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【夜の治験 卒業編】 メイドは一晩限りの過ちを望む
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己の意思で媚薬を飲んだくせに、間違って飲んだと主張する彼女を。
抱いてほしいと訴えたくせに、今度は治療をしてくれとのたまう彼女を───グリジットは、途方にくれた顔で見つめていた。
(......まったく、なんてことをしてくれたんだ)
これまでずっと、こっちがもどかしくなるくらい控えめで焦れた思いを自分に与えてきたくせに、一番言うことを聞いてほしい時にこんなワガママを言う。
本当に困ったものだ。どうして明日まで待ってくれないのだと、グリジットは奥歯を噛み締める。
(なし崩しに抱きたくないだけなんだ。大切に......ちゃんと素面の状態で、気持ちを確かめあってから抱きたいだけなんだ)
そうファルナに言いたい。
しかし媚薬におかされた自分は、情けないほど呼吸が乱れてうまく言葉が出てこない。
こんなことになるなんて思ってもみなかった。
グリジットは元国王陛下だ。毒の耐性は誰よりもある。もちろん男女の不祥事も念頭に置いて、媚薬にだってかなりの耐性を付けてきた。
なのに今の自分は間違いなく媚薬におかされている。
目の前にいるファルナを貪り尽くしたくてたまらない。どれだけ彼女が嫌がろうが、泣き叫ぼうがお構い無しに組敷いて、力任せに抱き潰してしまいたい。
そんな思考に支配されそうになるグリジットでも、どうしてこうなったかは何となく想像がつく。
これは、対価なのだ。呪いを使い続けてきた結果、グリジットは毒の耐性を奪われてしまったのだ。
(くそっ……まったく気付けなかった)
城に居た時ならもっと早く気付けただろう。
しかしファルナが来てから口に入れるものが全て安全であったし、好き好んで毒を接種するような趣味は持ち合わせていなかった。そのせいで、グリジットはこんな状態になって酷く後悔した。
でも自分をこんなふうにしたファルナに対して怒りは無い。
これが本気の毒ならまだしも、飲まされたのは媚薬だ。しかも抱かれたいという意思の下でそうしたのだ。呆れる気持ちはあれど、軽蔑するつもりなんて欠片も無い。
とはいえ……この状況はまさに追い詰められたと言っても過言ではない。
目の前にいる愛しい彼女は目を潤ませ自分をじっと見ている。頬はリンゴのように赤く、唇は物欲しそうに震えている。
ファルナと自分が飲んだのは、パートナーと性を楽しむものじゃない。娼婦を調教するために作られた強力な媚薬だ。
なんでそんなことがわかるかといえば、過去にグリジットはこれを飲まされたことがあるからで。そして、それがどれだけ苦しいのか身をもって知っている。
「───……先生」
少し離れた場所にいるファルナは、へたりこんだ状態で潤んだ眼差しを向けてくる。
本当は駆け寄って抱きしめてあげたい。媚薬のせいで暴れ回る熱を自分の手で冷まさせてあげたい。
そう思っていても、グリジットはその場から動くことができなかった。
抱いてほしいと訴えたくせに、今度は治療をしてくれとのたまう彼女を───グリジットは、途方にくれた顔で見つめていた。
(......まったく、なんてことをしてくれたんだ)
これまでずっと、こっちがもどかしくなるくらい控えめで焦れた思いを自分に与えてきたくせに、一番言うことを聞いてほしい時にこんなワガママを言う。
本当に困ったものだ。どうして明日まで待ってくれないのだと、グリジットは奥歯を噛み締める。
(なし崩しに抱きたくないだけなんだ。大切に......ちゃんと素面の状態で、気持ちを確かめあってから抱きたいだけなんだ)
そうファルナに言いたい。
しかし媚薬におかされた自分は、情けないほど呼吸が乱れてうまく言葉が出てこない。
こんなことになるなんて思ってもみなかった。
グリジットは元国王陛下だ。毒の耐性は誰よりもある。もちろん男女の不祥事も念頭に置いて、媚薬にだってかなりの耐性を付けてきた。
なのに今の自分は間違いなく媚薬におかされている。
目の前にいるファルナを貪り尽くしたくてたまらない。どれだけ彼女が嫌がろうが、泣き叫ぼうがお構い無しに組敷いて、力任せに抱き潰してしまいたい。
そんな思考に支配されそうになるグリジットでも、どうしてこうなったかは何となく想像がつく。
これは、対価なのだ。呪いを使い続けてきた結果、グリジットは毒の耐性を奪われてしまったのだ。
(くそっ……まったく気付けなかった)
城に居た時ならもっと早く気付けただろう。
しかしファルナが来てから口に入れるものが全て安全であったし、好き好んで毒を接種するような趣味は持ち合わせていなかった。そのせいで、グリジットはこんな状態になって酷く後悔した。
でも自分をこんなふうにしたファルナに対して怒りは無い。
これが本気の毒ならまだしも、飲まされたのは媚薬だ。しかも抱かれたいという意思の下でそうしたのだ。呆れる気持ちはあれど、軽蔑するつもりなんて欠片も無い。
とはいえ……この状況はまさに追い詰められたと言っても過言ではない。
目の前にいる愛しい彼女は目を潤ませ自分をじっと見ている。頬はリンゴのように赤く、唇は物欲しそうに震えている。
ファルナと自分が飲んだのは、パートナーと性を楽しむものじゃない。娼婦を調教するために作られた強力な媚薬だ。
なんでそんなことがわかるかといえば、過去にグリジットはこれを飲まされたことがあるからで。そして、それがどれだけ苦しいのか身をもって知っている。
「───……先生」
少し離れた場所にいるファルナは、へたりこんだ状態で潤んだ眼差しを向けてくる。
本当は駆け寄って抱きしめてあげたい。媚薬のせいで暴れ回る熱を自分の手で冷まさせてあげたい。
そう思っていても、グリジットはその場から動くことができなかった。
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