子猫はご主人様の膝の上で眠りたい

はやしかわともえ

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ペンギン

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次の日の夜、仕事が終わった後、真司は一人、地図を頼りにワークショップが行われているという雑居ビルに立ち寄った。

中に入ると女性が数人、既に作業を始めているようだ。
先生らしき女性がそれを見回りながら教えている。

「あの、すみません」

真司が思い切って声を掛けると、彼女はこちらを向く。品の良さそうな女性だ。

「あら、もしかしてあなた、山下さん?」

「はい、そうです」

「男性は珍しいから覚えてたの」

ニコニコしながら彼女は言う。

「恋人にプレゼントかしら?」

「はい。あの、ペンギンのアクセサリーを作りたいんですが、可能ですか?」

「もちろんよ。ちょっと大きめのビーズを使うと可愛く仕上がるわ」

真司はホッとした。
席に着くように言われ、真司は従った。
机に色とりどりのビーズやワイヤー、ボンド等が置かれている。
これらを使って作るらしいが、真司にはどう作るか、全く見当が付かなかった。

「ビーズアクセサリーは根気がいるから頑張ってね。じゃあ始めましょう」

先生にやり方を教わりながら作る。
真司はどちらかと言えば器用な方なので、やっているうちに、だんだん要領を掴んできた。体を作り終わる。
ここまでで1時間半程が経過していた。

「なかなか上手じゃない、最後は顔ね」

「はい…」

ここまで順調に来ている。真司は気を更に引き締めた。

(顔は大事だよな)

可愛らしくなるように試行錯誤する真司である。

「よし…」

ついに最後のビーズを通した。ワイヤーを縛りビーズを固定する。そして結び目をボンドで留めた。
思っていたよりサイズが大きくなったが、千晶が持てばきっと可愛いだろう。

「そのサイズならキーホルダーにする?」

「そうします」

キーホルダーの金具にもいろいろな形があるようだ。
ハート型に始まり、星型もある。

真司はその中から星型を選んだ。
ハートというのは露骨過ぎる気がしたからである。
金具を付け終える。ここまで約三時間程かかった。
時計は既に二十時を示している。
真司はスマートフォンを見た。
特に通知は来ていないようだ。

(千晶、我慢してるかもな)

そう思ったら居ても立ってもいられなくなった。

「すみません、帰ります」

「気を付けてね」

「ありがとうございました!」

真司はペンギンのキーホルダーを鞄に大切にしまった。
走って電車に飛び乗る。
そして千晶にこれから帰るとメッセージを送った。

「真司さん、寂しかった」

千晶が泣いている絵文字付きでメッセージを送ってくる。

「ごめんな、帰ったら詳しく話すよ」

「待ってます」

家に帰ると、千晶は夕飯を温めていた。

「お帰りなさい!」

火を止めた千晶に抱き着かれる。真司も抱き締めた。小さな体に愛しさを覚える。

「千晶、本当にごめんな。今日はこれを渡したくて」

真司がペンギンのビーズキーホルダーを渡すと、千晶はそれを優しく撫でた。

「これ、もしかして手作りですか?可愛い」 

「あぁ、千尋さんがワークショップを教えてくれて」

「嬉しいです」

優しくキーホルダーを抱きしめる千晶が余りに可愛らしくて、真司は彼を再び抱き寄せた。

「真司さん、ご飯…ん」

千晶の唇に自分のを重ねる。
そのまま彼を抱き上げてベッドに押し倒す。
千晶は抵抗しなかった。

「真司さん、好き」

「俺もだよ。乱暴でごめんな」

千晶が首を横に振る。
そして手を差し伸べてきた。

「真司さんだから平気」 

真司は千晶に覆いかぶさるのだった。
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