子猫はご主人様の膝の上で眠りたい

はやしかわともえ

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日曜日

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それは3月のある日曜の朝のことである。
千晶はいつも通りの時間に起きて、朝食の支度をしていた。

真司はどちらかと言えば米派らしく、毎日、朝に米が炊けるよう設定してある。 

今日はメインのおかずに鯖の切り身をグリルで焼いている。
焼き加減を確認しようと、千晶はグリルの蓋を開けた。
鯖の身から脂がじゅわりと溢れ出てきている。なんとも美味しそうだ。

味噌汁には細切りにした大根を入れた。
そちらも煮えてきている。
火を止めて味噌を鍋の中で溶かした。

「千晶、おはよー」

「おはようございます、真司さん。もうすぐご飯ですよ」

「ありがとうな」

真司はまだ眠そうだ。彼はあまり朝が強くないらしい。一緒に暮らしてから分かったことだ。
千晶は鯖を盛り付けて食卓に運んだ。
真司は早速ナキに構われている。
毎日の光景である。

「お、鯖か」

「はい、たまたま大きいのを見かけて買ってみました」

「美味そうだな」

二人でいただきますをして食べ始める。

「納豆美味いよな、やっぱ」

めかぶ、玉子と混ぜてある小鉢に入った納豆を真司はご飯にかけている。
箸でそれをかき混ぜて、真司はご飯をかきこむ。
また美味しそうに食べるので、千晶は思わず微笑んでしまう。

「ん?どうした、千晶」

千晶の視線に気が付いたのか真司が声を掛けてくる。

「真司さんが美味しそうに食べてくれるので嬉しいんです」

「ん?実際美味いからなぁ」

千晶は思わず笑ってしまった。

「真司さんにはご飯を作りがいがあります」

「俺も作ってもらって助かるよ」

今日も二人の間には甘い空気が漂う。
二人が付き合い始めて、既に二年程が経過しているが、変わらずラブラブなのだった。

「今日は日曜かー。千晶は何か予定あるか?」

「あの…行きたい所があって。付き合ってもらえませんか?」

「お、いいぞ。俺は暇だし。どこに行くんだ?」

「ホワイトデーがもうすぐなのでお返しを買いたいんです」

ガタリ、と真司が固まった。
千晶は首を傾げる。

「真司さん?」

「そ…そうか。ホワイトデーあったな」

毎年のことなのだが、真司はイベントに疎い。千晶に言われてこうして気が付くのが常である。

「ホワイトデーにもいっぱい美味しいお菓子があるんですよ」

「わかった。千晶、俺のも選んでくれ」

「了解です」

(楽しい日曜になりそうだな)

千晶はそっと思うのだった。
プライベートで都内に出るのも久しぶりである。
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