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魔女が授ける、復讐方法
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「叔母様、私……どんな復讐をしたら良いかわからないの」
イルアは叔母が淹れてくれたお茶を一口飲んでから、そう切り出した。
「彼……フレデリックが一番困るのって何だと思います?一番辛いのはどんなことなのかしら?……私、一年以上、彼と関係を続けてたけれど、あの人のこと何もわかっていなかったの」
─── 馬鹿みたい。
一気に言い終えたイルアは、心の中で吐き捨てた。
フレデリックが自分が住まう領地の次期領主であること。そして彼が自分より少し年上で、会えば性急に身体を重ねようとしていたこと。
現役の父親が厳しく、自由になるお金が無いからという理由で、贈り物をもらうことも、菓子といった手土産すら一度ももらったことがないこと。
どんな幼少時代を過ごしていたのか、何が好きで何が嫌いなのか、自分と会えない時はどんなことを学んでいるのか。そんなことを何気なく尋ねれば、途端に不機嫌になること。
この程度しか、イルアはフレデリックのことを知らない。
つまりフレデリックは、イルアに自分のことを知られるのを極端に恐れていたのだ。それはきっと後々のことを考えて。
「馬鹿だわ、私」
少し考えれば、フレデリックが身体しか求めていないことはすぐにわかることだった。
でも、自分がそれを知りたくなかった。都合の悪いことは頭の中で消去して、ただただ彼の温もりを求めていただけ。
……もう少し、自分の気持ちをちゃんと彼に伝えていたら。
……不機嫌になる彼を恐れず、強く問いただしてみたら。
……もっと堂々と彼との付き合いを公言していたら。
何かが、変わっていたのだろうか。
そんな詮無いことを、つい考えてしまう。
「イルア、復讐ってのはね、相手が一番辛いことを与えることなんじゃないさ。する側がやりたいことをするのが一番なのさ」
俯き深いため息を吐いたイルアに叔母は静かに言った。
「する側が一番やりたいこと?」
目から鱗が落ちるとはまさにこのこと。そんな発想などまったく持ち合わせていなかった。
「復讐を受ける側っていうのは、何をされても辛いもんさ。だって、全てが身に覚えがないのに厄災が降ってくるようなもんだからね。だから復讐をするなら、絶対に忘れちゃいけないことがある」
最後は昔話を語るような柔らかな口調から一変して、魔女の口調になった叔母はきっぱりとこう言った。
「罪悪感を持たないこと。それと、自分の思いを明確にすることだ」
「自分の思いを……明確に?」
「そうさ。復讐のやり方なんて100人いれば、100通りのやりかたがある。傍から見ればそんなもんが復讐なのか?と思うものもあるだろう。でもね、する側が納得して実行すればそれは完璧な復讐になる。イルア、四角四面で考えなくて良いんだよ。あんたは今、その馬鹿男になにをしてやりたい?どうしたら胸がすく思いができる?無理なことでも言ってくれ。あたしは魔女だ。あんたの願いは、無償で叶えてやるよ」
魔女は人が不可能だと思ったことを、簡単に可能に変えてしまう不思議な呪術を使う。
ゾワリ、とイルアは怖気が立った。
今更ながら叔母が魔女だったことを実感したのだった。
イルアは叔母が淹れてくれたお茶を一口飲んでから、そう切り出した。
「彼……フレデリックが一番困るのって何だと思います?一番辛いのはどんなことなのかしら?……私、一年以上、彼と関係を続けてたけれど、あの人のこと何もわかっていなかったの」
─── 馬鹿みたい。
一気に言い終えたイルアは、心の中で吐き捨てた。
フレデリックが自分が住まう領地の次期領主であること。そして彼が自分より少し年上で、会えば性急に身体を重ねようとしていたこと。
現役の父親が厳しく、自由になるお金が無いからという理由で、贈り物をもらうことも、菓子といった手土産すら一度ももらったことがないこと。
どんな幼少時代を過ごしていたのか、何が好きで何が嫌いなのか、自分と会えない時はどんなことを学んでいるのか。そんなことを何気なく尋ねれば、途端に不機嫌になること。
この程度しか、イルアはフレデリックのことを知らない。
つまりフレデリックは、イルアに自分のことを知られるのを極端に恐れていたのだ。それはきっと後々のことを考えて。
「馬鹿だわ、私」
少し考えれば、フレデリックが身体しか求めていないことはすぐにわかることだった。
でも、自分がそれを知りたくなかった。都合の悪いことは頭の中で消去して、ただただ彼の温もりを求めていただけ。
……もう少し、自分の気持ちをちゃんと彼に伝えていたら。
……不機嫌になる彼を恐れず、強く問いただしてみたら。
……もっと堂々と彼との付き合いを公言していたら。
何かが、変わっていたのだろうか。
そんな詮無いことを、つい考えてしまう。
「イルア、復讐ってのはね、相手が一番辛いことを与えることなんじゃないさ。する側がやりたいことをするのが一番なのさ」
俯き深いため息を吐いたイルアに叔母は静かに言った。
「する側が一番やりたいこと?」
目から鱗が落ちるとはまさにこのこと。そんな発想などまったく持ち合わせていなかった。
「復讐を受ける側っていうのは、何をされても辛いもんさ。だって、全てが身に覚えがないのに厄災が降ってくるようなもんだからね。だから復讐をするなら、絶対に忘れちゃいけないことがある」
最後は昔話を語るような柔らかな口調から一変して、魔女の口調になった叔母はきっぱりとこう言った。
「罪悪感を持たないこと。それと、自分の思いを明確にすることだ」
「自分の思いを……明確に?」
「そうさ。復讐のやり方なんて100人いれば、100通りのやりかたがある。傍から見ればそんなもんが復讐なのか?と思うものもあるだろう。でもね、する側が納得して実行すればそれは完璧な復讐になる。イルア、四角四面で考えなくて良いんだよ。あんたは今、その馬鹿男になにをしてやりたい?どうしたら胸がすく思いができる?無理なことでも言ってくれ。あたしは魔女だ。あんたの願いは、無償で叶えてやるよ」
魔女は人が不可能だと思ったことを、簡単に可能に変えてしまう不思議な呪術を使う。
ゾワリ、とイルアは怖気が立った。
今更ながら叔母が魔女だったことを実感したのだった。
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