったぁーい!!!」

鳥が姿勢を崩して倒れる。俺は足を矢で射抜いたのだ。あまり傷付けたくなかったけどこれ以上の方法はなかった。ニッケルとチタンが人間の姿に戻る。二人共、足から出血していた。

「大丈夫?俺がやっておいてなんだけど消毒しないと」

二人共、涙目だ。そりゃあ痛いよな。俺は二人の足首に包帯を巻いた。

「あ、ありがとう」

「ありがとうございます」

ニッケルとチタンが礼を言ってくるとは思わなくて、俺はポカンとしてしまった。でもすぐに嬉しくなった。

「いや、どういたしまして」

「あの、ショーゴさん…は異世界から来たの?」

ニッケルが俺を見上げながら言う。

「うん。なんか特殊な力があったけどここに来る時になくなったんだって」

「でもこんなにお強いのに」

「…たまたま運がよかった…かな?」

なんかニッケルもチタンもさっきまでの威嚇が嘘みたいになくなったぞ。

「ニッケル、チタン、それ以上ショーゴに近付いたら拳骨だからね?」

あ、ルネ姫が怒っていらっしゃる。

「ルネ、もう暗いし宿に帰ろうか」

ルネが駆け寄ってくる。そして腕にしがみつかれた。

「ニッケル、チタン、僕たち明日、君たちの神殿に行くからね!」

「了解!」

「了解しました。お待ちしてますね」

そんなこんなで俺たちは宿に戻ってきた。俺はピンフィーネさんにメッセージを送ろうとまた端末を弄っている。んー、メールは履歴が残るから下手なことは書けない。

「ショーゴってばさ、どこ行ってもモテモテなんだもん」

「えぇ?俺が?」

びっくりしてルネを見たら、むううと頬を膨らませていた。

「絶対ニッケルとチタンもショーゴが大好きになったじゃん!」

ぽろ、っとルネの瞳から涙が零れ落ちる。俺は慌てた。こういう時どうすればいいんだ?奥さんの扱いなんてまだよく分からない。

「る、ルネ。泣かないで。ほ、ほら、赤ちゃんもびっくりすると思うしさ」

「なにそれー」

噴き出したルネに抱き着かれて、俺はルネを抱き締めた。
こんなに小さい体で出産なんてできるのかな?よし、ピンフィーネさんにメッセージも送ったぞ。
その瞬間端末が鳴り出す。通話だ、珍しいな。相手はピンフィーネさんである。

「あ、団長!お疲れ様です!」

「おいショーゴ…神殿の守護者と戦闘になったのか?」

ピンフィーネさんの声から「www」という感情が湧き出ている。えー、そんなに笑われるの?

「はぁ、戦いました」

「勝者は?」

「あ、えーと」

「ショーゴに決まってるじゃん、ピンフィーネ」

隣からルネが言うと、ピンフィーネさんがゴホゴホし始めた。どうやら噴き出しそうになったのを堪えていたらしい。

「な、なにをしてるんだ!お前は!ふふふ」

ピンフィーネさん、めっちゃ笑ってる。

「駄目、でしたかね?」

「いや、神殿の奴らも良い刺激になったのではないか。明日はついなる神殿に行くのか?」

ピンフィーネさんもやっと笑いが落ち着いてきたらしい。普段の喋り方に戻ってきた。

「うん、そのつもり!」

ルネが元気よく答えてくれた。

「気を付けて行けよ。まだモンスターの出現報告はされているからな」

「ありがとうございます」

「ではおやすみ」

「おやすみなさい」

さて、今日も色々あって疲れたなぁ。ルネももう横になっているし、俺も休もう。ベッドがふかふかして気持ち良かった。

✢✢✢

「パパぁ、抱っこ」

「え?」

俺が気が付くと小さな子どもたちが五人いた。男の子一人に女の子が四人。
男の子はとびきり体が小さかった。その子に抱っこをせがまれたらしい。俺は彼を抱き上げた。軽いな。

「パパ、あたしも!」

「いや!あたしも!」

「ショーゴ、君、まだここに来ちゃ駄目じゃない」

困ったような声で言ったのはルネだった。俺は目を開けた。今のなんだったんだ?心臓がバクバク言っている。

「ん…ショーゴ、どしたのー?」

隣で寝ていたルネがフニャッと笑う。窓から少し光が差し込んでくる。もう明け方か。

「うん、なんか夢見た。不思議な夢」

「それ、僕たちの…夢?」

ルネの青い瞳が俺を捉える。

「そう」

「ショーゴにはそういう力もあったってことだよね」

「え…?」

ルネはむにゃむにゃ言ってまた眠ってしまった。そういう力?ってなんだ?ルネが起きたらまた聞いてみるか。


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