最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ

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おまけ

ましろ、ルシファー騎士団と一緒にお仕事

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「明日の会議やだ…めんどくせえ。絶対に資料なんて作りたくない。本当なら今日は休みだった。なのに会議が後から決まって…俺の休みを返せ…資料なんて…仕事なんて…うう」

朝、みんなでご飯を食べていたらシャオが急にぐずりだした。ぐずるっていう言葉は普通、赤ちゃんとかに使う言葉だけど、シャオは時々、幼女のようにわがままになるので、ぐずるというワードが正しい。ぐずぐずシャオの相手はなかなか大変なのだ。でも俺はそんなシャオが好きだったりする。だって可愛いからだ。守ってあげたいってなる。旦那様のお世話も妻の役目だし。

「シャオ、26連勤だったもんね。分かった、明日の会議の資料なら俺が作るよ」

「いいのか?」

あ、もうシャオが立ち直った。切り替え速いな。

「シャオは今日、ゆっくり休むんだよ。いっぱい楽しいことしてね」

「ありがとう、ましろ!今度なにか礼をする」

朝食を食べ終えると、シャオがうきうきしながら出かけていった。きっと大好きな甘いものを食べに行ったんだろう。帰ってきたらお風呂に入れて、念入りにマッサージしてあげようっと。きっとそうすれば明日の会議も完璧なはずだ。シャオは魔界の王様だ。しっかりしていてもらわなくちゃ。俺はパルカスさんと食器の片づけをした。いつも必ず一度は断られるけど、やらせてくださいって毎回言っていたらやらせてくれるようになった。これもまた進歩かな。

「ましろ様、資料作りならルシファー騎士団専用の詰所で作られると少し楽かと。あそこには国の今までの会議履歴やあらゆる記録が残っていますし」

「今回の会議って確か陸上競技大会の種目改訂と無形文化遺産の登録に関するものですよね?」

「はい、その通りでございます。若様にましろ様のような立派な奥様が出来て、このパルカス大変感激です」

パルカスさん、涙をハンカチで拭っているぞ。シャオのことがそれだけ心配なんだろうな。食器を片付け終えて俺は出かける準備をした。ルシファー騎士団の詰所は魔王城のすぐそばにある。

「じゃ、行ってきます」

「行ってらっしゃいませ」

外に出ると雪が舞っている。積もりはしなさそうだけど風が冷たい。俺はコートのフードを慌てて被った。シャオが最近作ってくれたこのコートは首回りにファーがついたもこもこ仕様だった。可愛くて気に入っている。少しサイズが大きめなのも可愛い。

「あれ、姫様?こんにちは」

「睡蓮、こんにちは。フギさんいる?」

睡蓮はほうきで玄関に入った雪を掃いていた。今日もルシファー騎士団のみんなはいつも通りのようだ。それにホッとする俺がいる。

「フギさんなら白蓮と新しい毒矢を作っているよ」

「毒矢…」

なんか物騒なワードだな。騎士団は国の防衛のためにいるんだから仕方ないけど。

「とりあえずお茶を淹れますね。ましろ姫こちらへ」

俺は睡蓮に誘われて詰所の中に入った。中に入ると、とても暖かい。暖炉がぱちぱちいっている。

「お、姫様。久しぶりだな、王はどうしたんだ?」

テンゲさんがダンベルを上げ下げしながら聞いてくる。筋力トレーニングって、生活に色々制限があって大変らしい。テンゲさんはそれを苦もなくやってしまうからすごい。

「テンゲさん、こんにちは。シャオなら甘いものを食べに出かけたよ」

「姫を置いて出かけるなんて珍しいな」

「今日は俺が代わりにシャオのお仕事をするんだ」

「なるほど。王も最近忙しかったもんな。姫になら安心して仕事を任せられるんだろう」

「そうなのかな?」

テンゲさんの言葉に困って、睡蓮を見るとニコニコしながら頷いている。シャオに信頼されているって嬉しいな。

「僕たちもお手伝いしますよ。魔界はこのとおり平和そのものだし」

「ありがとう、睡蓮」

「ほっほっほ、姫様。お久しぶりですな」

「ランスロットさん。こんにちは。お久しぶりです」

「一回お茶の時間にしますか」

睡蓮の言葉に俺たちは頷いたのだった。

***

「明日の会議の資料…」

フギさんと白蓮が休憩をしにやってくる。モウカとスカーさん、イサールさんは街の外れにある砦に視察に出かけているようだ。
久し振りに全員に会いたかったな。今度はみんなのスケジュールを聞いて来てみよう。

「そうなんです。会議室の空きが急に出来たとかで前倒しになったみたいで」

「ほう」

俺は睡蓮が入れてくれたお茶を飲んだ。甘い香りのこのお茶はりんご?

「美味しい」

俺が思わず呟くと睡蓮が嬉しそうに笑う。

「王が好きな茶葉なんですよ。ポットにりんごの果肉を入れてあって甘味が出るんです」

なるほど、そういうことか。
フギさんが立ち上がって棚から資料を取り出す。そしてそれを俺に手渡してくれた。

「この資料でとりあえず事足りるでしょう。この会議は本来不要なもののはず。上は王に他のことを聞きたいと見えます」

「他のこと?」

俺が首を傾げると、フギさんは笑って眼鏡を押し上げた。

「もちろん、ましろ姫のことでしょう」

「俺?」

俺はその言葉にびっくりしてしまった。睡蓮が笑って言う。

「姫様、ヒト族で天使だからすごくレアキャラだもんねえ」

「その通りだな」

白蓮にまで頷かれてしまった。

「まあどう答えるかは王に任せましょう。あの方なら分かっていると思いますしね」

フギさんが資料を開く。

「とりあえず形式に則って資料を作ってしまいましょうか」

「はい、助かります」

フギさんや他の皆から手を借りて、俺は資料を作り終えた。国民の総意なんかも含まれているから、随分分かり易い資料になった。シャオ、喜んでくれるかな。いつの間にか昼になっていた。そこでお昼もご馳走になってしまった。
睡蓮の作るご飯、美味しいな。

「ましろー」

弱々しい声に俺が玄関へ向かうとシャオが抱き着いてきた。

「シャオ?」

「うう、今日は定休日だった。食べ放題のチケット持ってるのに、うう」

あちゃあ、タイミングが悪かったかあ。

「王、アイスクリームがありますよ」

「本当か、睡蓮」

シャオ、やっぱり切り替え速いな。

「チョコとバニラがありますけど」

「両方山盛りでくれ」

「はーい」

シャオは寒かったらしい、暖炉の前からしばらく動かなかった。
そうだ、出来上がった資料を見てもらおう。

「シャオ、これ、明日の資料」

「もうできたのか?」

「うん、主にフギさんが作ってくれたよ」

「俺の時は全然手伝ってくれないくせに」

ぎいいいとシャオが歯を食いしばっている。

「王、自分のお仕事なのですから」

「わあってるよ!!」

フギさんにはさすがのシャオも敵わないみたいだな。今日も魔界は平和だ。

おわり
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