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後編
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「めでたく、また首をはねられてしまったわ」
稀代の悪女はため息をつく。
それを見た神も同じようにため息をついた。
「悪行を重ね殺されてしまうとは、これで一体何度目だと思っておるのか」
「あら、私は死んでなんかいなくてよ。私がいなくなってからも、私の名と悪行はいつまでも語られているのではなくて?」
「あれだけのことをしたのだ、当然であろう」
ほほほほ、と、悪女は華やかに笑った。
「一度は改心して、聖女として名を轟かせたこともあったではないか」
「……あれは本当につまらない人生だったわ」
悪女は退屈そうに言う。
「善行を積んだ私を聖女と呼び、民はたしかに感謝してくれたわ。でも……」
遠い過去を思い出しているのだろう、そこで少し間を置いた。
「平和に慣れた民は、すぐに私のことなど忘れてしまった。それどころか、私が一度ぼろを出しただけで手のひらを返したように、私を悪女と罵った。それまでの善行なんて、まるでなかったかのようにね」
黙する神を見て、悪女は口の端を引き上げる。
「さて、次はどんな悪事を働いてみなを困らせてやろうかしら」
「そなたは懲りずに、またそんなことを……」
「あら、その方がみんな生き生きしていて、とても楽しそうなのよ?」
うっとりとする悪女を、神はただ静かに見据える。
そなたを真っ当な統治者にしてやるぞと啖呵をきった手前、もう後には引けなかった。
「ねえ、早くしてくださらない?」
神は大仰にため息を落とす。
次こそはと思いながら、この悪女をまた世に送り出すのだった――
~おしまい~
稀代の悪女はため息をつく。
それを見た神も同じようにため息をついた。
「悪行を重ね殺されてしまうとは、これで一体何度目だと思っておるのか」
「あら、私は死んでなんかいなくてよ。私がいなくなってからも、私の名と悪行はいつまでも語られているのではなくて?」
「あれだけのことをしたのだ、当然であろう」
ほほほほ、と、悪女は華やかに笑った。
「一度は改心して、聖女として名を轟かせたこともあったではないか」
「……あれは本当につまらない人生だったわ」
悪女は退屈そうに言う。
「善行を積んだ私を聖女と呼び、民はたしかに感謝してくれたわ。でも……」
遠い過去を思い出しているのだろう、そこで少し間を置いた。
「平和に慣れた民は、すぐに私のことなど忘れてしまった。それどころか、私が一度ぼろを出しただけで手のひらを返したように、私を悪女と罵った。それまでの善行なんて、まるでなかったかのようにね」
黙する神を見て、悪女は口の端を引き上げる。
「さて、次はどんな悪事を働いてみなを困らせてやろうかしら」
「そなたは懲りずに、またそんなことを……」
「あら、その方がみんな生き生きしていて、とても楽しそうなのよ?」
うっとりとする悪女を、神はただ静かに見据える。
そなたを真っ当な統治者にしてやるぞと啖呵をきった手前、もう後には引けなかった。
「ねえ、早くしてくださらない?」
神は大仰にため息を落とす。
次こそはと思いながら、この悪女をまた世に送り出すのだった――
~おしまい~
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