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episode.25
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シルヴィの言葉にパウルは当然、アルベールまでもが声を上げた。
「黙っていて申し訳ありません!!でも、家族の事を考えると中々言えずに……!!それでも、私は自分の気持ちに嘘はつけません!!」
口を開けたままの二人をよそにシルヴィは渾身の演技を披露した。
それは、邸の為に自分の気持ちを隠して見合いする可憐な少女を彷彿とさせている……のか?
「……ふ~ん。なるほどね」
最初に口を開いたのはパウルだった。
その顔は先ほどまでの柔らかな表情とは一変していた。
「けどなあ、僕は商人や。一度決めたもんは『はいそうですか』って簡単には手放せんのよ」
獲物を捕らえるような視線を向けられ、足がすくむ。
「それに、僕は嘘が嫌いなんよ。いくら家の為でもここに来た以上はその気があるんとちゃうの?」
「そ、それは……」
パウルの言葉に口ごもるシルヴィ。だが、パウルは更に続けた。
「つうか、おたく、ほんまにシルヴィと付き合っとるん?僕の見た限り、上司と部下。それ以上でもそれ以下でもないよう思うんよね」
ギクッとシルヴィの肩が震えた。
流石は一流の商人だけある。人の表情を読むのがうまい。
パウルはシルヴィの表情を見て、勝ち誇ったように微笑んでいる。
やはり下手な芝居はこの人には通用しないのか……そう半ば諦め肩を落としていたが、その肩をギュッと抱き寄せられた。
「残念だが付き合っているというのは本当の事だ。近いうちにご両親にあいさつに行こうと思っていた矢先に見合いの話が舞い込んできてな。断る暇もなかったと言うのが本当の所だ」
「は?」
まさかシルヴィの三文芝居にアルベールが付き合ってくれるとは思いもせず、目を白黒させていた。
「ほお?そんな嘘が僕に通用すると思うとんの?」
「どう思われようが構わないが、シルヴィを渡す気はない」
(!?!????!?!!!!!)
初めてフルネームじゃなく名前を呼ばれたシルヴィは感極まり泣きそうだ。
(名前の威力……!!)
涙目になりながら見上げると真剣な表情でパウルに立ち向かうアルベールの姿。
(こ、これは、堪らんです……!!)
この時点でシルヴィの思考はキャパオーバー。
「どうした?」
ここでアルベールの笑顔は反則。
とどめの一撃をくらいシルヴィは顔を真っ赤に染め、鼻から血を流しながら気を失ってしまった。
「シルヴィ!?」
「……ああ、いつもの事だ。私は医者だからな。心配は無用」
鼻血を噴き出しながら倒れれば誰もが驚くだろうがアルベールは違う。
手慣れたように鼻にガーゼを詰めると、気を失ったシルヴィを抱き上げた。
「……どこ行くねん」
「帰るんだ」
「シルヴィを連れてか?」
「当たり前だ」
パウルが腕を組みながらアルベールに問いかけると、当然の如くシルヴィを連れてその場を後にした。
その後姿を黙って見ていたパウルだが……
「……ははっ、おもろいやん。僕の商品を横からかっさらう奴がおるなんてな……」
自嘲ように笑いながら顔を手で覆ったが、すぐにアルベールが出て行った扉に目をやった。
「残念やけど、シルヴィは僕が貰う。これは決定事項や」
そう呟きながら不敵な笑みを浮かべた。
◈◈◈
「──……ん?」
シルヴィは意識が朦朧としながらも暖かく良い匂い包まれていることに気づいた。
(ん~、これは上等なお布団……それに無茶苦茶いい匂いがする……)
夢の中だと思い込んでいるシルヴィは、ここぞとばかりにスーハ―スーハ―と匂いと上等な質感を堪能すべく布団に全身を包めた。
「………………何をしている」
頭上から冷めざめとした声が聞こえ、一瞬で覚醒した。
「ほあ!!!ここは!?」
勢いよく身体を起こすと、目の前には椅子に掛けながら本を読むアルベールがいた。
その姿の絵になる事と言ったら……!!
「ありがとうございます……ッ!!」
「それは何に対する謝礼だ」
口を手で覆いながら感激するシルヴィをアルベールは冷ややかな目で見つめながら言い返した。
そこでようやく正気に戻ったシルヴィが、改めて自分が置かれている状況を整理した。
今自分がいる場所は明らかに自分の屋敷ではない事は確かだ。
(うちにこんな上等な布団はない!!)
見た感じ結構いい感じの宿屋な感じがする…………
「あの、ここは?」
「ああ、君が気を失ったからな。急遽部屋を借りた」
「…………それは、ご迷惑をおかけしました」
恐る恐る聞くと、やはりどこかの宿らしかった。
シルヴィは深々頭を下げ謝罪の言葉を伝えた。
だが、アルベールは「気にするな」と一言言っただけで顔を背けてしまった。
まあ、それも仕方ない。
あの時は気が動転していてまともな思考が出来なかったとはいえ、アルベールに巻き込んだあげくに嘘までつかせてしまった。
「あ、あの、総監様……申し訳ありませんでした」
恐る恐る口を開いたが、そのアルベールの視線の冷たさッ!!
これは完全に怒ってる!!
「黙っていて申し訳ありません!!でも、家族の事を考えると中々言えずに……!!それでも、私は自分の気持ちに嘘はつけません!!」
口を開けたままの二人をよそにシルヴィは渾身の演技を披露した。
それは、邸の為に自分の気持ちを隠して見合いする可憐な少女を彷彿とさせている……のか?
「……ふ~ん。なるほどね」
最初に口を開いたのはパウルだった。
その顔は先ほどまでの柔らかな表情とは一変していた。
「けどなあ、僕は商人や。一度決めたもんは『はいそうですか』って簡単には手放せんのよ」
獲物を捕らえるような視線を向けられ、足がすくむ。
「それに、僕は嘘が嫌いなんよ。いくら家の為でもここに来た以上はその気があるんとちゃうの?」
「そ、それは……」
パウルの言葉に口ごもるシルヴィ。だが、パウルは更に続けた。
「つうか、おたく、ほんまにシルヴィと付き合っとるん?僕の見た限り、上司と部下。それ以上でもそれ以下でもないよう思うんよね」
ギクッとシルヴィの肩が震えた。
流石は一流の商人だけある。人の表情を読むのがうまい。
パウルはシルヴィの表情を見て、勝ち誇ったように微笑んでいる。
やはり下手な芝居はこの人には通用しないのか……そう半ば諦め肩を落としていたが、その肩をギュッと抱き寄せられた。
「残念だが付き合っているというのは本当の事だ。近いうちにご両親にあいさつに行こうと思っていた矢先に見合いの話が舞い込んできてな。断る暇もなかったと言うのが本当の所だ」
「は?」
まさかシルヴィの三文芝居にアルベールが付き合ってくれるとは思いもせず、目を白黒させていた。
「ほお?そんな嘘が僕に通用すると思うとんの?」
「どう思われようが構わないが、シルヴィを渡す気はない」
(!?!????!?!!!!!)
初めてフルネームじゃなく名前を呼ばれたシルヴィは感極まり泣きそうだ。
(名前の威力……!!)
涙目になりながら見上げると真剣な表情でパウルに立ち向かうアルベールの姿。
(こ、これは、堪らんです……!!)
この時点でシルヴィの思考はキャパオーバー。
「どうした?」
ここでアルベールの笑顔は反則。
とどめの一撃をくらいシルヴィは顔を真っ赤に染め、鼻から血を流しながら気を失ってしまった。
「シルヴィ!?」
「……ああ、いつもの事だ。私は医者だからな。心配は無用」
鼻血を噴き出しながら倒れれば誰もが驚くだろうがアルベールは違う。
手慣れたように鼻にガーゼを詰めると、気を失ったシルヴィを抱き上げた。
「……どこ行くねん」
「帰るんだ」
「シルヴィを連れてか?」
「当たり前だ」
パウルが腕を組みながらアルベールに問いかけると、当然の如くシルヴィを連れてその場を後にした。
その後姿を黙って見ていたパウルだが……
「……ははっ、おもろいやん。僕の商品を横からかっさらう奴がおるなんてな……」
自嘲ように笑いながら顔を手で覆ったが、すぐにアルベールが出て行った扉に目をやった。
「残念やけど、シルヴィは僕が貰う。これは決定事項や」
そう呟きながら不敵な笑みを浮かべた。
◈◈◈
「──……ん?」
シルヴィは意識が朦朧としながらも暖かく良い匂い包まれていることに気づいた。
(ん~、これは上等なお布団……それに無茶苦茶いい匂いがする……)
夢の中だと思い込んでいるシルヴィは、ここぞとばかりにスーハ―スーハ―と匂いと上等な質感を堪能すべく布団に全身を包めた。
「………………何をしている」
頭上から冷めざめとした声が聞こえ、一瞬で覚醒した。
「ほあ!!!ここは!?」
勢いよく身体を起こすと、目の前には椅子に掛けながら本を読むアルベールがいた。
その姿の絵になる事と言ったら……!!
「ありがとうございます……ッ!!」
「それは何に対する謝礼だ」
口を手で覆いながら感激するシルヴィをアルベールは冷ややかな目で見つめながら言い返した。
そこでようやく正気に戻ったシルヴィが、改めて自分が置かれている状況を整理した。
今自分がいる場所は明らかに自分の屋敷ではない事は確かだ。
(うちにこんな上等な布団はない!!)
見た感じ結構いい感じの宿屋な感じがする…………
「あの、ここは?」
「ああ、君が気を失ったからな。急遽部屋を借りた」
「…………それは、ご迷惑をおかけしました」
恐る恐る聞くと、やはりどこかの宿らしかった。
シルヴィは深々頭を下げ謝罪の言葉を伝えた。
だが、アルベールは「気にするな」と一言言っただけで顔を背けてしまった。
まあ、それも仕方ない。
あの時は気が動転していてまともな思考が出来なかったとはいえ、アルベールに巻き込んだあげくに嘘までつかせてしまった。
「あ、あの、総監様……申し訳ありませんでした」
恐る恐る口を開いたが、そのアルベールの視線の冷たさッ!!
これは完全に怒ってる!!
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