俺のステータス『軟弱 虚弱 脆弱 惰弱 貧弱 ※時折頑強』

ぐりーなー

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誰か私を助けてくれますか?『 ……』

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「はい……はい、以外選択肢にないだろっ!」
俺がモニターに向って強く肯定する姿をツイは嬉々として見た。
「シオさん!!」

『制限時間は百六十八時間です』

「長っ!」
ギュッと俺に抱き着くミュンタルという愛らしいモンスターに動揺しつつも小さい脳味噌で考える。

「いたぞ!!」

モニターがクエスト受諾完了の画面を出した途端、甲冑を着た兵士達がミュンタルに向って銀色に輝く鋭利な刃物を構える。
うわっ!本物の剣かよ!!
考えたもの全てが吹っ飛んだ。どうしよ。
と、思考を停止させている暇はない様だ。兵士は今にも斬りかかろうとしている。
ど、どうにかして止めないと。どうしたらどうしたら……、こういう時って!ッは!
俺は考えに考え考え付いた。
「あのー」
「なんだ……」
あ、話は通じるみたい。
「えっと……」
「言いたいことがあるなら早く言うと言い」
「お洒落なカフェでお茶しない?」
「「「「「「「「「「「え~ナンパ~やだぁ~」」」」」」」」」」」
「全員おかまッ!」
どんなレアリティだよ。
「用がないのならそこをどけ!そいつを渡すんだ!」
「い、嫌だッ!!!!!!!!!!!!」
「強く否定したな!君はいい子だからそこをどかなきゃならないんだ!」
「そんな使命感無いわっ!」
「……ミュンタル」
俺はボソッとミュンタルに耳打ちをした。
「え?何で名前を……」
「逃げれるか?」
「ごめんね。もう足が限界で……」
ミュンタルは申し訳なさそうに俺の目先に足を動かす。
「!?」
ミュンタルの足は壊死をしており、立っているだけでも辛そうだ。
こんな、足で……ここまで……。
「背中に乗ってくれるか?」
「……うん」
ミュンタルはゆっくりと俺の背中に乗った。
「どかないというなら分かるな?」
兵士はこちらの心情など知ったことではない。剣先は俺の方へと向かい本気だ、と伝えてくる。
怖い……怖くて足が笑ってる……、でも、でも!こんな所で引けるか……!!
兵士は総勢十二人。俺の前に立ち戦いの意欲を見せるのは一人。残りは後ろでニタニタと笑い高みの見物だ。
「シオさん!」
「は、はい!」
「プレゼントボックスと唱えてください」
「な、なんで?」
「いいから!」
「ぷ、プレゼントボックス!!」
俺はツイの言葉に従いそう文言を発する。すると、少しだけ見慣れたモニターにプレゼントボックスとゴシックな字体で記されており、その下の枠組みに絵柄付きで何かが入っていた。
「木の棒と木の盾をインベントリへ移行!」
「木の棒と木の盾をインベントリへ移行!」
俺はツイの言葉を復唱する。
二つ目のモニターが現れ、そちらにはインベントリと記載、二十枠程の空欄が二行等間隔に並んでいた。プレゼントボックスに絵付きであったその二品はインベントリの二つの枠に収まった。
「装備欄!木の棒、木の盾装備!」
「装備欄!木の棒!木の盾装備!」
「ちょっと違う!」
「細けぇ!」
モニターは俺の指示通りに動く。右手には木の棒、左手には盾。
「それで戦えますね!!」
「武器の差を埋める技量はないよ!?」
「っは!そんな木の棒如きで!!」
一人の兵士は容赦なしに剣を振りかざす。
どう避けるんだよ!
「右です!!」
「右っ!?」
と言われても咄嗟に体が動く程反射神経が良いわけではない。俺は焦燥しむやみやたらに木の棒を振り回した。
「フンッ!適当に木の棒を振れば当たるとでも思ってるのか!」
兵士は全てを容易に回避し剣は俺の腕を切り落とそうとしている。
「盾です!」
ツイは咄嗟に叫ぶ。
「盾!」
俺は復唱しながらなんとか盾を剣の前に持ってくる。しかし、剣の斬撃は防げても、ぶつかった衝撃まで防ぐことは出来なかった。
筋力差が如実に出たっ!
左腕を押され重心を後方に崩した。
まずい!ミュンタル!
俺は咄嗟にミュンタルを庇い、体を半回転させ地面に胴から突っ込んだ。
いっっっった!
左腕が痺れ、痛みとともに恐怖心が膨れ上がってくる。
無理無理無理怖い怖い。喧嘩なんてしたことないし!やばい!逃げたい!痛いのつら!ってか人がこんなに強いなんて……モンスターはどんなだよ。
「ツイ!何でこいつらこんなにも「私もこれは予想外です」」
「え……?」
「ステータス詳細と!」
「そんな暇ねえ!」
立ち上がった一瞬の間に兵士は俺の懐迄潜り込み剣を胴体に刻む。
「シオさん!!」
ツイは俺の手を後方へと引っ張りもう一度重心を後ろに崩すが何とかの所で踏み留まる。
「なんだそれ!」
俺の奇行に敵の動きが少し止まる。
「ステータス!!」
『一般兵 ATK10 VIT10 SPD13 INT1 LUK12』
やべぇ!高い壁が見える!ステータス十なのにめっちゃ強く見える!人生終わったか?
「やはりおかしいですね……」
「ステータスが?」
「はい、普通はモンスターと対等など無理なこと、ですがこの人たちは悠々とモンスターと渡り合えるレベルに成長している」
「どういうこった?」
「人は成長するという事です!」
「成長……!」
単純な理由だった!
「血の滲む努力を為されたのでしょう」
「つまりこの状況って危険すぎるんじゃあ……」
「その通りですね!」
「ドヤ顔で言うなぁあああああ!」
いや待って!絶対勝てないじゃん!何で俺はこんなことしてんだ?人も助けられないのに何でわざわざこの子を庇ったんだ?逃げれば良かったのに。
俺の心の中に虚弱雑魚のシオ君が現れてくる。

「何を一人でほざいているっ!」

兵士は剣を振るうモーションに隠して足払いを行った。
「うわっ!」
完全に虚をつかれた。俺は足元がお留守になり、そのまま背中から倒れた。
「あうっ……」
「ミュンタル!大丈夫かっ!」
なんとかミュンタルが下敷きになることは免れたが、首筋にあたる冷たい感触が俺の心を凍らせる。
「さて終わりだな……」









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