孤独なメイドは、夜ごと元国王陛下に愛される 〜治験と言う名の淫らなヒメゴト〜

当麻月菜

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【番外編】二人の日常

ソレは時には媚薬になる……らしい⑤

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 嵐のような一時が過ぎれば、部屋は静寂に包まれる。

 毛布でぐるぐる巻にされたファルナは、ベッドの上でグリジットに抱きかかえられ微睡んでいた。

「……結局、今日も優しく抱いてやれなかった」

 自嘲する声が耳朶に響き、ファルナはふふっと笑う。

「そこで笑うか?」

 ムッとする……とまではいかないが、些か不機嫌そうな声にファルナは今度は「ふふっあはっ」と堪えきれなくて声を上げて笑ってしまった。

「こら、こっちは本気で反省してーー」
「十分、優しかったですよ」

 グリジットの言葉を遮って、ファルナはにこっと笑みを浮かべて言う。

 それからよいしょと毛布から腕を引っ張り出すと、グリジットにぎゅーっと抱きついた。

「……まったく、どうしてこう君は……」

 やり込められた感満載でグリジットはため息交じりにファルナの髪を梳く。

 その手付きは先程とは違って猫の腹を撫でているような優しい。

 ファルナはグリジットの繊細そうに見えるのに、実はゴツゴツしているこの手が大好きだ。

 激しく愛撫されるときも、こうして甘やかしてくれるときも、どちらも同じくらいに。

「グリジットさん……大好きです」

 素直な気持ちを口にすれば、グリジットの手がピタッと止まる。

「……それは、もう一度抱いて欲しいという遠回しなおねだりか?」

 慎重な口調で尋ねるグリジットの声音は、とてつもない期待が込められていた。

 それをしっかり感じ取ったファルナであるが、ご期待に添えることができないためモゾモゾ毛布の中に逃げ込んだ。

「嫌か?」

 ペロッと毛布をめくられ問われても、ファルナは黙秘を貫く。

 だってもう、ヘロヘロのヘトヘトなのだ。自分は大して動いてはいないはずなのだが、実はものすごく眠い。

「明日じゃ……駄目ですか?」
「明日?」
「はい、明日」
「……明日か」

 折衷案を口にすればグリジットは、不満そうな顔をする。

 でもファルナがあくびを噛み殺したのを見て、「わかった、明日な」と要求を飲んでくれた。けれども、

「なら一緒に寝てもらおう。あと、汗も沢山かいたようだから風呂にも入ろう。もちろん一緒に」
「いっ」
「一緒に、だ」

 語尾を強めて言ったグリジットは、今度は絶対に妥協しないと無言の圧をかけてくる。

 対してファルナは、眠気もぶっ飛ぶほど困っている。

 まぁついさっき全部を見せあった仲だというのに、何を今更という感じではあるが……それはそれ、これはこれということで。

 そんなわけでファルナは、動かない頭をなんとこさ動かして、精一杯角が立たない断り文句を口にする。

「お湯を沸かすのに時間がかかりますから……今日は、このままで。また、明日……では……駄目ですか?」

 もにょもにょ尻すぼみになりながらも何とか遠回しに嫌だと伝えて見たけれど、グリジットから返ってきたのは大変余裕のある笑みだった。

「湯ならすぐに沸く。風邪を引く間もなく、な」
「へ?」

 言っている意味がてんでわからなくて間抜けな声を出すファルナであったが、はてなマークを頭の中で3つ並べた頃にはもう、グリジットに抱き上げられてバスルームに向かっていた。

 ーー5分後、初めてまじないを目にしたファルナの「え?……ええ!?えええっ!!」という絶叫がバスルームに響いた。


 
 それから流石にバスルームで大声を上げることはなくなったけれど、一緒にお風呂に入る行為はこの後、二人の日常となった。

 またお茶が媚薬になる夜も、二人の繰り返す日常のひとこまに。



◇◆◇◆終わり◆◇◆◇


 番外編まで読んでいただきありがとうございました!

 これで一旦、完結とさせていただきます。
 
 最後までお付き合いいただきありがとうございました(≧∀≦)  
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感想 7

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みんなの感想(7件)

奏
2021.08.20

夜遅くに申し訳ないです。
いつも楽しみに読ませていただいています。
新章の1話グリジット→グロッソ、2話リット→リッドになっています。
無理せず執筆頑張ってください!

解除
スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

解除
さやか
2021.08.11 さやか

久々の更新ありがとうございます(*^^*)
このお話が大好きでずっと待っていました!

個人的には世界観がふんわり優しく感じられて、なんというか…見守っているような気持ちでいつも読んでいます。

まだまだ続くのでしょうか…楽しみにしています(*^^*)

解除

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