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《11》ハロウィンでの出会いに乾杯。
しおりを挟むあれは幻?
唇に手がいってしまう。
巡回も終わり、あとは報告書と引き継ぎ。
今年も事故もなく終わって良かった。
「顔が赤いな。熱でもあるんじゃないか?」
今日の相棒がじっと見てくる。
あー、ちょーっとエロい彼のあれこれ思い出してたんで…。
「大丈夫。さっさと書いちまおう」
バツが悪く、早口で机に向かう。
「こっちでしておくから帰れ。今度飲みに行こうや」
用紙を取られた。
ーーーこれは、帰った方がいい流れか。押し問答は面倒だ。
「分かった。ーーーお疲れぇ」
『お疲れ様』
唐突に思い出す。ププっと笑いが込み上げる。なんだかおかしくなってきた。
『ご馳走様』もだったが、どうも変な言葉を使う。面白いがどこで仕入れたか訊いてみたい。
近くにいるんだな…。
「来ちゃった」
もの凄く近かった。
部屋に帰ると、ベッドで優雅に脚を組んで座る彼がいた。
戸惑った顔。
彼の手を握った。
もう逃さない。
「ワインがあるんだ。今度はちゃんと飲めるヤツだと思う」
手を引くと、大人しくついてくる。
椅子を引いて座らせる。
座ったのを確認して手を離した。
ワインの準備をする俺を黙って見ている。
スッとワイングラスを差し出す。
黙って、手が出てきた。掴んだが、前回のように捧げる事も持ちさえもしない。
グラスの脚に綺麗な指を添えて、躊躇してる。
「今度はちゃんとしたのだよ」
「そうじゃなくて…」
「そうじゃなくて?」
「あれから、ここの事というか、お前の事が…「俺、お前に恋をしてるらしい」
なんだかそれ以上喋らすと、また『お疲れ様』と言って何処かに、二度と戻らない何処かに行ってしまいそうで、遮るように言葉を被せた。
「恋?」
「同僚に言われて、考えて……俺はお前が好きだと思った。この部屋綺麗になっただろ?」
彼がぐるっと見回してる。
気恥ずかしい。服やゴミが散乱してないだけで、埃ひとつないという訳ではない。
「本当だ。ソファに物が無いね」
笑った。
可愛らしいあの表情。
サイズは変わっても、彼は彼だ。
「肉欲ありきの好きじゃない。これはずっと考えてたから、大丈夫だ。それを踏まえて、付き合って欲しい」
おー、俺、告白しちゃってますよ。
「付き合って……。オレ、吸血鬼なんですが? お前ら人間とは違う生き物よ?」
え?
なんで呆れ顔?
俺、なんか間違えてる???
「国際結婚とか今当たり前じゃん。別に関係なくない?」
腹が立ってきた。俺の誠意を!
「結婚? 人間は分からん…」
呆れてる。何故呆れる? 正直に思った事を言ってるのに。お前はどうなんだよッ。
「お前はどうなんだよッ。俺の事どう思ってんだッ」
早口で捲し立ててた。
綺麗な男が嫌味な優男に見えてくる。
「オ、オレ?」
戸惑いやがった。
「そうだよッ。どうなんだよッ」
「オレは、」
「オレはッ?」
追い詰めてやる。
「えーと「どうなの?」
追い詰めて、本音を吐かせてやる。
お前はどうしてココに来た。
「好き、かな?」
「はぁ? かな?」
はっきりしねぇなッ。
「あ、いや、「はっきりしてくれるか?」
「はっきり…「この際だから。ほら、ほらぁ!」
急き立てた。ほらッ!
「好きですッ」
言わせた。
「俺も」
ニッと笑った。
ぽかんとしてやがる。
「人種がとか、種族とか関係ないね。俺はお前が好きだ」
俺は法を守る正義の味方だけど、嘘が嫌いなお巡りさんでもあるのです。
正直に生きたい人間なんだよ。
「あ、えーと、よろしくお願いします」
ワイングラスが持ち上がった。
俺も手にする。胸の高さあたりで掲げた。
目を合わせて、微笑み合う。
「君との出会いに」
「出会わせてくれたハロウィンに」
「「乾杯」」
ワインが美味い…と思う。
========
今回でタイトル的にはおしまいです。でもここ直後のお話もあるの。。。そこが終わりか?
よく分からないので、【終】は付けない事にしたです( ̄▽ ̄;)
二人の話はこの後も続くので、よろしくです。
だって、両想いだって分かってるけど、ちょっと疑問だったりするかな?だからさw
で、続いちゃうの!ごめんね( ̄▽ ̄;)
応援ありがとうございます!
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