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魔女が授ける、復讐方法
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薬膳茶を飲み切ったイルアは居ずまいを正し、向かいの席に座る叔母に深く頭を下げた。
「叔母様、これまでの身勝手をどうかお許しください。そして……どうか私の力になってください」
「ああ、いいさ」
素っ気なく答えた叔母は、手にしていたティーカップを口元に運んだ。一口飲んだ途端、まずそうに顔をしかめる。
そしてすぐに、ティーカップをソーサーに戻した。全てを飲み切るのを諦めたようだ。
「……で、何をすれば良いんだい?誰かを呪う?それとも殺す?もしくは、誰かを惚れさせたいのかい?」
一気に質問を投げた叔母だが、最後の問いの時には意地悪く微笑んでいだ。それだけは絶対に無いだろうと言いたげに。
(さすが魔女。先見の明がある)
かつての夫が部族抗争の戦場に出稼ぎに行く際にも、叔母が強く止めたことをイルアは思い出す。
結果として亡き夫は、魔女の助言に耳を貸すことなく命を落とすことになった。そんな過去を思い出し、チクリと胸が痛んだ。
けれど、イルアはそれを無理矢理、記憶の底に沈めて、口を開く。
「……ある男性に復讐をしたいんです。でも、どれが一番良い方法なのかわからなくて……」
「そうかい。なら、もう少し詳しく聞こうかね」
「はい。実は……私、誰かに聞いて欲しかったんです」
口に出して初めてそうだったのかとイルアは気付いた。
それからイルアは静かに、ゆっくりとフレデリックとの関係を叔母に語った。出会いから昨日まで、詳細に、丁寧に。
一年以上の月日を言葉にして伝えれれば、相当な時間を必要とする。
東の空にあった太陽は、いつの間にか真上より少し西側に傾いてた。
「───……そうかい。そんなことがあったんだね」
ずっと口を挟むことなく聞き役に徹していた叔母は、イルアが語り終えた後、ため息を吐きながらそう言った。
だが、すぐにふっと笑って口を開く。
「ま、あんたがあの男と心中するまえに、ここに来てくれて助かったよ」
「心中するつもりなんて……」
「あんたは復讐する気だったのかもしれないが、傍から見れば心中としか見れないよ。きっとあんたが死んだあと”一方的に熱を上げていた未亡人が、次期領主と無理心中をした”って街中が噂するさ」
「……そんな、酷い」
「酷い?んなもん、今更じゃないか」
鼻を鳴らして、吐き捨てた叔母は一旦席を立つ。すぐに戻ってきたその手には、ポットが握られていた。
「あんたは、死んじゃいけないさ」
コポポッ……と空になったティーカップに、叔母がポットからお茶を注ぐ。今度は薬膳茶ではなく、馴染みのあるお茶の香りが漂う。
「……私が死んだら、叔母様が悲しんでくれるから?」
「まぁ、そうだね。それもあるけれど」
「けれど?」
「あんたが死ねば、悲しむ人がいる。でも、あんたの死を笑う奴もいる。だから、死んじゃいけないのさ」
ティーカップに並々と注がれたお茶を見つめながら、イルアはそっかと小さく呟いた。
そして、勇気を出して叔母を───魔女の元を尋ねて良かったと心から思った。
「叔母様、これまでの身勝手をどうかお許しください。そして……どうか私の力になってください」
「ああ、いいさ」
素っ気なく答えた叔母は、手にしていたティーカップを口元に運んだ。一口飲んだ途端、まずそうに顔をしかめる。
そしてすぐに、ティーカップをソーサーに戻した。全てを飲み切るのを諦めたようだ。
「……で、何をすれば良いんだい?誰かを呪う?それとも殺す?もしくは、誰かを惚れさせたいのかい?」
一気に質問を投げた叔母だが、最後の問いの時には意地悪く微笑んでいだ。それだけは絶対に無いだろうと言いたげに。
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けれど、イルアはそれを無理矢理、記憶の底に沈めて、口を開く。
「……ある男性に復讐をしたいんです。でも、どれが一番良い方法なのかわからなくて……」
「そうかい。なら、もう少し詳しく聞こうかね」
「はい。実は……私、誰かに聞いて欲しかったんです」
口に出して初めてそうだったのかとイルアは気付いた。
それからイルアは静かに、ゆっくりとフレデリックとの関係を叔母に語った。出会いから昨日まで、詳細に、丁寧に。
一年以上の月日を言葉にして伝えれれば、相当な時間を必要とする。
東の空にあった太陽は、いつの間にか真上より少し西側に傾いてた。
「───……そうかい。そんなことがあったんだね」
ずっと口を挟むことなく聞き役に徹していた叔母は、イルアが語り終えた後、ため息を吐きながらそう言った。
だが、すぐにふっと笑って口を開く。
「ま、あんたがあの男と心中するまえに、ここに来てくれて助かったよ」
「心中するつもりなんて……」
「あんたは復讐する気だったのかもしれないが、傍から見れば心中としか見れないよ。きっとあんたが死んだあと”一方的に熱を上げていた未亡人が、次期領主と無理心中をした”って街中が噂するさ」
「……そんな、酷い」
「酷い?んなもん、今更じゃないか」
鼻を鳴らして、吐き捨てた叔母は一旦席を立つ。すぐに戻ってきたその手には、ポットが握られていた。
「あんたは、死んじゃいけないさ」
コポポッ……と空になったティーカップに、叔母がポットからお茶を注ぐ。今度は薬膳茶ではなく、馴染みのあるお茶の香りが漂う。
「……私が死んだら、叔母様が悲しんでくれるから?」
「まぁ、そうだね。それもあるけれど」
「けれど?」
「あんたが死ねば、悲しむ人がいる。でも、あんたの死を笑う奴もいる。だから、死んじゃいけないのさ」
ティーカップに並々と注がれたお茶を見つめながら、イルアはそっかと小さく呟いた。
そして、勇気を出して叔母を───魔女の元を尋ねて良かったと心から思った。
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