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土砂を片付けたばかりで、ちょうどいい広さの土地が空いていた。
そこに手をかざし、一軒の家を出した。

「なっ!?」

「……引越し祝いだ。受け取れ」

大きさ的には私の家と大差ないが、二人で住む分には丁度良かろう。

アルベールはしばらく家を眺めていたが、急にこちらに向き合い、片膝を付き私に向かって頭を下げている。

これは騎士が忠誠を違う時か、敬意を示す時の姿だ。

「おい!!何してる!?」

「──……俺は、お前達を騙していた……。その事実は変わらん。しかしこれから先、俺はお前達……コルネリア達を裏切らない事をここに誓おう」

──これは、アルベールのケジメだ。
それなら、しかと受け止めてやらねばいかんな。

私はアルベールの肩に手を置き、アルベールの言葉を承認した。



次の日、早速アルベール夫妻がこの森に引っ越してきた。

「初めまして、これからお世話になります、クラウディア・シュミットと申します」

「──ああ、話はアルベールから聞いている。私はコルネリアだ。宜しく頼む」

アルベールの嫁、クラウディアが丁寧に挨拶をしてくれた。
握手を交わすと、剣ダコが出来ていた。

──流石、元女騎士だな。

「……それで、あの……」

クラウディアがキョロキョロと何かを探しているようだった。
私は「あっ」と思いつき、リラとブラウを呼び出した。

「──紹介する。こっちがブラウで、こっちがリラだ」

リラとブラウを紹介すると、クラウディアの顔が思いっきりニヤけた。

「この子達が……」

ゆっくりリラに近付き、優しく顔を撫でていた。……と、思っていたら急に泣き出した。

当然の事に、リラとブラウが驚いてアタフタしている。

──……よく見ろ、泣いてはいるが顔は喜んでいる。

会いたくて仕方なかった、リラ達にようやく会えたんだ。
感情のコントールが出来なくなっているんだろう。

クラウディアは泣きながらリラに抱きついた。
リラは驚きながらも、クラウディアを抱きしめ返していた。

「……すまんな。夢にまで見た子達に会えて嬉しいんだろう」

アルベールが私の元へやって来て、説明してくれた。

「分かってる。落ち着くまでリラに頑張ってもらう」

私達は、クラウディアが落ち着くのを黙って待っていた。

しばらくすると、泣き腫らしたクラウディアが顔を上げた。
リラが心配そうに顔を見ているが、その心配された事が嬉しかったのだろう。再び泣きだした。

──こりゃ、まだかかりそうだ……

「コルネリア。誰です?」

後ろから声がかかり、振り返るとラルスが立っていた。

「あぁ、アルベールの嫁だ。今日からここに住む」

「はぁ、アルベール団長の嫁…………──嫁!!!?」

嫁の言葉にラルスも驚いたらしい。

──こいつも知らなかったのか。

「あははは!!すまんなラルス、言う機会を逃していた」

アルベールは詫び入れることなく、豪快に笑っていた。

「さあ、皆を紹介しようか?」

ここの住人になるなら、皆を紹介しなければな。

私は皆を集め、1人ずつ紹介して行った。
クラウディアは子供なら種別を越えているらしく。ルーやバジャーまで抱きしめ、思う存分愛でいた。
……バジャーは綺麗なひとに抱きしめられ、それはそれは嬉しそうだったな。鼻の下が伸びっぱなしだった。

後は猛猪達獣を紹介したかったが、それはおいおいと言うことになった。

とりあえず皆、新参者を快く迎えてくれた事に胸を撫で下ろした。
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