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「で、何故お前がここにいる?」

私達は茶店へと入り、リラが美味そうにケーキを食べている横で、ラルスに問う。

「何故って、コルネリアを探していたんですよ。何年も、何十年、何百年とね……」

「……お前が言っている事が本当ならば、お前は何度も記憶を保持したまま転生していると言う事になる。その方法をどこで知った?何故、転生までして私を探す?」

私が知る限り転生魔法は禁忌で、その方法が書かれた文献は厳重に管理されていたはず。
ちなみに、私ですら方法を知らない。

「……それよりも、その子はコルネリアの子供ですか?」

ジロッとリラの方をラルスが見ると、リラがビクッと肩を震わせた。

「ラルス!!子供相手に何、殺気づいている!!」

ラルスの殺気に当てられ、リラがビクビク震えている。

「ああ、すみません。貴方が私の知らない所で、どこぞの男と子供を作っていたと思ったらつい……」

「はぁ~、何を勘違いしてるか知らんが、リラは私の子ではない。私の弟子だ」

そう説明すると、ラルスの殺気がようやく落ち着きリラの震えも止まった。

「私は結婚もしていなければ、恋人もいない。そもそも私に出来ると思うか?そんな事、一番近くにいたお前がよく知っているだろうに」

「ああ、そうですね。すみません、忘れてました」

どこか嬉しそうに言うラルスが腹立たしい。

──どうせ結婚とは程遠い人間だよ。

「では心置き無く、また団長勤めが出来ますね」

「は?」

──こいつはなんと言った?

「私は、生涯貴方の相棒でいたいのです。私の上司は貴方しかいない。私は貴方以外の元には付かないと決めたのです。ですから、またもう一度……」

「断る」

ラルスが全て言い切る前に、答えを出した。

「何故!?貴方ほどの力があれば、再び団長になれます!!」

「断ると言っている」

こいつはこれを言う為に、何百年も私を探していたのか?
もしそうなら、実に時間の無駄だな。

「何故です!?」

「……私はもう、国に縛られるのは疲れた。折角二度目の人生を手に入れたんだ、今世はのんびり過ごすと決めている」

「……それなのに弟子は取るんですか?」

「うぐっ……」

痛いとこをつかれた。

「あ~これはだな、まぁ~成り行きと言うか、なんと言うかだな……」

モゴモゴ言い訳を述べる。

「まったく、貴方はいつもそうだ。都合が悪くなると言い訳ばかり」

流石元相棒。私の事をよく知っている。
しかし、今更ブラウとリラをほっても置けない。

「……貴方は、今幸せですか?」

「ああ、とても……毎日が楽しいよ」

ラルスに笑顔で伝える。
毎日騒がしいが、それが苦痛だとは思わない。

「……分かりました。騎士は諦めます」

ホッと胸を撫で下ろした所で、ブラウの事を思い出す。

「しまった!!こんなとこで長居してる場合じゃなかった!!リラ、ブラウがきっと探してる!!」

「ブラウとは?」

ラルスが鋭い目で私を見ながら問う。

「ああ、私のもう一人の弟子だ」

「のんびり過ごすと言いながら弟子を二人も取ったのですか?」

眉間に皺寄せ不機嫌そうにラルスは言うが、ラルスに構っている暇はない。

「あ゛~説教は後にしろ!リラ、急げ!!」

リラを連れて急いで店を出て、ブラウを探した。
ブラウは相当探していたらしく、私の顔を見るなり文句を言い出したが、詫びに菓子をいつもの倍買ってやったら機嫌は良くなった。子供は単純で助かる。

──あっ、店にラルス忘れてきた。
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