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「封鎖!!」
私は宙に浮きながら穴を塞ごうとするが、上手くいかない。
「わははははは!!!無駄だ!!お前如きの魔法ではこの穴は塞げん!!お前はもうお終いだ!!わははははは!!!」
高々に勝利宣言をしているグスタフ。
しかし、今の私の魔力ではこいつに勝てん。
そうこうしているうちに、もう穴は目前。
真っ黒な穴が口を開けて私を待っている。
──ここまでか……
『……諦めるとは、お前らしくない』
頭の中で声が聞こえた。
「誰だ!?」
見渡すが誰も居ないし、声も聞こえない。
──今の声は誰だ?
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
声の主を探していたら、グスタフが急に苦しみ出した。
「ぐっ!!!な、な、なんだ!?なぜ、身体が……」
見ると、グスタフの姿はみるみる老いていっている。
力も一緒に老いたのか、上空の穴は消え、私も無事地上へと戻った。
──何が起きてる!?
グスタフは先程とは別人の様に老いて、骨と皮だけになりギリギリ生きていると言った所だった。
「な、なぜ、私が……コ、コルネリア、助けてくれ!」
先程まで殺そうとしていた人間に助けを求めるとは……
勿論、助けるはずがない。
「……肉体の限界だったんじゃないか?自業自得だ。本来の姿に戻れ」
「くそ、くそ、くそぉぉぉぉぉ!!!!!」
バタン……
その場に倒れたグスタフは、そのまま息を引き取った。
──終わった、か……
私もその場に倒れ込んだ。
「コルネリア!!!」
「コルネリアさん!!!」
ラルスとブラウの声を最後に私は意識を手放した。
※
「コルネリア!!」
「「コルネリアさん!!」」
目を覚ますと、目の前にラルスとブラウ、リラ、ルー親子の顔があった。
私が目を開けたことを確認すると、泣きながらリラが抱きついてきた。
他の奴らは涙目でこちらを見ている。
「……もしかして、死にかけてたか?」
「貴方はいつも無茶し過ぎです!!私がいるのですから頼ってください!!」
「……コ、コル、コルネリア……さん、よか、良かった」
ラルスに怒鳴られ、ブラウは涙で顔がぐしょぐしょだ。
「心配かけてすまなかったな。もう、大丈夫だ」
抱きついているリラの頭を撫でると、リラは可愛らしい笑顔を向けてくれた。
「……で、あの後どうなった?」
「ああ、あの後はですね。本当大変でしたよ……」
──ラルスの話によると、あれだけ派手に暴れた為、屋敷に残っていた使用人が騎士を呼んで来た。
屋敷の惨状を見てラルス達が犯人だと勘違いされ、捕まりそうになった時、ルーが仕掛けた魔石が役に立った。
それを見た騎士達は魔石の性能に驚いたらしいが、それ以上にグスタフの悪事に驚き、すぐに王城へ伝達された。
ラルス達の無罪が判明され、捕まっていた奴隷達も解放。
奴隷達は一度城の預かりとなっている。
グスタフに手を貸していた貴族達には捜査の手が入り、結構な人数お縄となった。
グスタフの屋敷は取り潰され、犯罪者として墓も建てられず葬られたらしい。
──真っ当に生きていれば、こんな最期では無かったものを……
嫌な奴なのは変わりないが、よく知った奴の最期がこんな終わりなのは少し気の毒に思えた。
その時、ふと思い出した。
「バジャー!!!──ッつ!!!」
勢いよく起き上がったら、傷に響いた。
──そうだ、私はアイツを助けにグスタフの屋敷に行ったんだった!!
それなのに助ける前に力尽きたとは、我ながら情けない……
「コルネリア!!落ち着いて下さい!!」
「バジャーは、俺が見つけて救出しました!!」
どうやらブラウが無事に救出してくれたらしい。
「今は、パウルさんと感動の再会中です」
指さす方を見ると、部屋の外でわんわん泣いているバジャーとパウルの姿が見えた。
──良かった……
「……ところで、そいつらは誰だ?」
私は宙に浮きながら穴を塞ごうとするが、上手くいかない。
「わははははは!!!無駄だ!!お前如きの魔法ではこの穴は塞げん!!お前はもうお終いだ!!わははははは!!!」
高々に勝利宣言をしているグスタフ。
しかし、今の私の魔力ではこいつに勝てん。
そうこうしているうちに、もう穴は目前。
真っ黒な穴が口を開けて私を待っている。
──ここまでか……
『……諦めるとは、お前らしくない』
頭の中で声が聞こえた。
「誰だ!?」
見渡すが誰も居ないし、声も聞こえない。
──今の声は誰だ?
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
声の主を探していたら、グスタフが急に苦しみ出した。
「ぐっ!!!な、な、なんだ!?なぜ、身体が……」
見ると、グスタフの姿はみるみる老いていっている。
力も一緒に老いたのか、上空の穴は消え、私も無事地上へと戻った。
──何が起きてる!?
グスタフは先程とは別人の様に老いて、骨と皮だけになりギリギリ生きていると言った所だった。
「な、なぜ、私が……コ、コルネリア、助けてくれ!」
先程まで殺そうとしていた人間に助けを求めるとは……
勿論、助けるはずがない。
「……肉体の限界だったんじゃないか?自業自得だ。本来の姿に戻れ」
「くそ、くそ、くそぉぉぉぉぉ!!!!!」
バタン……
その場に倒れたグスタフは、そのまま息を引き取った。
──終わった、か……
私もその場に倒れ込んだ。
「コルネリア!!!」
「コルネリアさん!!!」
ラルスとブラウの声を最後に私は意識を手放した。
※
「コルネリア!!」
「「コルネリアさん!!」」
目を覚ますと、目の前にラルスとブラウ、リラ、ルー親子の顔があった。
私が目を開けたことを確認すると、泣きながらリラが抱きついてきた。
他の奴らは涙目でこちらを見ている。
「……もしかして、死にかけてたか?」
「貴方はいつも無茶し過ぎです!!私がいるのですから頼ってください!!」
「……コ、コル、コルネリア……さん、よか、良かった」
ラルスに怒鳴られ、ブラウは涙で顔がぐしょぐしょだ。
「心配かけてすまなかったな。もう、大丈夫だ」
抱きついているリラの頭を撫でると、リラは可愛らしい笑顔を向けてくれた。
「……で、あの後どうなった?」
「ああ、あの後はですね。本当大変でしたよ……」
──ラルスの話によると、あれだけ派手に暴れた為、屋敷に残っていた使用人が騎士を呼んで来た。
屋敷の惨状を見てラルス達が犯人だと勘違いされ、捕まりそうになった時、ルーが仕掛けた魔石が役に立った。
それを見た騎士達は魔石の性能に驚いたらしいが、それ以上にグスタフの悪事に驚き、すぐに王城へ伝達された。
ラルス達の無罪が判明され、捕まっていた奴隷達も解放。
奴隷達は一度城の預かりとなっている。
グスタフに手を貸していた貴族達には捜査の手が入り、結構な人数お縄となった。
グスタフの屋敷は取り潰され、犯罪者として墓も建てられず葬られたらしい。
──真っ当に生きていれば、こんな最期では無かったものを……
嫌な奴なのは変わりないが、よく知った奴の最期がこんな終わりなのは少し気の毒に思えた。
その時、ふと思い出した。
「バジャー!!!──ッつ!!!」
勢いよく起き上がったら、傷に響いた。
──そうだ、私はアイツを助けにグスタフの屋敷に行ったんだった!!
それなのに助ける前に力尽きたとは、我ながら情けない……
「コルネリア!!落ち着いて下さい!!」
「バジャーは、俺が見つけて救出しました!!」
どうやらブラウが無事に救出してくれたらしい。
「今は、パウルさんと感動の再会中です」
指さす方を見ると、部屋の外でわんわん泣いているバジャーとパウルの姿が見えた。
──良かった……
「……ところで、そいつらは誰だ?」
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