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「ご主人------!!!!!!」

「バジャー!?」

隣の部屋の扉を開けると、バジャーが飛び込んで行った。

「ご主人!!心配したんですよ--!!!」

「ああ、ごめんな」

わんわん泣いているバジャーを抱き抱えながら、パウルは優しく頭を撫でている。

「パウル」

「あ、お姉様……じゃなかった、コルネリアさん。変な事に巻き込んですみませんでした」

パウルは立ち上がり、私に深々頭を下げ謝った。

「いや、事情はお前の父親の神官長から聞いた。──お前は私が預かる事になった」

「えっ!?じゃあ、僕の妻……いでっ!?」

「そんな事、私が許しません」

ラルスがパウルの頭に拳骨を落としたらしい。

「私は魔法の師匠として、お前を預かるんだ」

「本当ですか!?じゃあ、胸の開いたシャツとムチ……いでっ!!」

次は私の拳骨をお見舞いしてやった。

──まったくこいつには、緊張感と言うものがないのか?

「まあ、それはそうと、バジャーには一言行ってから来れば良かたろ?バジャーは相当心配していたぞ」

「えっ?言いましたよ?」

「は?」

「僕が洞窟を出る際、父の所に行って来ると言いましたけど?」

「……だす?」

バジャーを見ると、顔からダラダラ汗が吹き出ている。

「おいおい、バジャー、話が違うじゃないか?」

すぐさまバジャーの片足を掴み、逆さ吊りにして問い詰める。

「いや、おかしいだすなぁ。まあ、ご主人も無事だったし、過ぎたことは忘れろだす。なっ!!」

はははっと笑いながら言っているが、顔は引きつっているぞ?

「……お前は、人の話をしっかり聞けるようになるまで戻ってくるんじゃない!!!!」

魔力を込め、バジャーを思いっきり窓の外へ向けて投げた。

「だすぅぅぅぅ!!!!!」

叫び声と共に、彼方へと消えていった。山一個分ぐらい飛んでるかもな。
まあ、死にはしないだろ。

「コルネリアさん、今回の事は僕の魔力のせいです。父をあまり恨まないでください」

「分かっている。最初に会った時に神官長の息子だと言ってくれれば良かったのだがな」

「……すみません。こんな奴が息子だと知られたくなくて……」

だから人目を避けてあんな山奥の洞窟に居たのか。

「大丈夫だ。お前には私がいる。立派な神官長になるよ」

そう言いながら、パウルの頭を撫でると、パウルは俯きながら涙を流した……



「コルネリア、パウルの事を頼む」

「ああ、任せとけ」

神殿に一泊し、翌日パウルを連れてブラウ達の待つ我が家へ帰宅することに。

「なんなら、私の事をお義父さんと呼んでも……」

「「あっ?」」

ラルスと私が同時に、神官長を睨む。

「いや、ゴホン、冗談だ……」

まったく、この子にして、この親か。

「さあ、帰るとするか。我が家に」

「あれ?そう言えばパウルの獣が見当たらぬが?」

神官長なかなか察しがいいな。

「……バジャーは昨日一足早く旅立ったから心配は無用だ」

「そうか、ならいいが。パウルがとても可愛がっている様子だったからな」

そうなのか?しまった。結構勢いつけて投げてしまった。

「では、コルネリアよ。また会える日を楽しみにしている」

「私はあまり会いたくないがな……ま、パウルの様子を伝えるぐらいはしよう」

「……感謝する」

そうして、私達は神官達に見送られ神殿を後にした。





「──やっと見つけた。私のコルネリア愛する人

この時、私達を見つめる人影に誰も気づくこともなく……
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