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──ええ~、この度魔王城に居候が決定した宮古咲です。
どうやら私、本当は聖女として人間界で召喚されるはずだったのですが、何かの手違いでここ魔王城に召喚されてしまいました。
けど、この間違いはこちらかすればまさに幸運な出来事でした。
なぜなら…………………ここの生活、マジ最高!!
まず、ここ魔界は夜型の方々も多数おり、起床はバラバラ。
皆、起きたい時に起き、寝たい時に寝るというスタイル。
とはいえ、みんな大体時間通り行動しているので、咲もそのスタイルで朝8時起床、夜10時就寝で落ち着いた。
そして食事だが、初めて出された食事の見た目の感想はスプラッター映画。
内蔵をそのまま出されたような感じの物だったが、意を決して食べてみたら見た目に反して激うま料理だった。
それからは目玉が入っていようが、体の一部分が溶けずに残っていようが躊躇なく口にできた。
それに、午後にはおやつが振舞われることが度々あり、それが楽しみでおやつが出る日は誰よりも先に食堂に行っている。
幸せそうに頬張る咲の姿が小動物の様だと、おやつを分け与える者も増えている。
使用人である魔族達との仲も良好。言うことなし。
むしろみんなが気を利かせてくれるから咲にとっては元の世界より全然住み心地が良き。
そして、最後に仕事。
いくら飼われている身でも、働かざる者食うべからずだ。
ただ、この仕事が一番の難問だった。
「サキ!!今から森に行くが一緒に行くか!?」
「お供します!!」
とまあ、意気込んで行ったが、人間の臭いに釣られた魔獣に襲われ、あわや大惨事と言う所で助けられた。
「おうっ、サキじゃねぇか。今から倉庫整理やるんだが手伝えよ」
「喜んで!!」
名誉挽回とばかりに着いて行ったら、そこは魔窟……
しかも高価な物やもう手に入らない貴重な物が無造作に置かれていた。
そんなモノを扱うなど「絶対落とすなよ!!フリじゃないからな!!」状態。
震える手で何とか移動してみるが案の定、山積みに積まれた本に躓き先代魔王の銅像を破壊。
それならばと、侍女の仕事はどうだと言われ「次こそは任せてください!!」と始めたものの……
「ん~……頑張りは認めるんだけど、正直、二度手間?」
優しい口調でド正論を吐いたのはこの魔王城の侍女頭であるシリー。
その言葉を聞いた咲は自分の不甲斐なさと申し訳なさに項垂れるしか無かった。
「サキを責めている訳じゃないのよ?けどね、けどよ……ねぇ?」
項垂れる咲を慰めてくれようとする気持ちは分かるが、今の咲には耳に入ってこなかった。
「まさか窓もろくに拭けないとはな……人間ってのはどうやって生きてんだ?」
「それにほら、人間って脆いじゃない?すぐに怪我するし治りも遅いって話よ?」
勘違いされる前に言っておくが、窓はちゃんと拭ける。
ただ、それが普通の窓の場合だ。
ここ魔王城の窓には結界が張られており、触ると電流が流れた様に全身が痺れる。
丈夫な魔族達にはなんの事ない窓拭きが、人間の咲にとっては罰ゲームと同等なのだ。
下手すれば死ねる。
そんな訳で窓拭きは他の方に任せ、咲は床掃除を任された。
しかし、ここは魔王城。廊下も普通な訳が無い。
案の定、廊下があちらこちらに現れ迷子になり、使用人全員で咲の捜索が行われ、無事にその日の夜遅くに保護された。
「……お前、一体何が出来るんだ?」
呆れたように口にするのは魔王軍の総司令官であるギロバス。
ギロバスは面倒見がよく、咲のことも目にかけてくれいた。
「うぅぅぅ~……こっちが知りたいですよ~」
約立たずだと思っていても一切口に出さず、出来る事を探してくれようとする魔族の方々に申し訳なさ過ぎて泣けてきた。
「魔王様の専属侍女。……と言うのはいかがです?」
部屋の入口から声がかかり、振り返るとそこには宰相のレザゼルがいた。
この人は魔王と違ったイケメン。言うならば、魔王は男らしく凛々しい。対してレザゼルは中性的で色気がある。
魔王の次に人気があるのも納得出来る。
で、そんなレザゼルが咲の為に持ってきた仕事と言うのが、魔王の専属侍女。
「おいおい、レザゼル。そりゃいくらなんでも無理じゃないか?」
「そうねぇ。魔族ですら、魔王様の機嫌を伺いながら仕事をしてるのよ?サキには厳しいんじゃない?」
「魔王様の逆鱗にでも触れたらどうなるか……」なんて恐ろしい言葉の数々が聞こえ、咲の顔色は徐々に悪くなっていった。
これまでのことを考えると、リスクがあり過ぎるのは重々承知しているが、このままタダ飯食らいと言う訳にもいかない。
「さあ、どうします?やります?やめます?」
「やります!!やらせてください!!」
止める二人を制止して、咲は魔王の専属侍女へ就任することになった。
どうやら私、本当は聖女として人間界で召喚されるはずだったのですが、何かの手違いでここ魔王城に召喚されてしまいました。
けど、この間違いはこちらかすればまさに幸運な出来事でした。
なぜなら…………………ここの生活、マジ最高!!
まず、ここ魔界は夜型の方々も多数おり、起床はバラバラ。
皆、起きたい時に起き、寝たい時に寝るというスタイル。
とはいえ、みんな大体時間通り行動しているので、咲もそのスタイルで朝8時起床、夜10時就寝で落ち着いた。
そして食事だが、初めて出された食事の見た目の感想はスプラッター映画。
内蔵をそのまま出されたような感じの物だったが、意を決して食べてみたら見た目に反して激うま料理だった。
それからは目玉が入っていようが、体の一部分が溶けずに残っていようが躊躇なく口にできた。
それに、午後にはおやつが振舞われることが度々あり、それが楽しみでおやつが出る日は誰よりも先に食堂に行っている。
幸せそうに頬張る咲の姿が小動物の様だと、おやつを分け与える者も増えている。
使用人である魔族達との仲も良好。言うことなし。
むしろみんなが気を利かせてくれるから咲にとっては元の世界より全然住み心地が良き。
そして、最後に仕事。
いくら飼われている身でも、働かざる者食うべからずだ。
ただ、この仕事が一番の難問だった。
「サキ!!今から森に行くが一緒に行くか!?」
「お供します!!」
とまあ、意気込んで行ったが、人間の臭いに釣られた魔獣に襲われ、あわや大惨事と言う所で助けられた。
「おうっ、サキじゃねぇか。今から倉庫整理やるんだが手伝えよ」
「喜んで!!」
名誉挽回とばかりに着いて行ったら、そこは魔窟……
しかも高価な物やもう手に入らない貴重な物が無造作に置かれていた。
そんなモノを扱うなど「絶対落とすなよ!!フリじゃないからな!!」状態。
震える手で何とか移動してみるが案の定、山積みに積まれた本に躓き先代魔王の銅像を破壊。
それならばと、侍女の仕事はどうだと言われ「次こそは任せてください!!」と始めたものの……
「ん~……頑張りは認めるんだけど、正直、二度手間?」
優しい口調でド正論を吐いたのはこの魔王城の侍女頭であるシリー。
その言葉を聞いた咲は自分の不甲斐なさと申し訳なさに項垂れるしか無かった。
「サキを責めている訳じゃないのよ?けどね、けどよ……ねぇ?」
項垂れる咲を慰めてくれようとする気持ちは分かるが、今の咲には耳に入ってこなかった。
「まさか窓もろくに拭けないとはな……人間ってのはどうやって生きてんだ?」
「それにほら、人間って脆いじゃない?すぐに怪我するし治りも遅いって話よ?」
勘違いされる前に言っておくが、窓はちゃんと拭ける。
ただ、それが普通の窓の場合だ。
ここ魔王城の窓には結界が張られており、触ると電流が流れた様に全身が痺れる。
丈夫な魔族達にはなんの事ない窓拭きが、人間の咲にとっては罰ゲームと同等なのだ。
下手すれば死ねる。
そんな訳で窓拭きは他の方に任せ、咲は床掃除を任された。
しかし、ここは魔王城。廊下も普通な訳が無い。
案の定、廊下があちらこちらに現れ迷子になり、使用人全員で咲の捜索が行われ、無事にその日の夜遅くに保護された。
「……お前、一体何が出来るんだ?」
呆れたように口にするのは魔王軍の総司令官であるギロバス。
ギロバスは面倒見がよく、咲のことも目にかけてくれいた。
「うぅぅぅ~……こっちが知りたいですよ~」
約立たずだと思っていても一切口に出さず、出来る事を探してくれようとする魔族の方々に申し訳なさ過ぎて泣けてきた。
「魔王様の専属侍女。……と言うのはいかがです?」
部屋の入口から声がかかり、振り返るとそこには宰相のレザゼルがいた。
この人は魔王と違ったイケメン。言うならば、魔王は男らしく凛々しい。対してレザゼルは中性的で色気がある。
魔王の次に人気があるのも納得出来る。
で、そんなレザゼルが咲の為に持ってきた仕事と言うのが、魔王の専属侍女。
「おいおい、レザゼル。そりゃいくらなんでも無理じゃないか?」
「そうねぇ。魔族ですら、魔王様の機嫌を伺いながら仕事をしてるのよ?サキには厳しいんじゃない?」
「魔王様の逆鱗にでも触れたらどうなるか……」なんて恐ろしい言葉の数々が聞こえ、咲の顔色は徐々に悪くなっていった。
これまでのことを考えると、リスクがあり過ぎるのは重々承知しているが、このままタダ飯食らいと言う訳にもいかない。
「さあ、どうします?やります?やめます?」
「やります!!やらせてください!!」
止める二人を制止して、咲は魔王の専属侍女へ就任することになった。
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