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セルードの企み
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あまりに礼を欠いたアンジェラの態度に、セルードはプツンとキレた。
とはいえ、相手は女性だ。拳を使って制裁するなどもってのほか。
せめて怒鳴りつけたいと思ったけれど、セルードはこんな容姿であるが中身は紳士だ。どんなに不快な相手であっても、それを許せない自分が邪魔して行動に移せない。
実のところ、セルードがわざと野暮ったい恰好をして出来損ないの長男を演じているのは、王命なのだ。
2年前のとある王城で開かれた夜会で、異国の姫君が一方的にセルードに惚れてしまった。だがしかし、その姫君はいずれは王子の妻になる予定のお方だった。
しかも姫君の故郷はかなりの大国で、今回は戦争を回避するために婚姻を結ぶ。
そのため何が何でも王子との結婚を実現してもらわなければならない。
幸い異国の姫君にセルードの名を知られることはなかった。そして熱して冷めやすい性格のようで、今は一目惚れした貴族令息のことなど忘れて、着々と王子の元に嫁ぐ準備を進めていると聞く。
とはいえ万が一を考え、国王陛下は当面の間、セルードに容姿を偽り名も変えるよう厳命したのだ。
そんな背景があるから、セルードは家督を継ぐことができなかった。名門貴族の当主となれば、どうしたって社交の場に出なければならないから。
だからといって、これほどの屈辱を受けてもアンジェラの婚約者でいたいとは思わない。その結果、セルードは、貴族のしきたり通りに当主を通して、ネリム家の長女と婚約を破棄することを申し出た。
ダッヒ家としては何が何でもネリム家と、縁を結びたいわけではない。婿養子として受け入れてくれる家であれば、正直どこでも良かった。
次の世代が女当主となる家は少なからずある。だからそこと縁談を進めれば良いだけの事。最悪、どことも縁が無ければ身を隠せばいい。
……と思っていたのだが、アンジェラとの婚約破棄は受け入れられなかった。
それはアンジェラが嫌だとごねたわけではない。
ネリム家が財政難で、婿養子となるセルードの持参金を手放したくないという理由でもなかった。
婚約破棄を拒んでいるのは、ネリム家当主であるデュエフの個人的な感情だった。
デュエフは家族に対して寛大な心を持っている反面、完璧主義の人間だった。己に欠点があることを許せない性格だった。
そして自分の髪と瞳と同じ色を持つアンジェラを、自分の分身のように思っていた。
婚約破棄は、デュエフによれば欠点となるらしい。
そのため自分の分身であるアンジェラが婚約を破棄されることを、どうしても許すことができなかった。
とはいえ、相手は女性だ。拳を使って制裁するなどもってのほか。
せめて怒鳴りつけたいと思ったけれど、セルードはこんな容姿であるが中身は紳士だ。どんなに不快な相手であっても、それを許せない自分が邪魔して行動に移せない。
実のところ、セルードがわざと野暮ったい恰好をして出来損ないの長男を演じているのは、王命なのだ。
2年前のとある王城で開かれた夜会で、異国の姫君が一方的にセルードに惚れてしまった。だがしかし、その姫君はいずれは王子の妻になる予定のお方だった。
しかも姫君の故郷はかなりの大国で、今回は戦争を回避するために婚姻を結ぶ。
そのため何が何でも王子との結婚を実現してもらわなければならない。
幸い異国の姫君にセルードの名を知られることはなかった。そして熱して冷めやすい性格のようで、今は一目惚れした貴族令息のことなど忘れて、着々と王子の元に嫁ぐ準備を進めていると聞く。
とはいえ万が一を考え、国王陛下は当面の間、セルードに容姿を偽り名も変えるよう厳命したのだ。
そんな背景があるから、セルードは家督を継ぐことができなかった。名門貴族の当主となれば、どうしたって社交の場に出なければならないから。
だからといって、これほどの屈辱を受けてもアンジェラの婚約者でいたいとは思わない。その結果、セルードは、貴族のしきたり通りに当主を通して、ネリム家の長女と婚約を破棄することを申し出た。
ダッヒ家としては何が何でもネリム家と、縁を結びたいわけではない。婿養子として受け入れてくれる家であれば、正直どこでも良かった。
次の世代が女当主となる家は少なからずある。だからそこと縁談を進めれば良いだけの事。最悪、どことも縁が無ければ身を隠せばいい。
……と思っていたのだが、アンジェラとの婚約破棄は受け入れられなかった。
それはアンジェラが嫌だとごねたわけではない。
ネリム家が財政難で、婿養子となるセルードの持参金を手放したくないという理由でもなかった。
婚約破棄を拒んでいるのは、ネリム家当主であるデュエフの個人的な感情だった。
デュエフは家族に対して寛大な心を持っている反面、完璧主義の人間だった。己に欠点があることを許せない性格だった。
そして自分の髪と瞳と同じ色を持つアンジェラを、自分の分身のように思っていた。
婚約破棄は、デュエフによれば欠点となるらしい。
そのため自分の分身であるアンジェラが婚約を破棄されることを、どうしても許すことができなかった。
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