副団長は次期公爵~幼き婚約者との10年

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最終章【長かった十年】

※まだ・・・

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 屋敷に戻る馬車の中で疲れてしまったのかヴィヴィは俺の肩に寄り掛かり眠ってしまった。

「やっぱり加護は消えなかったわね」
「ああ、この子の力を借りなくても済むような国であってほしいと思う」
「そうですね」

 ヴィヴィを起こさない程度の声で両親が話している。

「一週間後が卒業式。そして十日後にマリン伯爵令嬢の結婚式。三カ月後があなた達の結婚式。忙しすぎるわね」
「おい、その前に「国交復活祭」があるぞ」
「あっ、そうでしたわね。でも今日を迎えて本当にホッとしています」
「そうだな。十年だものな」
「ええ、十年ですもの」

 目の前に座る母上は涙ぐんでいる。

 寄り添い寝ているヴィヴィを見ながら俺も十年の記憶を遡りながら目を伏せる。
 元々成人を過ぎて二十歳になっても結婚願望はなかった。
 「王家の決まりごと」で十二才も下の少女と婚約を結ぶ事になり、十年という足枷を嵌められた訳だが別に災難が降って来たとも思わなかった。

 幼い少女に対する庇護欲はすぐに愛情へと変わっていった。 少女に対して欲情してしまった時には自分はおかしい、変態なのかと悩んだ時期もあった。
 彼女が異性と話しているのを見ては苛々して自分を抑えるのに必死になっていたことも。
 そしてヴィヴィが俺に対して愛情を示してくれるようになってからは、少しずつ身体に触れるようになった。
 最終的にもし、加護か消え自分が選ばれずに他の伴侶の元へ嫁いだとしても、俺は一生ヴィヴィの護衛騎士として見守り続けようと決意していたのだった。

 今日の判定でヴィヴィに二つの加護がある事が正式に認められた。
 ヴィヴィは俺が娶る。
 改めて喜びに浸る。
 
 この国で一番幸せな花嫁になるんだヴィヴィ。
 ん、違うか。
 俺がこの国で一番幸せな花婿になれるんだな。

 馬車はモントレー公爵家の館に到着した。

◇◇◇

「お帰りなさいませ。旦那様、奥様、アクセル様。ヴィヴィアンお嬢様」

「ああ、トーマス。無事に終わったぞ」

「では!」

 父の言葉にトーマスとマギーが目を潤ませる。

「ようございました。本当にようござい・・・」
「おめでとうございます。アクセル様、お嬢様」
「ありがとう」
「ありがとう、トマ爺、マギー」

 その言葉で使用人一同がハンカチで涙を拭った。

「ヴィヴィアン様のお誕生日のお祝いのご用意は整っております。お時間までごゆるりとお過ごしくださいませ」
 一斉に深々と頭下げる中を通り玄関の中へと入って行く。
 ヴィヴィの部屋の前まで送り額にキスをして「また後で」と告げ、ドリーに彼女を託した。

 自室に戻り着替えをしながらため息をつく。
 ふと、前に母に宣言した言葉を思い出した。

『結婚式を待たず誕生日にヴィヴィを自分の物にしますから』

 誘拐未遂以来自分の気の緩みが許せなくてそれに近い行為は控えて来た。
 口づけは交わしているが週一の添い寝もやめた。
 それに対してヴィヴィは俺の気持ちを察してくれたのか何も言ってくる事もなかった。

 これが普通なんだ。
 あまりに近く、手の届くところにいたから成人前に触れ合う機会が出来てしまった訳で、今が通常の婚約者同士で恋人同士なのではないかと思う。

 ヴィヴィを自分の物にするのは結婚式を終えた初夜まで待とう。
 自分の胸中でなにかがすぅーと落ちた気がした。

 この後すぐにヴィヴィは学院の卒業式を迎える。
 そして十日後は親友であるマリン嬢の結婚式に参列する予定だ。

 マリン嬢は十六の時にかねてから言われていた同じ伯爵家の嫡男で二才上のブライアン・バムフォードと婚約しており卒業を待って晴れて婚姻を結ぶこととなっている。
 自分も三カ月後には式を挙げるという事もあり、ヴィヴィはマリン嬢の式に参列できることを楽しみしていたのである。

 その後すぐに王家の催す「国交復活祭」の祝いの席に出席することが決まっている。
 ヴィヴィが予知したアピリオ山噴火から四年を経て隣国との国境封鎖が解かれたのだ。
 両国の間にある二つの壁の間にあった草地は溶岩が固まり地獄ような光景ではあるが、その上に新たに橋をかけ両国の関所を結んだ。
 関所の周辺は我が国に比べてトリアート側の復興は遅れていたが、こちらのタルダン領はかなり整備されており、関所近くには以前のようにまた温泉宿を建設できるくらいにまで整備された。
 これも軍による仕事だった。

 第一の貢献者としてわが父であるウィリアム・ウェルズ大公が陛下より叙勲を賜る事になっている。
 それと同時に成人を迎え、第二の関門である「加護の判定」を受けたヴィヴィアンが正式な「加護持ち」と認定され、陛下より聖女(この国に聖女と名の付く者はいない)に見立てた花冠がその頭に載せられる。そして、これ以降ヴィヴィアンは国の加護持ちとなり、既に存在する加護持ちの者達に名を連ねる事となる。

 陛下である伯父上はトリアート国から国王も出席するとあって、あの時の「」について聞かれるだろうと面倒くさそうにごちていた。

 




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