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第三章 能力の覚醒
始動シドウチク
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「話は聞かせてもらってたぜ、オッサン」
神アンナプルナがプーアとの電話を終了した瞬間、後ろからゴンザが声をかける。
「あー、ゴンザくん、ひっさしぶりー! 聞いてたってことはアレかな、君も組織抜けちゃう系ー?」
「そうしたいのは山々だけどよ、俺はそんなバカなやり方はしねえ。時期が来たら内部からオッサンごとブッ壊してやるよ」
相変わらず部下からの信頼がないな、そう思ったアンナプルナは大げさに落ち込んだリアクションをやってみせる。
「もーう、ひっどいなーみんな。まあいいけどさー。あ、そうだ。しばらくはプーアちゃんに関する一切の活動を禁じる! なめくさったガキどもが調子に乗り始めちゃってさー? せっかくだから1番心に堪えるやり方で潰したくってー」
「相変わらず性根が腐ってるな。でも本当にいいのか? その油断で足元すくわれるなよ」
そう言い残して、ゴンザはアンナプルナの元から離れていった。
「そんなこと、ある訳ないだろうになー。ゴンザくんも要らない心配をするようになっちゃってー。……ねえ、君の『予言』に間違いはないんだろう? 邪神ノエルちゃん」
「そうね。邪神プーアが私たちに勝てる確率は、ない。どう足掻こうが、あの小娘は死ぬ運命にあるわ」
ノエルと呼ばれた高貴そうな服装と顔立ちをしている女性は、髪をたなびかせながら告げた。どこかプーアに似ているようなところがあるので、アンナプルナは彼女のことを気に入っていた。
「ジロジロ見ないでくれる? 実際みんなが言うとおり、アンタほど気持ち悪い男はいないわ」
ノエルは軽蔑の目をアンナプルナに向けた。
「いやあ。君を見ているとプーアちゃんを思い出してさあ」
「全然似てないわ。似てるとしたら口調くらいじゃないの?」
気怠そうにノエルは答える。
「んー、そんな風に見下す感じとかー、強気に見せる感じとかー、その他もろもろー?」
アンナプルナの発言にノエルはムッとした。そうだ、こういう反応がたまらなく好きなのだ。ついでに言うと、こういう女を屈服させるのは最も興奮する。アンナプルナは気味悪い笑みを浮かべる。それを見てノエルはため息をついた。
「いずれ分かる。全然違うってこと。……それより、本当にいいのかしら。予言通り、プーアちゃんって子のあのスキルが覚醒したら、アナタの立場は危うくなるわよ」
「そうだねえ。僕と全く同じスキルの持ち主が出てくるなんて、考えられないよねえ。いやはや、困ったもんだー」
そうは言うものの、アンナプルナの様子からは余裕が十二分に感じ取ることができる。彼は最後に付け加えた。
「だからこそ、捻り潰しがいがあるってもんさ」
「僕にはまだ信じられないよ。あのプーアちゃんが、まさか復讐の為に立ち上がるなんて」
「レンガイの兄ちゃんはそう思うのか? オイラは睨んでいたぜ、もともとそういう性格だって」
レンガイとヒュウガが、熱気で鉄板のような熱さになっているアスファルトの上を歩く。これまでにたくさんのことがあり過ぎて、ココが地球で、日本であることをレンガイは忘れていた。
「プーアちゃん、あれは強く見せているだけなんだ。本当は、筋金入りの弱虫で泣き虫で」
「ふーん。兄ちゃんってアイツのこと好きなのか?」
ヒュウガの突然の問いにも驚かず、レンガイは言う。
「当たり前だろう! 僕とプーアちゃんは、小さな頃からの婚約者同士! アンナプルナとかいうヤツには、プーアちゃんに指一本触れさせない!」
レンガイは高々と宣言してみせた。兄ちゃんすげー、と言いながら、コンビニで買った冷たい炭酸飲料をヒュウガはゴクゴクと飲む。
「オイラも……そりゃ、人質としてとられているお母ちゃんとお父ちゃんを助けたいって気持ちもあるけど、それ以上に、オイラはお姉ちゃんを守りてえ」
「あはは。愛する人の為に、お互い頑張らなくてはいけないね」
「いや、オイラは別にお姉ちゃんのこと……そりゃ好きだけど、レンガイの兄ちゃんとはベクトルが違うっつーか。ラブとライクみたいな」
ヒュウガは顔を赤くしながらボソボソと呟く。それを見ていたレンガイが笑っていたので、ヒュウガは思い切り腹をド突く。もっとも、威力がプーアと同等なので、あまり痛くはなさそうだ。
そんなことを話しているうち、2人は黒塗りのオンボロ隠れ家に着いた。家の中の窓から、プーアが手招きしているのが見える。早く来い、という様子だったので、2人は駆け足で中に入った。
「さて」
4人が正方形のテーブルを囲むようにして座る。全員が静まったのを確認した後、プーアは叫んだ。
「これより、第1回対エノキダケ軍『シドウチク』会議を始める!」
「『シドウチク』ってなんだよ……オイラ聞いたことねえぞ」
「……タケノコの、種類。恐らく、エノキダケ、に対抗、して」
ヒナノはヒュウガに教えるように言った。
「つまり、きのこたけのこ戦争ってことかよ? それはツッコんじゃいけない領域だと思うぜ」
「別にいい。とにかく、この『シドウチク』の目的はただ一つ。エノキダケの壊滅と、神アンナプルナへの復讐よ。……その為には、あることをまずはやらなければならない。ここから、参謀役のヒナノさん、どうぞ」
なぜか超ノリノリのプーアに対し、ヒナノは無表情を貫き、クールに話し始める。
「……まず、今のままの、私たちでは、絶対に、エノキダケには、敵わない。なぜか、と言うと、私たちは、スキルが、弱すぎる。戦闘に、役立たないもの、弱体化されたもの、そもそも、スキルが、ないものも、いる」
「そういう意味で考えると、五感を惑わせるっていうヒナノさんの『ハッカー』スキルは今の僕らの中では最強スキルだね」
レンガイは感心したように言ったが、ヒナノは褒められてもどうでもいい、という姿勢を貫いた。
「……だから、私たちは、新たなスキルを、開発する。つまり、後天的スキルを、全員が、覚醒する、ようにする」
「そういうこと。情報通のヒナノさんによると、後天的スキルを使う為のある条件って言うのは、『何かとても強い動機がある』ことらしいの」
ヒナノの説明に、プーアが付け加えた。
「強い動機? うーん。なんだかよくわかんねえ、オイラ」
神アンナプルナがプーアとの電話を終了した瞬間、後ろからゴンザが声をかける。
「あー、ゴンザくん、ひっさしぶりー! 聞いてたってことはアレかな、君も組織抜けちゃう系ー?」
「そうしたいのは山々だけどよ、俺はそんなバカなやり方はしねえ。時期が来たら内部からオッサンごとブッ壊してやるよ」
相変わらず部下からの信頼がないな、そう思ったアンナプルナは大げさに落ち込んだリアクションをやってみせる。
「もーう、ひっどいなーみんな。まあいいけどさー。あ、そうだ。しばらくはプーアちゃんに関する一切の活動を禁じる! なめくさったガキどもが調子に乗り始めちゃってさー? せっかくだから1番心に堪えるやり方で潰したくってー」
「相変わらず性根が腐ってるな。でも本当にいいのか? その油断で足元すくわれるなよ」
そう言い残して、ゴンザはアンナプルナの元から離れていった。
「そんなこと、ある訳ないだろうになー。ゴンザくんも要らない心配をするようになっちゃってー。……ねえ、君の『予言』に間違いはないんだろう? 邪神ノエルちゃん」
「そうね。邪神プーアが私たちに勝てる確率は、ない。どう足掻こうが、あの小娘は死ぬ運命にあるわ」
ノエルと呼ばれた高貴そうな服装と顔立ちをしている女性は、髪をたなびかせながら告げた。どこかプーアに似ているようなところがあるので、アンナプルナは彼女のことを気に入っていた。
「ジロジロ見ないでくれる? 実際みんなが言うとおり、アンタほど気持ち悪い男はいないわ」
ノエルは軽蔑の目をアンナプルナに向けた。
「いやあ。君を見ているとプーアちゃんを思い出してさあ」
「全然似てないわ。似てるとしたら口調くらいじゃないの?」
気怠そうにノエルは答える。
「んー、そんな風に見下す感じとかー、強気に見せる感じとかー、その他もろもろー?」
アンナプルナの発言にノエルはムッとした。そうだ、こういう反応がたまらなく好きなのだ。ついでに言うと、こういう女を屈服させるのは最も興奮する。アンナプルナは気味悪い笑みを浮かべる。それを見てノエルはため息をついた。
「いずれ分かる。全然違うってこと。……それより、本当にいいのかしら。予言通り、プーアちゃんって子のあのスキルが覚醒したら、アナタの立場は危うくなるわよ」
「そうだねえ。僕と全く同じスキルの持ち主が出てくるなんて、考えられないよねえ。いやはや、困ったもんだー」
そうは言うものの、アンナプルナの様子からは余裕が十二分に感じ取ることができる。彼は最後に付け加えた。
「だからこそ、捻り潰しがいがあるってもんさ」
「僕にはまだ信じられないよ。あのプーアちゃんが、まさか復讐の為に立ち上がるなんて」
「レンガイの兄ちゃんはそう思うのか? オイラは睨んでいたぜ、もともとそういう性格だって」
レンガイとヒュウガが、熱気で鉄板のような熱さになっているアスファルトの上を歩く。これまでにたくさんのことがあり過ぎて、ココが地球で、日本であることをレンガイは忘れていた。
「プーアちゃん、あれは強く見せているだけなんだ。本当は、筋金入りの弱虫で泣き虫で」
「ふーん。兄ちゃんってアイツのこと好きなのか?」
ヒュウガの突然の問いにも驚かず、レンガイは言う。
「当たり前だろう! 僕とプーアちゃんは、小さな頃からの婚約者同士! アンナプルナとかいうヤツには、プーアちゃんに指一本触れさせない!」
レンガイは高々と宣言してみせた。兄ちゃんすげー、と言いながら、コンビニで買った冷たい炭酸飲料をヒュウガはゴクゴクと飲む。
「オイラも……そりゃ、人質としてとられているお母ちゃんとお父ちゃんを助けたいって気持ちもあるけど、それ以上に、オイラはお姉ちゃんを守りてえ」
「あはは。愛する人の為に、お互い頑張らなくてはいけないね」
「いや、オイラは別にお姉ちゃんのこと……そりゃ好きだけど、レンガイの兄ちゃんとはベクトルが違うっつーか。ラブとライクみたいな」
ヒュウガは顔を赤くしながらボソボソと呟く。それを見ていたレンガイが笑っていたので、ヒュウガは思い切り腹をド突く。もっとも、威力がプーアと同等なので、あまり痛くはなさそうだ。
そんなことを話しているうち、2人は黒塗りのオンボロ隠れ家に着いた。家の中の窓から、プーアが手招きしているのが見える。早く来い、という様子だったので、2人は駆け足で中に入った。
「さて」
4人が正方形のテーブルを囲むようにして座る。全員が静まったのを確認した後、プーアは叫んだ。
「これより、第1回対エノキダケ軍『シドウチク』会議を始める!」
「『シドウチク』ってなんだよ……オイラ聞いたことねえぞ」
「……タケノコの、種類。恐らく、エノキダケ、に対抗、して」
ヒナノはヒュウガに教えるように言った。
「つまり、きのこたけのこ戦争ってことかよ? それはツッコんじゃいけない領域だと思うぜ」
「別にいい。とにかく、この『シドウチク』の目的はただ一つ。エノキダケの壊滅と、神アンナプルナへの復讐よ。……その為には、あることをまずはやらなければならない。ここから、参謀役のヒナノさん、どうぞ」
なぜか超ノリノリのプーアに対し、ヒナノは無表情を貫き、クールに話し始める。
「……まず、今のままの、私たちでは、絶対に、エノキダケには、敵わない。なぜか、と言うと、私たちは、スキルが、弱すぎる。戦闘に、役立たないもの、弱体化されたもの、そもそも、スキルが、ないものも、いる」
「そういう意味で考えると、五感を惑わせるっていうヒナノさんの『ハッカー』スキルは今の僕らの中では最強スキルだね」
レンガイは感心したように言ったが、ヒナノは褒められてもどうでもいい、という姿勢を貫いた。
「……だから、私たちは、新たなスキルを、開発する。つまり、後天的スキルを、全員が、覚醒する、ようにする」
「そういうこと。情報通のヒナノさんによると、後天的スキルを使う為のある条件って言うのは、『何かとても強い動機がある』ことらしいの」
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