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本編
17】魔王の思惑(後)
しおりを挟むクンティンがものすごく酔っ払ってやがる。
魔王の前では辛うじて呂律が少し変な範囲で抑えてたようだ。
部屋に着くなり服をポイポイ脱いで、下着でベッドに潜り込んで、ペンペンと横を叩いている。上掛けを持ち上げて…。おぬし何をしておる?
「ぼーっとしゅるな。お前は、温かいから一緒に寝りゅのだぁ~」
湯たんぽ代わりか…。
ベッドは二人寝ても大丈夫な大きさだがな。一度俺のベッドで一緒に寝てたな…。
俺も服を脱いで、横に潜り込む。すぐに乗っかってくるように抱きついてきた。
「温ったけ~」
即効眠った。
剣は手の届くところに置いた。
俺も疲れた。
溢れてる魔力をクンティンに流しながら眠った。
翌朝のクンティンは元気にお目覚めになった。俺はクンティンの馬乗りで目覚めた。
「なんでお前ここにいるの?」
頬へのぺちぺちとした軽い衝撃に起こされての第一声がこれだった。
酒の席には俺の同席は必須だと思った。よくもまぁ、今まで無事で…。あー、俺と似た事は経験済みだったりするかもな…。俺も積極的に話さないが、お前もか?
ずんぐり魔獣に跨って結界の中を移動して調査する。
何故か魔王が同行してる。
この魔獣は『馬』と言われてるらしい。
二人は並んで楽しそうだ。
「その板は便利そうだ」
「要ります? どうぞ」
元々フィールドワークの人のクンティンだ。持ってる道具はそれに特化した物だったりする。
バインダーを魔王に渡してる。
お前のポーチはどんだけ入ってるんだ。
本が無くなったから容量に空きが出来たのか?
魔王は、瘴気の濃度分布と土地の状況を視察するのが目的らしい。
クンティンは、結界の状況と障壁に使った杭を確認に回る予定だ。
魔王の視察内容も自分の研究対象の調査で、必要な情報という事もあり、自然と一緒に行動する流れになった。
近い…。馬を並べて、意見交換などしてる。
確実に親しくなってる。
どうしたものか。
俺は付き添いのような感じで、何も出来ない。クンティンの助手というよりパシリ状態だ。
「クンティン、さっさと調べないと日が暮れる」
俺はなんとか二人を引き剥がしたくて声をかけたが、鬱陶しそうな声が返るだけだった。
調査は効率よくされてるのは分かってるから、これ以上は何も言えない。
俺はクンティンの指示で、瘴気を採取したり、雑草の葉や木の実をとっては採取場所を地図に書き込んでいく。
この作業に数日を要した。
その中、娼館に寄る事があった。兄貴がいた。マジに男娼をしてる。ここの用心棒も兼任してるとか立ち話で話してくれた。人間でいた頃より柔和に笑う。気の優しい人だったから、傭兵は無理をしてたのかもしれない。
魔王にフィンさんを押し付けられたりしたが、兄貴との話が楽しかったので、席を外してもらった。いつか飲みに行こうと別れた。
話してる間もクンティンの気配には気を付けていた。
クンティンは、娼館の魔人たちに何か聞き取りをしていた。
外の調査は終わり、机仕事が増えて来た。
俺はクンティンの指示を終わらせると、本を読んで過ごした。なるべく一緒の部屋にいる事にしている。
暗い焦げ茶色の鳥が窓辺にやって来た。クンティンが手を伸ばせば、ちょんと乗って来る。
彼の手の中で変化して納得した。
クンティンは、手の中の紙を読んでる。
たぶんアレは、ダロンからだろう。瞳の色が鳥の色に反映されるようだ。
読み終わるとポーチにしまった。
「凱旋したようだよ。首が腐るって脅したら、即謁見になったらしい。笑えるよね。もう腐ってるのにぃ~。うひゃひゃッ。
森に魔獣が残ってるかは、これからおいおい調査してくれるようだ。ダロンが森側の干渉地の獲得に成功。アリスンの方も上手く行きそうだと。師匠とも合流できたみたいだよ…」
手帳に何か書きながら、俺に手紙の内容を聞かせてくれた。変な笑い声を聞いた気がするが、気にしない。流した。時々黒いクンティンが出てくるが、関わらないのが正しい。
そうか…。無事森を抜けて帰りついたか。上手くいって良かった。随分急いでくれたようだが、あの深い森を夜も歩いたのか。帰りついたのだから良かったが、無理を押したようだ。
しかし、内容から考えて、なんだか違和感が…。
考えるのは後回しにする。
今は、気を張っている。魔王がくる。クンティンが楽しそうにお茶を準備したりしてる。長居されても困るんだが…。鼻歌でも始まりそうな浮かれようだ。
確かに、学問的な話を聞いてくれるだけでなく、意見交換が出来てるようなので楽しいのだろう…。久々の知の交流だものな。嬉しいのだろう…。
困った…。
==============
次回、魔王のターンッ!
無自覚クンティンどうする?
てな感じでしょうか。
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