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最終章【長かった十年】
※成人を迎えました
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そして遂にヴィヴィが成人する十八才の誕生日を迎えた。
最後の鑑定を受けるためにヴィヴィと俺は両親と共に馬車に乗り神殿へと向かう。
伯父である国王陛下も立ち会う事になっている。
神殿では加護判定が極秘で行われる為に奥まった部屋でその儀式は行われた。
祭壇の手前にある見事な彫刻が施された猫脚の台座の上には両手で余るほどの大きな水晶の玉が鎮座していた。
ヴィヴィが神官に呼ばれその水晶の前で神に祈りを捧げる。
祈りが終わり神官に導かれ水晶の玉に両掌をかざすと・・・
水晶の玉が徐々に光り出し、初めに白く輝きそれが消えると次に青い光が水晶玉を包み込んでいった。
「おめでとうございます。最初の光が【治癒の加護】であり後者の青い光が【先読みの加護】であります。ヴィヴィアン・ウェルズ・モントレー様は成人しても尚、二つの加護を持つ者と認めらました」
神官の言葉に国王である伯父上から「ほぅ」と息が洩れ次に
「我が国に二つの加護持つ者を授けてくださった神に感謝奉る」
との言葉が発せられた。
俺と両親は頭を垂れながら安堵する反面、できればどちらか一つ、しいて言うなら「先読みの加護」が消えて欲しかったと思っていたのだった。
しかし、これでヴィヴィの意思とは関係なく王家の血を引く者である俺との婚姻が揺るがないものとなった。
俺が二十歳の時にやって来た天使は十年間の時を経て二つの加護を保持する乙女となった。
銀の髪と菫色の瞳の八才の少女に魅入られた俺もいつの間にか三十になっていた。
伯父上と共に昼食を共にする為に神殿から王宮に向かう。
ヴィヴィの成人と二つの加護を祝う席なので伯父上と伯母上、そして両親以外の王家の者はいない。
「ヴィヴィアン成人おめでとう」
「ありがとうございます陛下、王妃様」
両陛下から二の加護の色した真珠とブルーサファイアが贈られた。
「今まで長かったな」
「そうですね、ヴィヴィアンをカリアス領から連れて来て十年が経ちました」
父もしんみりと感慨深げに言う。
「どうだ、ヴィヴィアン、『王家の決まりごと』によって勝手にアクセルを婚約者とされ今日まで来た。二つの加護が今も其方にあると分かりこのまま婚姻を結ぶ事になる訳だが」
「はい」
「嫌でも拒否権はないのだが、本当にアクセルで良かったか?」
「伯父上、本人を前にして容赦のない質問ですね」
俺は苦笑した。
「もう、陛下あなたったら今更そんな野暮な質問をなさるなんてお二人に失礼ですわよ」
王妃の言葉に両親も呆れた顔で笑う。
「はい、陛下。私は八才の時に決めてくださったお相手がアクセル様であったことに感謝いたします」
ヴィヴィは笑顔ではっきりと答えてくれた。
「そうよね、ヴィヴィちゃんは最初からアクセルに懐いていたし、仏頂面の愚息もヴィヴィちゃんには情けないほどだらしない顔で溺愛してきましたもの」
「母上!」
母はお気に入りの扇で口元を隠しながら「オホホ」と笑った。
「そう言えば添い寝はいつもアクセルの役で俺は一度もヴィヴィアンと寝た事もないしな」
父が寂し気に言うと伯父上が驚き上ずった声を出した。
「アクセルはヴィヴィアンと添い寝しておったのか?」
「ええ、週に一度ですが」
「!!!今もか?」
「いいえ、いまは・・・」
「・・・・稚児ややこは・・・出来ておらぬのだな?」
訝しげに声のトーンを下げる伯父上にどれだけ俺が我慢して来たかも知らないくせにとムッとする。
「成人前の婚約者にそんな無体な事を私がするわけないでしょう」
父と母が小さく吹き出す。
そこは吹き出すところではないだろうと思うのだが。
「そ、そうか、それは悪かった」(汗)
申し訳なそうに小さくなる伯父上だった。
「三カ月後には式を挙げますからもう遠慮はしませんけどね。なんなら今ここで婚姻の署名をしたいくらいですよ!」
「儂が悪かったアクセル。おぬし相当拗れて・・・あっ、いやすまぬ」
会話を聞いていた今日の主役のヴィヴィは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あら嫌ですわ、ヴィヴィアンちゃんごめんなさいね。そんな事よりお式が楽しみね。わたくしたちも勿論参列させて頂くわ」
「あ、ありがとうございます王妃様」
式の話になりやっと顔を上げて彼女は笑顔を見せたのだった。
最後の鑑定を受けるためにヴィヴィと俺は両親と共に馬車に乗り神殿へと向かう。
伯父である国王陛下も立ち会う事になっている。
神殿では加護判定が極秘で行われる為に奥まった部屋でその儀式は行われた。
祭壇の手前にある見事な彫刻が施された猫脚の台座の上には両手で余るほどの大きな水晶の玉が鎮座していた。
ヴィヴィが神官に呼ばれその水晶の前で神に祈りを捧げる。
祈りが終わり神官に導かれ水晶の玉に両掌をかざすと・・・
水晶の玉が徐々に光り出し、初めに白く輝きそれが消えると次に青い光が水晶玉を包み込んでいった。
「おめでとうございます。最初の光が【治癒の加護】であり後者の青い光が【先読みの加護】であります。ヴィヴィアン・ウェルズ・モントレー様は成人しても尚、二つの加護を持つ者と認めらました」
神官の言葉に国王である伯父上から「ほぅ」と息が洩れ次に
「我が国に二つの加護持つ者を授けてくださった神に感謝奉る」
との言葉が発せられた。
俺と両親は頭を垂れながら安堵する反面、できればどちらか一つ、しいて言うなら「先読みの加護」が消えて欲しかったと思っていたのだった。
しかし、これでヴィヴィの意思とは関係なく王家の血を引く者である俺との婚姻が揺るがないものとなった。
俺が二十歳の時にやって来た天使は十年間の時を経て二つの加護を保持する乙女となった。
銀の髪と菫色の瞳の八才の少女に魅入られた俺もいつの間にか三十になっていた。
伯父上と共に昼食を共にする為に神殿から王宮に向かう。
ヴィヴィの成人と二つの加護を祝う席なので伯父上と伯母上、そして両親以外の王家の者はいない。
「ヴィヴィアン成人おめでとう」
「ありがとうございます陛下、王妃様」
両陛下から二の加護の色した真珠とブルーサファイアが贈られた。
「今まで長かったな」
「そうですね、ヴィヴィアンをカリアス領から連れて来て十年が経ちました」
父もしんみりと感慨深げに言う。
「どうだ、ヴィヴィアン、『王家の決まりごと』によって勝手にアクセルを婚約者とされ今日まで来た。二つの加護が今も其方にあると分かりこのまま婚姻を結ぶ事になる訳だが」
「はい」
「嫌でも拒否権はないのだが、本当にアクセルで良かったか?」
「伯父上、本人を前にして容赦のない質問ですね」
俺は苦笑した。
「もう、陛下あなたったら今更そんな野暮な質問をなさるなんてお二人に失礼ですわよ」
王妃の言葉に両親も呆れた顔で笑う。
「はい、陛下。私は八才の時に決めてくださったお相手がアクセル様であったことに感謝いたします」
ヴィヴィは笑顔ではっきりと答えてくれた。
「そうよね、ヴィヴィちゃんは最初からアクセルに懐いていたし、仏頂面の愚息もヴィヴィちゃんには情けないほどだらしない顔で溺愛してきましたもの」
「母上!」
母はお気に入りの扇で口元を隠しながら「オホホ」と笑った。
「そう言えば添い寝はいつもアクセルの役で俺は一度もヴィヴィアンと寝た事もないしな」
父が寂し気に言うと伯父上が驚き上ずった声を出した。
「アクセルはヴィヴィアンと添い寝しておったのか?」
「ええ、週に一度ですが」
「!!!今もか?」
「いいえ、いまは・・・」
「・・・・稚児ややこは・・・出来ておらぬのだな?」
訝しげに声のトーンを下げる伯父上にどれだけ俺が我慢して来たかも知らないくせにとムッとする。
「成人前の婚約者にそんな無体な事を私がするわけないでしょう」
父と母が小さく吹き出す。
そこは吹き出すところではないだろうと思うのだが。
「そ、そうか、それは悪かった」(汗)
申し訳なそうに小さくなる伯父上だった。
「三カ月後には式を挙げますからもう遠慮はしませんけどね。なんなら今ここで婚姻の署名をしたいくらいですよ!」
「儂が悪かったアクセル。おぬし相当拗れて・・・あっ、いやすまぬ」
会話を聞いていた今日の主役のヴィヴィは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あら嫌ですわ、ヴィヴィアンちゃんごめんなさいね。そんな事よりお式が楽しみね。わたくしたちも勿論参列させて頂くわ」
「あ、ありがとうございます王妃様」
式の話になりやっと顔を上げて彼女は笑顔を見せたのだった。
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