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終わりよければすべてよし
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──こうして、私は無事に結婚式を終えドキドキの初夜がやって来た。
前の人生を通しても、こんなにドキドキする事はなかった。
お互い湯浴みを終え、ベッドへと向かった。
「……シンシア……綺麗だ……」
「……あの、あんまり見ないで……」
ベッド押し倒され、アイザックの顔が近づく。
(キスされる……)
と思って身構えていると、天井に見覚えのある光の輪。
そしてそこから抜け出せない、つっかえた腹……
(あれ?デジャブ?)
このタイミングで、これはないだろ……
いや、この神様空気読めないんだったわ。
「な、なんですかこれは!?」
アイザックも気づき、肥満スズメの腹を突っついてる。
私は大きな溜め息を吐き、目の前の小さな足を掴み思いっきり引っこ抜いた。
「──ぷはっ!!死ぬかと思った!!」
やっぱりライだった。
「シンシア!!なんですこのスズメは!?」
「……話すとは長くなるので端折りますが、このスズメは実は神様なんです」
「はぁ?」
アイザックは驚きで頭が追いついていないようだった。
そりゃそうだ。どう考えてもこんな肥満スズメが神様には見えない。
まあ、今はそんな事は置いておこう。
「──で?何であんたがここにいるの?天界に帰ったんじゃないの?」
「いや、あのな。実は……上司から戻ってくるなと言われてしまってな……シンシアが死ぬまで責任を持って担当しろと……」
私が問い詰めると、しどろもどろになりながら経緯を教えてくれた。
やっぱり左遷されてるじゃん。完璧に邪魔者扱いじゃん。
「そんな訳だから頼む!!また面倒を見てくれ!!」
土下座して頼み込んでくる神様ってどうなのよ。
いや、私は正直嬉しいけど、アイザックがね……
「──神だろうと何だろうとオスはオス。私が許すとでも?」
「いや、待て!!お前よりも私の方がシンシアと付き合いが長いんだぞ!!要は先輩だ!!お前ら騎士は先輩を敬うだろ!?なら、私も敬え!!」
殺気の漂うアイザックを必死に落ち着かせようとしているが、言い方が悪い。明らかに逆効果だと言うことに、このスズメは気づいていない。
「……ほお?私よりもシンシアの事を知っていると?それは益々許せない」
「いや、違う!!そういう事を言ってるんじゃ……おい!!シンシア!!助けろ!!」
「あはははは!!ちょっとは痛い目見といた方がいいわよ?」
アイザックとライのやり取りを見て思わず笑いが込み上げてきた。
前の人生は散々だったし、まさか悪霊になるきっかけの元婚約者の孫と結婚するなんて思いもしなかったけど、これはこれでいいんじゃない?
愛してくれる人がいて、私を思ってくれる友もいる。
それだけで十分幸せだ。
(ようやく、幸せを手に入れた……)
◆◆◆
数年後……
「シンシア!!助けてくれ!!」
「あら?頭の毛どうしたの?ハゲてるけど?」
「おまえの息子にやられたんだ!!」
相変わらず私の隣には小煩い肥満スズメがいる。
働くもの食うべからずとアイザックから言われているライは、私とアイザックの2歳になる息子の遊び相手をしている。
その息子も最近はやんちゃ盛りでライの手を焼かせている。
「おやおや、ちょっとはいい男になったのでは?」
「そうだな、お前より私の方がいい男だからな」
私の肩に手を置きながら覗き込んできたのはアイザック。
どうもアイザックとライは馬が合わないらしく、会えば何かと言い合っている。
「……そうだ、シンシア。そろそろもう一人考えてみませんか?」
「へ?」
「ここにいいベビーシッターもいる事ですし、後2,3人は欲しいですね」
頬にキスをしながら言われたら、何にも言えない……
しかし、その言葉を聞いたライは顔を真っ青にしていた。
「冗談じゃない!!私は出ていく!!今度こそ出ていくからな!!」
そういう言いながら部屋を出て行った。
ライの出て行くは何度も聞いた。最初の内は本当に出て行くかと思って止めたけど、今じゃ止めもしない。
ここにしか居場所はないもんね。
「じゃあ、邪魔者もいなくなった事ですし……」
「はっ?ここで!?ちょっと待って!!」
ソファーに押し倒されながら必死に拒むが、力の差は歴然で勝てるはずもない。
「……愛してます……」
毎日愛を囁いてくれる優しい夫。
過去の辛い思い出を全て上書きしてくれた。
今私があるのは貴方のおかげ……そう伝えたいけど、恥ずかしいから言わない。
けど、これだけは言わせて……
「愛してるわ。アイザック……」
来世でもきっと……
END
前の人生を通しても、こんなにドキドキする事はなかった。
お互い湯浴みを終え、ベッドへと向かった。
「……シンシア……綺麗だ……」
「……あの、あんまり見ないで……」
ベッド押し倒され、アイザックの顔が近づく。
(キスされる……)
と思って身構えていると、天井に見覚えのある光の輪。
そしてそこから抜け出せない、つっかえた腹……
(あれ?デジャブ?)
このタイミングで、これはないだろ……
いや、この神様空気読めないんだったわ。
「な、なんですかこれは!?」
アイザックも気づき、肥満スズメの腹を突っついてる。
私は大きな溜め息を吐き、目の前の小さな足を掴み思いっきり引っこ抜いた。
「──ぷはっ!!死ぬかと思った!!」
やっぱりライだった。
「シンシア!!なんですこのスズメは!?」
「……話すとは長くなるので端折りますが、このスズメは実は神様なんです」
「はぁ?」
アイザックは驚きで頭が追いついていないようだった。
そりゃそうだ。どう考えてもこんな肥満スズメが神様には見えない。
まあ、今はそんな事は置いておこう。
「──で?何であんたがここにいるの?天界に帰ったんじゃないの?」
「いや、あのな。実は……上司から戻ってくるなと言われてしまってな……シンシアが死ぬまで責任を持って担当しろと……」
私が問い詰めると、しどろもどろになりながら経緯を教えてくれた。
やっぱり左遷されてるじゃん。完璧に邪魔者扱いじゃん。
「そんな訳だから頼む!!また面倒を見てくれ!!」
土下座して頼み込んでくる神様ってどうなのよ。
いや、私は正直嬉しいけど、アイザックがね……
「──神だろうと何だろうとオスはオス。私が許すとでも?」
「いや、待て!!お前よりも私の方がシンシアと付き合いが長いんだぞ!!要は先輩だ!!お前ら騎士は先輩を敬うだろ!?なら、私も敬え!!」
殺気の漂うアイザックを必死に落ち着かせようとしているが、言い方が悪い。明らかに逆効果だと言うことに、このスズメは気づいていない。
「……ほお?私よりもシンシアの事を知っていると?それは益々許せない」
「いや、違う!!そういう事を言ってるんじゃ……おい!!シンシア!!助けろ!!」
「あはははは!!ちょっとは痛い目見といた方がいいわよ?」
アイザックとライのやり取りを見て思わず笑いが込み上げてきた。
前の人生は散々だったし、まさか悪霊になるきっかけの元婚約者の孫と結婚するなんて思いもしなかったけど、これはこれでいいんじゃない?
愛してくれる人がいて、私を思ってくれる友もいる。
それだけで十分幸せだ。
(ようやく、幸せを手に入れた……)
◆◆◆
数年後……
「シンシア!!助けてくれ!!」
「あら?頭の毛どうしたの?ハゲてるけど?」
「おまえの息子にやられたんだ!!」
相変わらず私の隣には小煩い肥満スズメがいる。
働くもの食うべからずとアイザックから言われているライは、私とアイザックの2歳になる息子の遊び相手をしている。
その息子も最近はやんちゃ盛りでライの手を焼かせている。
「おやおや、ちょっとはいい男になったのでは?」
「そうだな、お前より私の方がいい男だからな」
私の肩に手を置きながら覗き込んできたのはアイザック。
どうもアイザックとライは馬が合わないらしく、会えば何かと言い合っている。
「……そうだ、シンシア。そろそろもう一人考えてみませんか?」
「へ?」
「ここにいいベビーシッターもいる事ですし、後2,3人は欲しいですね」
頬にキスをしながら言われたら、何にも言えない……
しかし、その言葉を聞いたライは顔を真っ青にしていた。
「冗談じゃない!!私は出ていく!!今度こそ出ていくからな!!」
そういう言いながら部屋を出て行った。
ライの出て行くは何度も聞いた。最初の内は本当に出て行くかと思って止めたけど、今じゃ止めもしない。
ここにしか居場所はないもんね。
「じゃあ、邪魔者もいなくなった事ですし……」
「はっ?ここで!?ちょっと待って!!」
ソファーに押し倒されながら必死に拒むが、力の差は歴然で勝てるはずもない。
「……愛してます……」
毎日愛を囁いてくれる優しい夫。
過去の辛い思い出を全て上書きしてくれた。
今私があるのは貴方のおかげ……そう伝えたいけど、恥ずかしいから言わない。
けど、これだけは言わせて……
「愛してるわ。アイザック……」
来世でもきっと……
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