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学生会館ラウンジ②
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小山は女子の信頼があるのだろうか?
小山は見かけは服装も含めて野暮ったく見えるが、僕の知らない小山の良い所があるのかもしれない。もしくは女の子慣れしている男はそういうものなのか。
普段から漱石ばかり読んでいる小山の見方が少し変わった。
僕がコクリと頷くのを見た小山が、
「丁度、良かったよ」とニコリを微笑み、
「北原くんに、ミサキさんを紹介するよ」と言った。
頷いただけなのに、話が勝手に進んでいく。
それに「ミサキ」という苗字・・生協の書店で会った美少女と同じ苗字だ。
他の男子が、彼女のことを「ミサキリョウコ」と言っていた。
「そのミサキさんて、どんな人なの?」
僕が訊ねると小山は、彼女の説明を始めた。
まず、名前は「三崎涼子」と言う。
小山の話を聞く限り、その女性は書店で見かけた女の子にほぼ間違いはなかった。
だがどうも腑に落ちない。
僕の抱いている彼女のイメージと異なるからだ。
彼女は、「男子を紹介して欲しい」と自ら言ってくる女の子にはどうしても見えなかったからだ。
小山の簡単な説明が終わった時、
「何々~、小山くんと北原くん、さっきから何やら良いお話をしてない~?」佐伯先輩が僕たちの話に強い興味を示した。
「小山と北原は、さっきから如何わしい話をしているみたいですよ」と伊藤が言うと、小山は、「違いますよ。僕は北原くんに、三崎さんを紹介しようとしていたんです」と言った。
「それも如何わしいじゃん。というか羨ましい話じゃんか」と伊藤が返した。
この話に一番反応を示したのは、佐伯先輩だった。
缶コーヒーをテーブルにドンと置き、
「ええっ、ちょっと待って! 三崎さんが、なんでなんで?」佐伯先輩の驚く様子は不自然なほどだった。
「小山くんが三崎さんの知り合いだったことも驚きだけど」佐伯先輩はそう言って、
「あの子、彼氏、いないの?」と、佐伯先輩は目を丸くして驚いている。
伊藤が、「三崎さんていう人、佐伯先輩は知っているんですか?」と訊いた。
「知っているわよぉ。彼女、有名だもの。私の知り合いも、一回生の中にすごい美少女がいるって言っていたから」 佐伯先輩はそう言った。「すごい美少女」と。
「佐伯先輩の知り合いって、それ、男子でしょ?」と伊藤が訊いた。
「そうよ、私の周りって、変な男ばかりだんだから、綺麗な子を見つけると、みんな、すぐに名前を調べちゃうんだから。困ったものよねえ」
小山は、佐伯先輩の話を聞きながら、僕をチラリと見て、「詳しくは後で」と言った。
「いいなあ、北原は」と伊藤が羨ましそうに言うと、小山が「君は彼女がいるじゃないか」と戒めた。
その後、中垣が、「そんな話、どうでもいいよ」と話の腰を折るように言うと、場が白けムードになって、そのまま散会となった。
中垣は、男女の浮いた話には全く興味を示さない男なのだろう。
小山は見かけは服装も含めて野暮ったく見えるが、僕の知らない小山の良い所があるのかもしれない。もしくは女の子慣れしている男はそういうものなのか。
普段から漱石ばかり読んでいる小山の見方が少し変わった。
僕がコクリと頷くのを見た小山が、
「丁度、良かったよ」とニコリを微笑み、
「北原くんに、ミサキさんを紹介するよ」と言った。
頷いただけなのに、話が勝手に進んでいく。
それに「ミサキ」という苗字・・生協の書店で会った美少女と同じ苗字だ。
他の男子が、彼女のことを「ミサキリョウコ」と言っていた。
「そのミサキさんて、どんな人なの?」
僕が訊ねると小山は、彼女の説明を始めた。
まず、名前は「三崎涼子」と言う。
小山の話を聞く限り、その女性は書店で見かけた女の子にほぼ間違いはなかった。
だがどうも腑に落ちない。
僕の抱いている彼女のイメージと異なるからだ。
彼女は、「男子を紹介して欲しい」と自ら言ってくる女の子にはどうしても見えなかったからだ。
小山の簡単な説明が終わった時、
「何々~、小山くんと北原くん、さっきから何やら良いお話をしてない~?」佐伯先輩が僕たちの話に強い興味を示した。
「小山と北原は、さっきから如何わしい話をしているみたいですよ」と伊藤が言うと、小山は、「違いますよ。僕は北原くんに、三崎さんを紹介しようとしていたんです」と言った。
「それも如何わしいじゃん。というか羨ましい話じゃんか」と伊藤が返した。
この話に一番反応を示したのは、佐伯先輩だった。
缶コーヒーをテーブルにドンと置き、
「ええっ、ちょっと待って! 三崎さんが、なんでなんで?」佐伯先輩の驚く様子は不自然なほどだった。
「小山くんが三崎さんの知り合いだったことも驚きだけど」佐伯先輩はそう言って、
「あの子、彼氏、いないの?」と、佐伯先輩は目を丸くして驚いている。
伊藤が、「三崎さんていう人、佐伯先輩は知っているんですか?」と訊いた。
「知っているわよぉ。彼女、有名だもの。私の知り合いも、一回生の中にすごい美少女がいるって言っていたから」 佐伯先輩はそう言った。「すごい美少女」と。
「佐伯先輩の知り合いって、それ、男子でしょ?」と伊藤が訊いた。
「そうよ、私の周りって、変な男ばかりだんだから、綺麗な子を見つけると、みんな、すぐに名前を調べちゃうんだから。困ったものよねえ」
小山は、佐伯先輩の話を聞きながら、僕をチラリと見て、「詳しくは後で」と言った。
「いいなあ、北原は」と伊藤が羨ましそうに言うと、小山が「君は彼女がいるじゃないか」と戒めた。
その後、中垣が、「そんな話、どうでもいいよ」と話の腰を折るように言うと、場が白けムードになって、そのまま散会となった。
中垣は、男女の浮いた話には全く興味を示さない男なのだろう。
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