6 / 9
5. 魔王の見える愛 ②
しおりを挟む
翌朝――
魔王の朝餉に招かれたユズリハは、朝陽の入る広々とした食事の間へと案内された。広大な部屋の中央には、清楚な白いクロスの掛けられた縦長のテーブルがある。魔王がユズリハの為にと付けてくれた侍女の一人が椅子を引いてくれ、ユズリハは腰を下ろした。
魔王は既に席についていた。向かいに座ったユズリハを、悦に入ったように見ている。
「な、何よ……?」
「見惚れておった」
「――」
手近にあるフォークを投げ付けたい衝動に駆られたが、ぐっと我慢する。
「そ、そう」
と、視線を逸らして素っ気なく返した。
しかし、魔王はユズリハの頬が僅かに赤く染まっていることを見逃さなかった。追い打ちをかけるかのように、ユズリハの麗姿を褒めそやす。
「剣を携えたあの凛とした勇姿も良かったが、そのドレスも似合っておるぞ」
ユズリハは、魔王に戦いを挑んだ時の殺伐とした旅装ではなく、レース飾りやフリルがふんだんに使われている純白のドレスに身を包んでいた。
金色の髪はおろし、紫水晶青玉を散りばめた繊細な細工のティアラをさしている。身の回りの世話をする為に遣わされたという数名の侍女達が、衣装棚からドレスやその他装飾品を姫の意見を聞きながら選び、身支度を整えてくれたのだ。
自ら仕立てさせたドレスや宝飾品が愛する姫をより一層美しく見せていることに、魔王は喜んでいるようだった。食事をする間にも、思い付いては賛辞を送り、実に満足げだ。
初めは頑なだったユズリハも、そんな風にあけすけに嬉しそうにされると、ほんの少しだが、そんな無邪気な魔王を……ちょっと可愛いかも、などと思ってしまう。
――って、何考えてるのよ、私は。
ちらりと、あくまで気付かれないようにと魔王を窺い見る。
自信に満ちた深紅の瞳、僅かに口の端を引き上げ、威厳を備えた口元。魔王たらしめる尊大で横柄な態度、そして昨日、目の当たりにしたあの問答無用の強さ。……可愛さの欠片もない。可愛いだなんて、一体、どうしてそんな感想を抱いてしまったのか。
自己嫌悪のように悩んでいると、最初からユズリハの視線に気付いていた魔王は、隠しきれずにくつくつと笑い声を上げ始めた。
「良いものだな、そなたに見つめられるのは」
「っ、料理に見惚れてるのよ」
止まっていた手を動かし、慌ててスープを口に運ぶ。勿論、動揺を悟られないよう、あくまで優雅に。じゃじゃ馬姫の異名を持つ彼女だが、流石に宮廷作法は一通り心得ている。
誤魔化す為にするりと出てしまった言葉だったが、一国の姫でさえも見惚れてしまう程、本当に豪華なものだった。
果物がきれいに盛られたクリスタルの器が中央に置かれ、目の前には、美味しそうに湯気を立てているスープ、上等な肉を使ったステーキ、見たこともない魚のエスカベージュ、肉と野菜を彩りよく炒めたソテー、そして果肉の入った赤く透き通ったゼリー等、見た目も味もどれも一級品だ。
魔王は、赤い葡萄酒の注がれたグラスを傾けながら訊いてきた。
「どうだ、味は?」
「……美味しいわ」
何だか意地を張るのにも疲れてきて、気が付けば素直な感想を述べていた。
ユズリハのグラスには、酒精のない甘い香りの果実水が注がれている。
――酔わせてどうこう、という気もないみたいね。
本当に調子を狂わせる男だ、と内心で思う。少しでも手篭めにしてやろうという素振りを見せてくれれば、いっそ抵抗出来るのに。
そんなことを考えながら果実水を口に含み、そういえば、と顔を上げた。
「ゼフィーは?」
朝からまだ一度も顔を見ていない。
「何だ、気付いておらんのか。そなたが参るより先に、とうに来ておるぞ?」
え、来てる? 何処に……
ユズリハは広い部屋を見渡し、そして見つけた――。
「ゼ、ゼフィー!?」
宮廷作法そっちのけで、思わず叫んでしまった。
テーブルから離れた部屋の片隅に、彼は座っていた。床の上に、直に。
磨き上げられた床の上には、正方形の無地の布が敷かれ、その上にパンと思しきものを一つ乗せた皿とコップが置かれている。
「あ、姫様。おはようございます」
彼の落ちついた声が静かな広間に響く。
「ええ、おはよう……って、ちょっとっ!」
ユズリハは、魔王に向かって声を荒げた。
「何なのアレは!?」
「ん、何を怒っておるのだ。気は進まなかったが、あの男も我らの朝餉に相伴させてやったのだぞ?」
相伴、アレが!?
「どう見ても、一人でピクニックしてるようにしか見えないわよ!?」
ユズリハが抗議すると、魔王は側近たちに命じ、ゼフィランサスの席を魔王と姫の座るテーブルに近付けさせた。長テーブルの隣で、ゼフィランサスがちょこんと床に腰を下ろし、ささやか過ぎる朝食を前にしている……。
「これでどうだ?」
「私が言いたいのは、この差よ!」
ユズリハはテーブルの上の豪華な食事を指差してから、ゼフィランサスの質素極まりない朝食をびしっと指差した。細身で小柄なユズリハなら耐えられるかもしれないが、大の男にパン一つなんて。殺す気だろうか。
「ああ、つまりこれが――」
「我が愛!?」
「おお、漸く気付いてくれたか」
にこにこと嬉しそうに言う魔王に、ユズリハは少し躊躇ってから言った。
「ねぇ、一つお願いしていい?」
「ん、何だ? 望みがあるならば、言ってみよ」
ユズリハは、すっと深く息を吸ってから、ご機嫌な魔王に向かって告げた。
「私への愛を、少しゼフィーに分けてあげてちょうだい――」
……
「何なのよ、もう……」
朝のことを思い出しながら、ユズリハはベッドの上に転がった。
その様子を見て、ゼフィランサスが少し面白そうに言う。
「愛されてますね、姫」
「愛……」
今まで、愛は目に見えなくて、漠然としていて。
なのに、魔王の愛は目に見えるようだ。いや、見えすぎるくらいなのだが。
……って、何も見えない、見えないわ!
ユズリハは、ぶんぶんと首を振った。
「そ、それより、ゼフィー……また来てるけど大丈夫なの?」
ベッドの上に突っ伏しながら視線を上げると、魔物達の目を盗んで、今度はひょっこりとテラスから現れた彼は笑んで答えた。
「もし魔王に殺されそうになりましたら、また愛のおすそ分けをお願いします」
ゼフィランサスの軽口に、ユズリハの目がすいっと細くなる。そして彼が笑みを崩さないのを見て溜息を落とし、独り言のように呟いた。
「まぁ……あの魔王は殺すなんてしないでしょうけど」
何だかんだ、悪い奴ではないのだ。そこがまた憎いというか、胸の奥がもやもやするというか、妙に落ちつかない気分にさせる。
「もう、いらいらするわね……」
魔王から贈られた紅玉の首飾りを指先で弄びながら、ぶつぶつと呟く。
こんな風に心をかき乱した、その責任をとってもらわないと何だか気が済まない。そんな気がしてきた。
自分でも良く分からない感情に流されながら、ユズリハは策を練り始めた。
魔王の朝餉に招かれたユズリハは、朝陽の入る広々とした食事の間へと案内された。広大な部屋の中央には、清楚な白いクロスの掛けられた縦長のテーブルがある。魔王がユズリハの為にと付けてくれた侍女の一人が椅子を引いてくれ、ユズリハは腰を下ろした。
魔王は既に席についていた。向かいに座ったユズリハを、悦に入ったように見ている。
「な、何よ……?」
「見惚れておった」
「――」
手近にあるフォークを投げ付けたい衝動に駆られたが、ぐっと我慢する。
「そ、そう」
と、視線を逸らして素っ気なく返した。
しかし、魔王はユズリハの頬が僅かに赤く染まっていることを見逃さなかった。追い打ちをかけるかのように、ユズリハの麗姿を褒めそやす。
「剣を携えたあの凛とした勇姿も良かったが、そのドレスも似合っておるぞ」
ユズリハは、魔王に戦いを挑んだ時の殺伐とした旅装ではなく、レース飾りやフリルがふんだんに使われている純白のドレスに身を包んでいた。
金色の髪はおろし、紫水晶青玉を散りばめた繊細な細工のティアラをさしている。身の回りの世話をする為に遣わされたという数名の侍女達が、衣装棚からドレスやその他装飾品を姫の意見を聞きながら選び、身支度を整えてくれたのだ。
自ら仕立てさせたドレスや宝飾品が愛する姫をより一層美しく見せていることに、魔王は喜んでいるようだった。食事をする間にも、思い付いては賛辞を送り、実に満足げだ。
初めは頑なだったユズリハも、そんな風にあけすけに嬉しそうにされると、ほんの少しだが、そんな無邪気な魔王を……ちょっと可愛いかも、などと思ってしまう。
――って、何考えてるのよ、私は。
ちらりと、あくまで気付かれないようにと魔王を窺い見る。
自信に満ちた深紅の瞳、僅かに口の端を引き上げ、威厳を備えた口元。魔王たらしめる尊大で横柄な態度、そして昨日、目の当たりにしたあの問答無用の強さ。……可愛さの欠片もない。可愛いだなんて、一体、どうしてそんな感想を抱いてしまったのか。
自己嫌悪のように悩んでいると、最初からユズリハの視線に気付いていた魔王は、隠しきれずにくつくつと笑い声を上げ始めた。
「良いものだな、そなたに見つめられるのは」
「っ、料理に見惚れてるのよ」
止まっていた手を動かし、慌ててスープを口に運ぶ。勿論、動揺を悟られないよう、あくまで優雅に。じゃじゃ馬姫の異名を持つ彼女だが、流石に宮廷作法は一通り心得ている。
誤魔化す為にするりと出てしまった言葉だったが、一国の姫でさえも見惚れてしまう程、本当に豪華なものだった。
果物がきれいに盛られたクリスタルの器が中央に置かれ、目の前には、美味しそうに湯気を立てているスープ、上等な肉を使ったステーキ、見たこともない魚のエスカベージュ、肉と野菜を彩りよく炒めたソテー、そして果肉の入った赤く透き通ったゼリー等、見た目も味もどれも一級品だ。
魔王は、赤い葡萄酒の注がれたグラスを傾けながら訊いてきた。
「どうだ、味は?」
「……美味しいわ」
何だか意地を張るのにも疲れてきて、気が付けば素直な感想を述べていた。
ユズリハのグラスには、酒精のない甘い香りの果実水が注がれている。
――酔わせてどうこう、という気もないみたいね。
本当に調子を狂わせる男だ、と内心で思う。少しでも手篭めにしてやろうという素振りを見せてくれれば、いっそ抵抗出来るのに。
そんなことを考えながら果実水を口に含み、そういえば、と顔を上げた。
「ゼフィーは?」
朝からまだ一度も顔を見ていない。
「何だ、気付いておらんのか。そなたが参るより先に、とうに来ておるぞ?」
え、来てる? 何処に……
ユズリハは広い部屋を見渡し、そして見つけた――。
「ゼ、ゼフィー!?」
宮廷作法そっちのけで、思わず叫んでしまった。
テーブルから離れた部屋の片隅に、彼は座っていた。床の上に、直に。
磨き上げられた床の上には、正方形の無地の布が敷かれ、その上にパンと思しきものを一つ乗せた皿とコップが置かれている。
「あ、姫様。おはようございます」
彼の落ちついた声が静かな広間に響く。
「ええ、おはよう……って、ちょっとっ!」
ユズリハは、魔王に向かって声を荒げた。
「何なのアレは!?」
「ん、何を怒っておるのだ。気は進まなかったが、あの男も我らの朝餉に相伴させてやったのだぞ?」
相伴、アレが!?
「どう見ても、一人でピクニックしてるようにしか見えないわよ!?」
ユズリハが抗議すると、魔王は側近たちに命じ、ゼフィランサスの席を魔王と姫の座るテーブルに近付けさせた。長テーブルの隣で、ゼフィランサスがちょこんと床に腰を下ろし、ささやか過ぎる朝食を前にしている……。
「これでどうだ?」
「私が言いたいのは、この差よ!」
ユズリハはテーブルの上の豪華な食事を指差してから、ゼフィランサスの質素極まりない朝食をびしっと指差した。細身で小柄なユズリハなら耐えられるかもしれないが、大の男にパン一つなんて。殺す気だろうか。
「ああ、つまりこれが――」
「我が愛!?」
「おお、漸く気付いてくれたか」
にこにこと嬉しそうに言う魔王に、ユズリハは少し躊躇ってから言った。
「ねぇ、一つお願いしていい?」
「ん、何だ? 望みがあるならば、言ってみよ」
ユズリハは、すっと深く息を吸ってから、ご機嫌な魔王に向かって告げた。
「私への愛を、少しゼフィーに分けてあげてちょうだい――」
……
「何なのよ、もう……」
朝のことを思い出しながら、ユズリハはベッドの上に転がった。
その様子を見て、ゼフィランサスが少し面白そうに言う。
「愛されてますね、姫」
「愛……」
今まで、愛は目に見えなくて、漠然としていて。
なのに、魔王の愛は目に見えるようだ。いや、見えすぎるくらいなのだが。
……って、何も見えない、見えないわ!
ユズリハは、ぶんぶんと首を振った。
「そ、それより、ゼフィー……また来てるけど大丈夫なの?」
ベッドの上に突っ伏しながら視線を上げると、魔物達の目を盗んで、今度はひょっこりとテラスから現れた彼は笑んで答えた。
「もし魔王に殺されそうになりましたら、また愛のおすそ分けをお願いします」
ゼフィランサスの軽口に、ユズリハの目がすいっと細くなる。そして彼が笑みを崩さないのを見て溜息を落とし、独り言のように呟いた。
「まぁ……あの魔王は殺すなんてしないでしょうけど」
何だかんだ、悪い奴ではないのだ。そこがまた憎いというか、胸の奥がもやもやするというか、妙に落ちつかない気分にさせる。
「もう、いらいらするわね……」
魔王から贈られた紅玉の首飾りを指先で弄びながら、ぶつぶつと呟く。
こんな風に心をかき乱した、その責任をとってもらわないと何だか気が済まない。そんな気がしてきた。
自分でも良く分からない感情に流されながら、ユズリハは策を練り始めた。
0
あなたにおすすめの小説
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
言葉の色が見える私には、追放された冷徹魔術師様の溺愛がダダ漏れです~黒い暴言の裏に隠された、金色の真実と甘い本音~
黒崎隼人
恋愛
王立図書館の辺境分館で働く司書のリリアナには、言葉に込められた感情が「色」として見える秘密の力があった。
ある日、彼女の前に現れたのは、かつて「王国の至宝」と呼ばれながらも、たった一度の失言で全てを失い追放された元宮廷魔術師、アレン・クロフォード。
冷徹で皮肉屋、口を開けば棘だらけの言葉ばかりのアレン。しかし、リリアナの目には見えていた。その黒い暴言の奥底で、誰よりも国を思い、そしてリリアナを気遣う、美しく輝く「金色」の本音が。
「邪魔だ」は「そばにいろ」、「帰れ」は「送っていく」。
素直になれない不器用な魔術師と、その本音が全部見えてしまう司書の、じれったくて甘い、真実の愛を取り戻す物語。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる