6 / 21
1
ペンギン
しおりを挟む
次の日の夜、仕事が終わった後、真司は一人、地図を頼りにワークショップが行われているという雑居ビルに立ち寄った。
中に入ると女性が数人、既に作業を始めているようだ。
先生らしき女性がそれを見回りながら教えている。
「あの、すみません」
真司が思い切って声を掛けると、彼女はこちらを向く。品の良さそうな女性だ。
「あら、もしかしてあなた、山下さん?」
「はい、そうです」
「男性は珍しいから覚えてたの」
ニコニコしながら彼女は言う。
「恋人にプレゼントかしら?」
「はい。あの、ペンギンのアクセサリーを作りたいんですが、可能ですか?」
「もちろんよ。ちょっと大きめのビーズを使うと可愛く仕上がるわ」
真司はホッとした。
席に着くように言われ、真司は従った。
机に色とりどりのビーズやワイヤー、ボンド等が置かれている。
これらを使って作るらしいが、真司にはどう作るか、全く見当が付かなかった。
「ビーズアクセサリーは根気がいるから頑張ってね。じゃあ始めましょう」
先生にやり方を教わりながら作る。
真司はどちらかと言えば器用な方なので、やっているうちに、だんだん要領を掴んできた。体を作り終わる。
ここまでで1時間半程が経過していた。
「なかなか上手じゃない、最後は顔ね」
「はい…」
ここまで順調に来ている。真司は気を更に引き締めた。
(顔は大事だよな)
可愛らしくなるように試行錯誤する真司である。
「よし…」
ついに最後のビーズを通した。ワイヤーを縛りビーズを固定する。そして結び目をボンドで留めた。
思っていたよりサイズが大きくなったが、千晶が持てばきっと可愛いだろう。
「そのサイズならキーホルダーにする?」
「そうします」
キーホルダーの金具にもいろいろな形があるようだ。
ハート型に始まり、星型もある。
真司はその中から星型を選んだ。
ハートというのは露骨過ぎる気がしたからである。
金具を付け終える。ここまで約三時間程かかった。
時計は既に二十時を示している。
真司はスマートフォンを見た。
特に通知は来ていないようだ。
(千晶、我慢してるかもな)
そう思ったら居ても立ってもいられなくなった。
「すみません、帰ります」
「気を付けてね」
「ありがとうございました!」
真司はペンギンのキーホルダーを鞄に大切にしまった。
走って電車に飛び乗る。
そして千晶にこれから帰るとメッセージを送った。
「真司さん、寂しかった」
千晶が泣いている絵文字付きでメッセージを送ってくる。
「ごめんな、帰ったら詳しく話すよ」
「待ってます」
家に帰ると、千晶は夕飯を温めていた。
「お帰りなさい!」
火を止めた千晶に抱き着かれる。真司も抱き締めた。小さな体に愛しさを覚える。
「千晶、本当にごめんな。今日はこれを渡したくて」
真司がペンギンのビーズキーホルダーを渡すと、千晶はそれを優しく撫でた。
「これ、もしかして手作りですか?可愛い」
「あぁ、千尋さんがワークショップを教えてくれて」
「嬉しいです」
優しくキーホルダーを抱きしめる千晶が余りに可愛らしくて、真司は彼を再び抱き寄せた。
「真司さん、ご飯…ん」
千晶の唇に自分のを重ねる。
そのまま彼を抱き上げてベッドに押し倒す。
千晶は抵抗しなかった。
「真司さん、好き」
「俺もだよ。乱暴でごめんな」
千晶が首を横に振る。
そして手を差し伸べてきた。
「真司さんだから平気」
真司は千晶に覆いかぶさるのだった。
中に入ると女性が数人、既に作業を始めているようだ。
先生らしき女性がそれを見回りながら教えている。
「あの、すみません」
真司が思い切って声を掛けると、彼女はこちらを向く。品の良さそうな女性だ。
「あら、もしかしてあなた、山下さん?」
「はい、そうです」
「男性は珍しいから覚えてたの」
ニコニコしながら彼女は言う。
「恋人にプレゼントかしら?」
「はい。あの、ペンギンのアクセサリーを作りたいんですが、可能ですか?」
「もちろんよ。ちょっと大きめのビーズを使うと可愛く仕上がるわ」
真司はホッとした。
席に着くように言われ、真司は従った。
机に色とりどりのビーズやワイヤー、ボンド等が置かれている。
これらを使って作るらしいが、真司にはどう作るか、全く見当が付かなかった。
「ビーズアクセサリーは根気がいるから頑張ってね。じゃあ始めましょう」
先生にやり方を教わりながら作る。
真司はどちらかと言えば器用な方なので、やっているうちに、だんだん要領を掴んできた。体を作り終わる。
ここまでで1時間半程が経過していた。
「なかなか上手じゃない、最後は顔ね」
「はい…」
ここまで順調に来ている。真司は気を更に引き締めた。
(顔は大事だよな)
可愛らしくなるように試行錯誤する真司である。
「よし…」
ついに最後のビーズを通した。ワイヤーを縛りビーズを固定する。そして結び目をボンドで留めた。
思っていたよりサイズが大きくなったが、千晶が持てばきっと可愛いだろう。
「そのサイズならキーホルダーにする?」
「そうします」
キーホルダーの金具にもいろいろな形があるようだ。
ハート型に始まり、星型もある。
真司はその中から星型を選んだ。
ハートというのは露骨過ぎる気がしたからである。
金具を付け終える。ここまで約三時間程かかった。
時計は既に二十時を示している。
真司はスマートフォンを見た。
特に通知は来ていないようだ。
(千晶、我慢してるかもな)
そう思ったら居ても立ってもいられなくなった。
「すみません、帰ります」
「気を付けてね」
「ありがとうございました!」
真司はペンギンのキーホルダーを鞄に大切にしまった。
走って電車に飛び乗る。
そして千晶にこれから帰るとメッセージを送った。
「真司さん、寂しかった」
千晶が泣いている絵文字付きでメッセージを送ってくる。
「ごめんな、帰ったら詳しく話すよ」
「待ってます」
家に帰ると、千晶は夕飯を温めていた。
「お帰りなさい!」
火を止めた千晶に抱き着かれる。真司も抱き締めた。小さな体に愛しさを覚える。
「千晶、本当にごめんな。今日はこれを渡したくて」
真司がペンギンのビーズキーホルダーを渡すと、千晶はそれを優しく撫でた。
「これ、もしかして手作りですか?可愛い」
「あぁ、千尋さんがワークショップを教えてくれて」
「嬉しいです」
優しくキーホルダーを抱きしめる千晶が余りに可愛らしくて、真司は彼を再び抱き寄せた。
「真司さん、ご飯…ん」
千晶の唇に自分のを重ねる。
そのまま彼を抱き上げてベッドに押し倒す。
千晶は抵抗しなかった。
「真司さん、好き」
「俺もだよ。乱暴でごめんな」
千晶が首を横に振る。
そして手を差し伸べてきた。
「真司さんだから平気」
真司は千晶に覆いかぶさるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―
なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。
――はずだった。
目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。
時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。
愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。
これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。
「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、
年上αの騎士と本物の愛を掴みます。
全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
路地裏の王子様と秘密のカフェ ―10年ぶりに再会した親友はトップアイドルでした―
たら昆布
BL
大学生の千秋がバイト帰りの路地裏で助けたのは、今をときめくアイドル『GALAXY』のセンター、レオだった。
以来、レオは変装して千秋の働くカフェへ毎日通い詰めるようになる。
「千秋に会うと疲れなんて全部消えちゃうんだ」
トップアイドルとは思えないほど素直に懐いてくるレオに、千秋は戸惑いながらも多忙な彼を支えたいと願うようになる。
しかし、千秋はまだ知らない。
レオが10年前に「また絶対会おう」と約束して別れた泣き虫な親友の玲央本人だということに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる