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最終章【長かった十年】
※公爵家のチャペルにて
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カーテンから漏れる光で目を覚ました。
大きなベッドの上、隣には愛しい温もりがある。
一糸まとわぬ姿で静かに寝息を立たているヴィヴィの髪をすくい口付けた。
昨夜は、今までの思いを込めてヴィヴィを抱いたつもりだったが、やはり無理をさせてしまったな。
やっと自分だけのものにできた喜びで胸が震える。
俺はヴィヴィのすべてを愛した。
***一日前 式の当日***
朝からヴィヴィの支度と式の準備が粛々と進められている。
俺の支度はとうに終わっており、花嫁の支度が終わるるのを父と二人で待っている訳だが。
一時間ほど前に逸る気持ちを抑えきれず様子を覗きに行き、マギーに締め出され、ヴィヴィの支度が整ったら知らせるので玄関広間で待つように叱られてしまったのだった。
手持ち無沙汰に何度も紅茶の入ったカップを口に寄せていると唐突に父に話しかけられる。
「三十になった息子に言うのも何なのだが・・・この十年よく頑張ったな。王命とは故、あのように幼い子の婚約者にしておまえを縛り付けてきた。男盛りであったのに申し訳けなかったと思っている。それでもヴィヴィアンのことをこれほどまで大切に思い守ってくれたことを父親として感謝している。ありがとう、アクセル」
突然の父の言葉に俺は・・・
将軍と呼ばれていた威厳を持つ父が立ち上って息子に頭を下げたのだ。
俺は父の前へ進み両手を握った。
「父上、頭を上げてください。私はあの雨の日に父上がヴィヴィを連れて帰って来た時から・・・幼い少女だったヴィヴィを受け入れる決意をしました。今では彼女のことを心より愛しております。私の方こそ天使を私のもとに連れてきてくれたことに感謝しています」
「ああ、ありがとう」
父が俺の体を抱き締めてきた。
父に抱きしめられたのはいつ以来だろうか。
もう記憶にないくらい昔のことだと思う。背は俺の方が少しばかり高くなったが、熊のようにガッシリとした父の体は逞しく年輪を重ねた男の優しさを感じた。
「ヴィヴィアン様のお支度が整いましたので、玄関の方へどうぞ」
マギーの声に父と二人顔を見合わせ、お互いに照れながら玄関広間へと向かった。
ヴィヴィがドリーに手を取られながら二階から階段を降りてくる。
純白のウェディングドレスに身を包みほんのり頬を染めて俺の顔を見ながら一段ずつ足を進める。
その姿は女神が天から舞い降りて来たかのように美しい。
階段の下で待つ父が手を取ると頬を合わせてから俺の前までエスコートされてきた。
「ヴィヴィ、綺麗だ」
ヴィヴィは少し目を伏せ、それから俺を見上げるようにして微笑む。
「ありがとうございます。アクセル様もとっても素敵です」
俺はヴィヴィの手に口づけた。
「さぁ、行こうか」
「はい」
玄関前に付けた馬車に父と三人で乗りチャペルへ向かう。
「ヴィヴィアン、綺麗だぞ。最高の花嫁だな。ここへ連れてきて養女にしたが、アクセルと婚姻を結んで本当に娘になってくれる。嬉しいよ」
前に座っている父が涙を浮かべながらヴィヴィに微笑みかける。
「お義父様、ありがとうございます。ヴィヴィもお義父様の娘になれて本当に幸せです」
「アクセルのことを頼んだぞ」
「はい」
馬車の中は暖かな空気に包まれていた。
モントレー公爵家の広い敷地内にあるチャペルで俺とヴィヴィの結婚式が行われる。
本邸から馬車でチャペルまで向かうが、途中に新しく建てられた東の館が見えてきた。
ヴィヴィのデビュタントの時に母が冗談のように言った俺たちのための館が三年の月日を掛けて本当に建てられてしまったのだ。
最終的には父と母が住むとはいえ、ワインを飲みながら口にした数週間後にいきなり設計図を広げ、ヴィヴィにいろいろと希望を聞き始めたのには驚かされた。
そして、二カ月前には家具や調度品が全て収められいつでも住める状態にとなっていた。
今夜から俺とヴィヴィはこの館で新婚生活を始めるのだ。
馬車がチャペルへと続くアプローチの前で停まる。
個人のチャペルなのでそれほどお大きくはない。中に入れない人たちが中央のアプローチを囲むようにして二人のことを待っていた。俺の腕に手を添えたヴィヴィと並んで歩いていく二人を暖かなまなざしで迎えてくれている。
扉が開くと参列者が一斉にこちらを振り向く。
一足先にドリーと結婚したエリオス騎士団長の姿が見えた。
反対側ではバムフォード伯爵夫人となるマリンがヴィヴィの花嫁姿を見て既にハンカチで目頭を押さえている。
一番先には伯父と伯母である国王陛下と王妃陛下が満面の笑みで迎えてくれている。
二人の後ろを歩いてきた父が待っていた母の隣に座るのを見届けてから、二人で小さく頭を下げ階段を上り神父のもとへと向かった。
ヴィヴィは緊張しているのかわずかに震えていたので
「大丈夫、俺が隣りにいるんだから」
と耳元で囁くと小さく頷いて微笑み返してきた。
――ああ、なんて可愛いんだ。
もうこのままあの新しい館に連れて行ってしまいたい。
愛しいヴィー、愛してる――
皆に見守られながら誓いの言葉を交わし二人で婚姻証明書にサインをして指輪の交換、そして誓いのキスを交わす。
やっとヴィヴィと夫婦になれたんだ。
参列者の祝う拍手とおめでとうの言葉を受けながら外へ出るとまた大勢の人たちから祝福を受けた。
ヴィヴィを抱き上げて口づけるとさらに歓声が上った。
ヴィヴィも涙を浮かべている。
そのまま目の前の庭園にセッティングされたガーデンパーティーの行われる場所へとヴィヴィを抱いたまま歩いて行く。
乾杯を終えると両陛下は時間の都合でここで城へ戻るため二人でお礼を言い見送った。
その後は百名以上いる客とともにガーデンパーティーで過ごし、夜には上位貴族と大公及びモントレー公爵領の領主たちとの晩餐パーティーとなる。
二人きりになれるのはまだまだ先のようでもどかしいが仕方がない。
晩餐でヴィヴィが着たドレスは俺の瞳と同じブルーの生地に彼女の髪色の色の銀糸で流れるような刺繍がされ、それに沿うように宝石が散らばめ縫い付けてある。俺のフロックコートは彼女の瞳の色である菫色で襟元、袖口、裾には俺の髪色の金糸で豪華な刺繍が施されいた。
ヴィヴィの美しさに会場からため息が漏れる。
俺もただ見惚れるばかりだった。
一通り挨拶に回り、軽く料理を口にしているとトーマスがさりせなく俺に耳打ちをしてきた。
宴が続く中、ヴィヴィもマギーに促されて、俺とヴィヴィは会場をあとにする。
そして我が家となる東の館へと向かったのだった。
_______________________________
※次回で最終話となる予定?一回の更新で終われそうもありません。
R18と謳った割にはそのシーンは殆ど無く・・・
最後に思いっきり甘く出来るか?
キーボードに手を乗せたまま固まっています。
大きなベッドの上、隣には愛しい温もりがある。
一糸まとわぬ姿で静かに寝息を立たているヴィヴィの髪をすくい口付けた。
昨夜は、今までの思いを込めてヴィヴィを抱いたつもりだったが、やはり無理をさせてしまったな。
やっと自分だけのものにできた喜びで胸が震える。
俺はヴィヴィのすべてを愛した。
***一日前 式の当日***
朝からヴィヴィの支度と式の準備が粛々と進められている。
俺の支度はとうに終わっており、花嫁の支度が終わるるのを父と二人で待っている訳だが。
一時間ほど前に逸る気持ちを抑えきれず様子を覗きに行き、マギーに締め出され、ヴィヴィの支度が整ったら知らせるので玄関広間で待つように叱られてしまったのだった。
手持ち無沙汰に何度も紅茶の入ったカップを口に寄せていると唐突に父に話しかけられる。
「三十になった息子に言うのも何なのだが・・・この十年よく頑張ったな。王命とは故、あのように幼い子の婚約者にしておまえを縛り付けてきた。男盛りであったのに申し訳けなかったと思っている。それでもヴィヴィアンのことをこれほどまで大切に思い守ってくれたことを父親として感謝している。ありがとう、アクセル」
突然の父の言葉に俺は・・・
将軍と呼ばれていた威厳を持つ父が立ち上って息子に頭を下げたのだ。
俺は父の前へ進み両手を握った。
「父上、頭を上げてください。私はあの雨の日に父上がヴィヴィを連れて帰って来た時から・・・幼い少女だったヴィヴィを受け入れる決意をしました。今では彼女のことを心より愛しております。私の方こそ天使を私のもとに連れてきてくれたことに感謝しています」
「ああ、ありがとう」
父が俺の体を抱き締めてきた。
父に抱きしめられたのはいつ以来だろうか。
もう記憶にないくらい昔のことだと思う。背は俺の方が少しばかり高くなったが、熊のようにガッシリとした父の体は逞しく年輪を重ねた男の優しさを感じた。
「ヴィヴィアン様のお支度が整いましたので、玄関の方へどうぞ」
マギーの声に父と二人顔を見合わせ、お互いに照れながら玄関広間へと向かった。
ヴィヴィがドリーに手を取られながら二階から階段を降りてくる。
純白のウェディングドレスに身を包みほんのり頬を染めて俺の顔を見ながら一段ずつ足を進める。
その姿は女神が天から舞い降りて来たかのように美しい。
階段の下で待つ父が手を取ると頬を合わせてから俺の前までエスコートされてきた。
「ヴィヴィ、綺麗だ」
ヴィヴィは少し目を伏せ、それから俺を見上げるようにして微笑む。
「ありがとうございます。アクセル様もとっても素敵です」
俺はヴィヴィの手に口づけた。
「さぁ、行こうか」
「はい」
玄関前に付けた馬車に父と三人で乗りチャペルへ向かう。
「ヴィヴィアン、綺麗だぞ。最高の花嫁だな。ここへ連れてきて養女にしたが、アクセルと婚姻を結んで本当に娘になってくれる。嬉しいよ」
前に座っている父が涙を浮かべながらヴィヴィに微笑みかける。
「お義父様、ありがとうございます。ヴィヴィもお義父様の娘になれて本当に幸せです」
「アクセルのことを頼んだぞ」
「はい」
馬車の中は暖かな空気に包まれていた。
モントレー公爵家の広い敷地内にあるチャペルで俺とヴィヴィの結婚式が行われる。
本邸から馬車でチャペルまで向かうが、途中に新しく建てられた東の館が見えてきた。
ヴィヴィのデビュタントの時に母が冗談のように言った俺たちのための館が三年の月日を掛けて本当に建てられてしまったのだ。
最終的には父と母が住むとはいえ、ワインを飲みながら口にした数週間後にいきなり設計図を広げ、ヴィヴィにいろいろと希望を聞き始めたのには驚かされた。
そして、二カ月前には家具や調度品が全て収められいつでも住める状態にとなっていた。
今夜から俺とヴィヴィはこの館で新婚生活を始めるのだ。
馬車がチャペルへと続くアプローチの前で停まる。
個人のチャペルなのでそれほどお大きくはない。中に入れない人たちが中央のアプローチを囲むようにして二人のことを待っていた。俺の腕に手を添えたヴィヴィと並んで歩いていく二人を暖かなまなざしで迎えてくれている。
扉が開くと参列者が一斉にこちらを振り向く。
一足先にドリーと結婚したエリオス騎士団長の姿が見えた。
反対側ではバムフォード伯爵夫人となるマリンがヴィヴィの花嫁姿を見て既にハンカチで目頭を押さえている。
一番先には伯父と伯母である国王陛下と王妃陛下が満面の笑みで迎えてくれている。
二人の後ろを歩いてきた父が待っていた母の隣に座るのを見届けてから、二人で小さく頭を下げ階段を上り神父のもとへと向かった。
ヴィヴィは緊張しているのかわずかに震えていたので
「大丈夫、俺が隣りにいるんだから」
と耳元で囁くと小さく頷いて微笑み返してきた。
――ああ、なんて可愛いんだ。
もうこのままあの新しい館に連れて行ってしまいたい。
愛しいヴィー、愛してる――
皆に見守られながら誓いの言葉を交わし二人で婚姻証明書にサインをして指輪の交換、そして誓いのキスを交わす。
やっとヴィヴィと夫婦になれたんだ。
参列者の祝う拍手とおめでとうの言葉を受けながら外へ出るとまた大勢の人たちから祝福を受けた。
ヴィヴィを抱き上げて口づけるとさらに歓声が上った。
ヴィヴィも涙を浮かべている。
そのまま目の前の庭園にセッティングされたガーデンパーティーの行われる場所へとヴィヴィを抱いたまま歩いて行く。
乾杯を終えると両陛下は時間の都合でここで城へ戻るため二人でお礼を言い見送った。
その後は百名以上いる客とともにガーデンパーティーで過ごし、夜には上位貴族と大公及びモントレー公爵領の領主たちとの晩餐パーティーとなる。
二人きりになれるのはまだまだ先のようでもどかしいが仕方がない。
晩餐でヴィヴィが着たドレスは俺の瞳と同じブルーの生地に彼女の髪色の色の銀糸で流れるような刺繍がされ、それに沿うように宝石が散らばめ縫い付けてある。俺のフロックコートは彼女の瞳の色である菫色で襟元、袖口、裾には俺の髪色の金糸で豪華な刺繍が施されいた。
ヴィヴィの美しさに会場からため息が漏れる。
俺もただ見惚れるばかりだった。
一通り挨拶に回り、軽く料理を口にしているとトーマスがさりせなく俺に耳打ちをしてきた。
宴が続く中、ヴィヴィもマギーに促されて、俺とヴィヴィは会場をあとにする。
そして我が家となる東の館へと向かったのだった。
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※次回で最終話となる予定?一回の更新で終われそうもありません。
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最後に思いっきり甘く出来るか?
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