44 / 59
一緒にいたいです
しおりを挟む
どのくらい時間が経ったのか、温めたご飯の湯気はとっくに消えていた。
2人がまだ抱き合いながら会話をする。
「ハルさん」
「はい」
「平熱、何度なんですか」
「あはは。37度近いです」
笑うハルの息が、タカの首に触れる。
「ええ、高すぎ」
「タカさんは……体はそんな冷たくないですね」
「体まで手みたいな温度なら、とっくに死んでます」
「うん、そうですね。体は温かくて安心しました。どうして手だけあんなに冷たいんですか」
「……」
ハルは、この時間がもっと続けばいいのに、そう思っていた。
「ハルさん、ありがとうございます。もう大丈夫です。ご飯、食べましょう」
そう言って、タカはハルから離れた。
その後、2人は夕飯を終え、タカが玄関へ向かう。
「タカさん、今日は来てくれてありがとうございました」
「いや、こちらこそですよ。駆けつけてきたくせに、僕の方が慰められるかたちになってしまいました。すごい失態ですね」
「あはは。いやいや。あ、じゃあ今日は僕たち一緒に号泣デーってことで」
「ですね。ハルさん、きっといろいろ思っていることあると思います。また連絡しますね」
「あ……はい。でも話したくなったらでいいです。というか無理はしないでください」
タカが黙って頷く。
「じゃあまた」
ガチャン、とドアが閉まる音。そして消えていくタカの足音。
テーブルに戻り、さっきまで座っていたタカの椅子に腰を下ろす。
まだ少し、温かかった。
翌朝。
ハルは目を覚まし、すぐにスマホをチェックした。タカからのメールはなかった。
昨日のタカの様子を思い出す。
あんな辛そうな顔……兄のことをすごく愛してたんだな、そう思った。
タカに、話したくなったらでいいと言ったが、タカが求めている言葉だったのだろうか。距離を置いたほうがいいのだろうか。自分の中で明確な答えが出ぬまま、ハルは文字を打ち込む。
「これからも、タカさんと一緒にいたいです」
メールを送信した。
タカからの返信は、その日もその翌日も来なかった。
3週間後、ハルのスマホが鳴った。
「返事、遅くなってすみません。話したいことがあります」
メールには、そう書かれていた。
2人がまだ抱き合いながら会話をする。
「ハルさん」
「はい」
「平熱、何度なんですか」
「あはは。37度近いです」
笑うハルの息が、タカの首に触れる。
「ええ、高すぎ」
「タカさんは……体はそんな冷たくないですね」
「体まで手みたいな温度なら、とっくに死んでます」
「うん、そうですね。体は温かくて安心しました。どうして手だけあんなに冷たいんですか」
「……」
ハルは、この時間がもっと続けばいいのに、そう思っていた。
「ハルさん、ありがとうございます。もう大丈夫です。ご飯、食べましょう」
そう言って、タカはハルから離れた。
その後、2人は夕飯を終え、タカが玄関へ向かう。
「タカさん、今日は来てくれてありがとうございました」
「いや、こちらこそですよ。駆けつけてきたくせに、僕の方が慰められるかたちになってしまいました。すごい失態ですね」
「あはは。いやいや。あ、じゃあ今日は僕たち一緒に号泣デーってことで」
「ですね。ハルさん、きっといろいろ思っていることあると思います。また連絡しますね」
「あ……はい。でも話したくなったらでいいです。というか無理はしないでください」
タカが黙って頷く。
「じゃあまた」
ガチャン、とドアが閉まる音。そして消えていくタカの足音。
テーブルに戻り、さっきまで座っていたタカの椅子に腰を下ろす。
まだ少し、温かかった。
翌朝。
ハルは目を覚まし、すぐにスマホをチェックした。タカからのメールはなかった。
昨日のタカの様子を思い出す。
あんな辛そうな顔……兄のことをすごく愛してたんだな、そう思った。
タカに、話したくなったらでいいと言ったが、タカが求めている言葉だったのだろうか。距離を置いたほうがいいのだろうか。自分の中で明確な答えが出ぬまま、ハルは文字を打ち込む。
「これからも、タカさんと一緒にいたいです」
メールを送信した。
タカからの返信は、その日もその翌日も来なかった。
3週間後、ハルのスマホが鳴った。
「返事、遅くなってすみません。話したいことがあります」
メールには、そう書かれていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる