副団長は次期公爵~幼き婚約者との10年

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1章【我が家に天使がやって来た】

※いきなり婚約ですか①

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※本日2話目の投稿となります。
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 騎士団団長室でエリオス団長に報告を済ませ、遠征の報告書をまとめ始めたが到底一日では終わりそうも無かった。
 昼を過ぎたあたりから小雨が降りだし段々と本降りとなって来た。
 鬱陶しいなと思っていたところへ
「失礼しますウェルズ副団長に伝令が届いております」
 持って来たのは団の中で最年少のマルスだった。
 伝令を受け取り開くと父からの呼び出しで至急屋敷に来るようにと書いてある。

ーーー母上に何かあったのか?ーーー

 団長に断りを入れ両親の住まいであるウェルズ大公邸へと向かった。 
 
 到着すると母が元気な姿で出迎え遠征の労をねぎらってくれたが、人の事を呼び出したにも関わらず父の姿は無く領地から今日帰って来ると連絡があったという。
 驚いた事に突然養女を迎えるから着替えを用意しておくようにとだけ伝えてきて母上もサッパリ事情は分からないらしい。
 突然養女なんて何があったんだろうか?
 アクセルは父の所業が理解できないでいた。
 
 母とお茶を飲みながら父の帰りを待っていると窓の外に馬車の姿が見えた。
「母上、父上が帰って来たようですよ」
「あらそう、出迎えに行きましょう」
 俺は母上と玄関広間へと向かう。

 使用人が扉を開けると大きな体が何かを抱えて入って来た。

「お帰りなさいませ旦那様。準備は出来ております」
「そうか、頼む」

 小雨の中馬車から降りるにあたって外套を頭から被せられ抱えているのはどうやら少女のようだ。その後から俺より年下であろうと思われる女性も付いて来た。
 外装の中にちらりと見える銀色の髪に大きな菫色の瞳にドキリとする。

「フレイア頼む」
「はい、旦那様、湯あみもお着換えの用意もしてあります。まぁこんなに冷えて、ドミニクお願い。貴女も濡れてるわね、一緒に行きますわよ」
「あっ、はい」
 濡れた外套を剥がされ少女の長い髪がはらりと落ちた。
 ドミニクは父から少女を受け取るとフレイアとそして付き添いのような女性と共に急ぎ足で浴室へと向かって行った。
 呆然としている俺に
「あの子名前はヴィヴィアンという。養女として迎えることになった。今日からお前の義妹で婚約者となる」

「えっ?」

 濡れたズボンの雫を手で払いながらさらりと言われた言葉に唖然とする。

「話は後だ。取りえず着替えて来るから執務室で待ってろ」
「あっ、はい」
 父は勢いよく階段を上がり自室へと入って行った。

 父の名はウィリアム・ウェルズ。本当はもっと長い名前だが面倒なのでこれで通している。
 この国の王弟で大公でありかつて将軍と呼ばれていた。
 普段は管轄領地を周っていて王都にあるこの屋敷には殆どいることは無い。

 執務室で待っていると着替えを済ませた父が大股で入って来た。
 相変わらずガサツな人だと思う。
「さっきの話だが」
「ええ、養女というのは分かりますが私の婚約者というのは・・・」
「ああ、実はな」
 大事なところで少女の様子を見に行っていた母が入って来た。

「可愛い子ね、今湯あみを覗いて来たわ。あんな幼い子を拾ってくるなんて貴方らしい」
 そう言って嬉しそうに笑う。
「母上拾い物の様な言い方はあまり……」                                                                                                
「あらごめんなさい」
「二人共取り敢えず座ってくれ」
 父に促されてソファーに母と並んで腰を落とす。

「ヴィヴィアンは8才だ。年の割にはちゃんと意思表示が出来る賢い子だ」
 俺と母は黙って頷き父の話を聞く。
「お前が遠征に出ている間にカリアス領で問題が起きてな。俺は小部隊を連れて行き家宅捜査をしている最中に領主の敷地にある離れで軟禁状態のあの子を見つけた。一緒にいたメイドの話では5才の誕生日から両親が離れに軟禁し捨て置いたそうだ。メイドは元々ヴィヴィアン付きで彼女を心配し自分から願い出て世話をしていたと云っていた」

「なんて事を!」

「今の話だと5才から今まで3年間も軟禁されていたというのですか?」
「メイドの話ではそういう事になるな」

「5才になったばかりの我が子にそんな無体な事をするなんて許せませんわ。何故そんな酷いことを」

「捕まえたカリアスの領主夫婦を問い詰めたところ自分たちの子供は洗礼を受けた際「加護持ち」であると分かったがその後5才の鑑定で開花せず加護は消えていると云われたらしい。加護持ちの親となれば国から優遇され一生遊んで行けるとの目論見が消えてしまい腹が立ったからと云うのだ」

「そんな理由で……逆恨みですわ」

「領主夫婦は自分たちの借金を誤魔化すために領民からの税収の横領、それを隠すために虚偽の報告をしておりそれがバレそうになると穴埋めの為あらゆる悪事に手を染めていった。内部告発があり俺たちが向かったのだが。取り調べの合間に見張りの目を盗んで屋敷に火を付けた。どさくさに紛れて逃げようとした夫婦の首を俺が落とした。いずれにせよ横領に放火、その上我が子の軟禁となれば死刑だ。刑の執行を少し早めたに過ぎない」

「ええ、そうで御座いますか、良いお仕事をなさいましたね旦那様」

「当然だ」

 にんまりと微笑み合う両親の会話にはいつもながら背中に冷たいものを感じてしまうのは俺だけだろうか。


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