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ホワイトデー
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二人は電車に乗って、都内の駅近くにある百貨店へ向かった。ついこの前のバレンタインデーの時もそこに行ったのを真司は今頃思い出していた。
千晶はその時、自分のご褒美用にとチョコレートを爆買いしていたのである。
毎年の楽しみなのだと千晶は楽しそうに笑っていた。真司も千晶に勧められたチョコレートを購入してみたのだ。
それは素晴らしく美味しかった。
今年のバレンタインデー当日には千晶からいろいろな種類のチョコレートの詰め合わせをもらった。
もちろん、その中には千晶の手作りチョコレートもあった。
真司はそれらを大事に食べて、感想を詳しく述べた所、千晶にすごく嬉しそうな顔をされたのだ。
来年もそうしよう、と密かに誓った真司である。
「あ、あった」
ホワイトデーのコーナーがある。
千晶は顔を輝かせて、それらの棚に駆け寄った。
既に真っ白な包装紙でラッピングされている。
真司も一つ、ラッピングされている商品を手に取った。
箱の大きさの割に軽い。
「これ、なんだ?」
「多分クッキー…だと…あ、見本がありますね」
千晶が示した方を見ると、確かに見本がある。
「本当だ、クッキーだな」
「マシュマロもお勧めですよ!甘いし、ココアに乗せると、とろけるんです!」
突然店員のようなことを言い始める千晶に、真司は笑ってしまった。
「そうだなぁ。じゃあ千晶に一つ、買っていくか」
「お、俺、そんなつもりは…」
どうやら催促してしまったと反省しているのだろう。真司はそんな千晶の頭を優しく撫でた。俯いた千晶はあまり見たくないと真司は思っている。
「千晶の好きな物を買いに来たんだろ?」
「真司さんはいいんですか?」
「今年、千晶に沢山チョコレートをもらったし返すのは当然なんじゃないか?
千晶は欲しい物を選んでくれ」
千晶はしばらく悩み、ようやく首肯した。
千晶は甘い食べ物が大好きだ。
テレビでスイーツ特番などやっていると、メモを取りながら食い入るように観ている。
行けそうな店であれば、真司を一緒に連れて出掛け、取り寄せが可能であればすぐさま取り寄せる。
千晶は筋金入りの甘い物好きなのである。
真司からすれば羨ましいほどだ。
自分の好きなものをここまで突き詰めるというのはなかなかできないからである。
真司はそんな千晶が大好きなのである。
「えと、これとこれと」
千晶が真司の持っているカゴに商品を迷いなく入れていく。数の割には軽い。
「これで俺は全部です」
千晶が満足そうに笑う。
一方真司は困っていた。
お返しをどれにすればいいかさっぱり分からない。真司は義理で女性の複数の職員からチョコレートをもらっていた。
確か千晶ももらっていたはずである。
「千晶…頼む。一緒に考えてくれ」
「えっと、無難なのはこのクッキーの詰め合わせですかね。このお店、有名ですし」
千晶が選んだのは、可愛らしい形のクッキーが数種類入ったものだった。
真司だったら絶対に選ばないだろう。
千晶はやはり自分と視点が違うようだ。
「お、こんなのあるのか。千晶はお返しどれにしたんだ?」
千晶が上の方の棚を指差す。
千晶は小柄だ。背伸びをしているのが可愛らしい。
「俺はこのホワイトチョコレートが塗ってあるビスケットにしました。おやつに食べて、満足感あるでしょう?」
「千晶はすごいな」
「そんなこと…」
千晶に勧められたクッキーをカゴに三つ入れる。
「千晶、欲しい物は全部買えたのか?」
千晶は笑った。
「はい!」
千晶はその時、自分のご褒美用にとチョコレートを爆買いしていたのである。
毎年の楽しみなのだと千晶は楽しそうに笑っていた。真司も千晶に勧められたチョコレートを購入してみたのだ。
それは素晴らしく美味しかった。
今年のバレンタインデー当日には千晶からいろいろな種類のチョコレートの詰め合わせをもらった。
もちろん、その中には千晶の手作りチョコレートもあった。
真司はそれらを大事に食べて、感想を詳しく述べた所、千晶にすごく嬉しそうな顔をされたのだ。
来年もそうしよう、と密かに誓った真司である。
「あ、あった」
ホワイトデーのコーナーがある。
千晶は顔を輝かせて、それらの棚に駆け寄った。
既に真っ白な包装紙でラッピングされている。
真司も一つ、ラッピングされている商品を手に取った。
箱の大きさの割に軽い。
「これ、なんだ?」
「多分クッキー…だと…あ、見本がありますね」
千晶が示した方を見ると、確かに見本がある。
「本当だ、クッキーだな」
「マシュマロもお勧めですよ!甘いし、ココアに乗せると、とろけるんです!」
突然店員のようなことを言い始める千晶に、真司は笑ってしまった。
「そうだなぁ。じゃあ千晶に一つ、買っていくか」
「お、俺、そんなつもりは…」
どうやら催促してしまったと反省しているのだろう。真司はそんな千晶の頭を優しく撫でた。俯いた千晶はあまり見たくないと真司は思っている。
「千晶の好きな物を買いに来たんだろ?」
「真司さんはいいんですか?」
「今年、千晶に沢山チョコレートをもらったし返すのは当然なんじゃないか?
千晶は欲しい物を選んでくれ」
千晶はしばらく悩み、ようやく首肯した。
千晶は甘い食べ物が大好きだ。
テレビでスイーツ特番などやっていると、メモを取りながら食い入るように観ている。
行けそうな店であれば、真司を一緒に連れて出掛け、取り寄せが可能であればすぐさま取り寄せる。
千晶は筋金入りの甘い物好きなのである。
真司からすれば羨ましいほどだ。
自分の好きなものをここまで突き詰めるというのはなかなかできないからである。
真司はそんな千晶が大好きなのである。
「えと、これとこれと」
千晶が真司の持っているカゴに商品を迷いなく入れていく。数の割には軽い。
「これで俺は全部です」
千晶が満足そうに笑う。
一方真司は困っていた。
お返しをどれにすればいいかさっぱり分からない。真司は義理で女性の複数の職員からチョコレートをもらっていた。
確か千晶ももらっていたはずである。
「千晶…頼む。一緒に考えてくれ」
「えっと、無難なのはこのクッキーの詰め合わせですかね。このお店、有名ですし」
千晶が選んだのは、可愛らしい形のクッキーが数種類入ったものだった。
真司だったら絶対に選ばないだろう。
千晶はやはり自分と視点が違うようだ。
「お、こんなのあるのか。千晶はお返しどれにしたんだ?」
千晶が上の方の棚を指差す。
千晶は小柄だ。背伸びをしているのが可愛らしい。
「俺はこのホワイトチョコレートが塗ってあるビスケットにしました。おやつに食べて、満足感あるでしょう?」
「千晶はすごいな」
「そんなこと…」
千晶に勧められたクッキーをカゴに三つ入れる。
「千晶、欲しい物は全部買えたのか?」
千晶は笑った。
「はい!」
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