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しばらく経つと、痛みが引いた。
僕はラズールの胸を押して立ち上がる。
「もう大丈夫…部屋に戻るよ。ラズールも休んで」
「本当に大丈夫ですか?」
「うん。明日はリアムにこの辺りを案内してもらう予定なんだ。ラズール知ってた?近くにノアの家があるんだって」
「ああ、あの少年ですか。彼はとてもいい子ですね」
「そうなんだ。この国で唯一の僕の友達だよ。明日はノアに会いに行きたいな」
「俺も、ついて行きますよ」
僕に続いて立ち上がり、階段の下から見上げてくるラズールに向かって、僕は笑う。
「言うと思った。好きにしなよ」
「そうします。なにか?」
僕につられたのか、心配そうにしていたラズールの表情が柔らかくなる。
「おまえを見下ろすなんて新鮮。僕は遂にはおまえの背を越えられなかったから。じゃあもう戻るよ。おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
ラズールが僕の手を取りキスをする。
小さい頃から眠る前に、必ずしていた行為。姉上が元気になって城を出されてからは、ラズールと離れていたために懐かしく感じる。
あと何回、こんな風にラズールは僕の手を取るのだろうか。
ラズールの手が離れると、僕は階段を登り家の中に入った。
息を殺して部屋に入り、リアムの隣にもぐる。
静かにゆっくりと息を吐き出して目を閉じようとしたその時、「どこに行ってた?」と耳元で低く囁く声がした。
僕は驚き横を向く。
リアムの紫の瞳が、窓から入る月明かりに反射して、まるで宝石のようだ。
僕はリアムに抱きつき、鼻をつけて大好きな匂いを嗅いだ。
「ごめんね、起こしちゃった?眠れなかったから、外に出てた」
「そうか。俺を起こしてくれればよかったのに」
「リアム、気持ちよさそうに寝てたよ。だから起こせなかった」
「ダメだな。フィーが傍にいると安心して深く眠ってしまう。もっと気をつけなければ」
「なんでよ。安心して眠ってよ。僕はリアムが安らげる場所を作ってあげたい」
「うん、頼む。この先ずっと俺を癒してくれ…」
リアムが僕を抱き寄せ、髪に唇を押し当てて喋る。震えて聞こえるのは、声がくぐもっているからか。
僕は返事をする代わりに、顔を上げてリアムの薄く形の整った唇にキスをした。
「ねぇリアム、明日は家の周りを案内してくれるんでしょ?僕、ノアの家にも行きたい」
「ああ。ノアには俺達がここに住むことを話してないからな。おまえを見たら驚くんじゃないか?」
「ふふっ、そうかも。楽しみ」
「ほら、まだ朝まで遠い。今度は眠れそうか?」
「うん。リアム、ずっとこうしてて」
「もちろんだ。フィー、愛してるよ」
「うん、僕も愛してる…」
リアムが規則正しく、僕の背中を優しく叩く。
リアムの温もりと匂いに包まれて、全身の痛みが少し和らいだ気がする。なんとか眠れそうだと目を閉じて、次に目を開けると窓の外が明るくなっていた。
僕はラズールの胸を押して立ち上がる。
「もう大丈夫…部屋に戻るよ。ラズールも休んで」
「本当に大丈夫ですか?」
「うん。明日はリアムにこの辺りを案内してもらう予定なんだ。ラズール知ってた?近くにノアの家があるんだって」
「ああ、あの少年ですか。彼はとてもいい子ですね」
「そうなんだ。この国で唯一の僕の友達だよ。明日はノアに会いに行きたいな」
「俺も、ついて行きますよ」
僕に続いて立ち上がり、階段の下から見上げてくるラズールに向かって、僕は笑う。
「言うと思った。好きにしなよ」
「そうします。なにか?」
僕につられたのか、心配そうにしていたラズールの表情が柔らかくなる。
「おまえを見下ろすなんて新鮮。僕は遂にはおまえの背を越えられなかったから。じゃあもう戻るよ。おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
ラズールが僕の手を取りキスをする。
小さい頃から眠る前に、必ずしていた行為。姉上が元気になって城を出されてからは、ラズールと離れていたために懐かしく感じる。
あと何回、こんな風にラズールは僕の手を取るのだろうか。
ラズールの手が離れると、僕は階段を登り家の中に入った。
息を殺して部屋に入り、リアムの隣にもぐる。
静かにゆっくりと息を吐き出して目を閉じようとしたその時、「どこに行ってた?」と耳元で低く囁く声がした。
僕は驚き横を向く。
リアムの紫の瞳が、窓から入る月明かりに反射して、まるで宝石のようだ。
僕はリアムに抱きつき、鼻をつけて大好きな匂いを嗅いだ。
「ごめんね、起こしちゃった?眠れなかったから、外に出てた」
「そうか。俺を起こしてくれればよかったのに」
「リアム、気持ちよさそうに寝てたよ。だから起こせなかった」
「ダメだな。フィーが傍にいると安心して深く眠ってしまう。もっと気をつけなければ」
「なんでよ。安心して眠ってよ。僕はリアムが安らげる場所を作ってあげたい」
「うん、頼む。この先ずっと俺を癒してくれ…」
リアムが僕を抱き寄せ、髪に唇を押し当てて喋る。震えて聞こえるのは、声がくぐもっているからか。
僕は返事をする代わりに、顔を上げてリアムの薄く形の整った唇にキスをした。
「ねぇリアム、明日は家の周りを案内してくれるんでしょ?僕、ノアの家にも行きたい」
「ああ。ノアには俺達がここに住むことを話してないからな。おまえを見たら驚くんじゃないか?」
「ふふっ、そうかも。楽しみ」
「ほら、まだ朝まで遠い。今度は眠れそうか?」
「うん。リアム、ずっとこうしてて」
「もちろんだ。フィー、愛してるよ」
「うん、僕も愛してる…」
リアムが規則正しく、僕の背中を優しく叩く。
リアムの温もりと匂いに包まれて、全身の痛みが少し和らいだ気がする。なんとか眠れそうだと目を閉じて、次に目を開けると窓の外が明るくなっていた。
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