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五
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「殿下、私のペンダントと服は何処にありますか?」
「テーブルの上に開いてあるよ。……ミタリア、急いだほうがいいぞ」
「意地悪……着替えるので、こちらを見ないでください」
楽しそうにわかったと背を向けた王子。私はペンダントを着けて元に戻り着替えた。
着替えてスカートを持ち会釈した。
「リチャード殿下、私、ミタリア・アンブレラは用事を思い出しましたので、帰らせていただきます」
「また明日な、ミタリア」
(王子は、ほんとうに意地悪だ!)
べーっ!
「そんな可愛いことをしていたら、間に合わなくなるぞ」
「うっ、リチャード殿下の意地悪イケメン狼!」
子供の様なことを言い残して。私は王子とのデートを終わらせて従者に馬車を飛ばしてもらい、屋敷に大急ぎで戻っていた。
王子は私を婚約者だと言ったけど、まだ書類のやりとりを終えたわけではない。
(私が先に書類を受け取れば、まだ間に合う!)
従者に飛ばせる速度で帰ってもらった。
頑張ってくれた従者と馬にお礼を言って、馬車を飛び降りて、急いで屋敷の中に入った。
「お父様、お母様!」
両親を急いで探すと、お父様の書斎に二人はいた。
「ミタリア、お帰りなさい。先程、リチャード殿下から婚約申し込みの書類が、早馬で届いたわ」
「ミタリア、良かったな。書類にサインと判は押したからな」
(えっ、ええ⁉ 書類に判とサイン?︎)
私の馬車よりも早く、早馬は婚約の書類を両親に届けていた。
その書類を見た両親は大喜びしたもよう。
間に合わなかった……王子、仕事が早すぎ。
書類には両親の名前と、保証人の名前が書いてあった……保証人はご近所の虎叔父様に頼んだみたい。
あとは私のサインと判子を待つ、のみになっていた。
(もう、婚約を断りたいなんて言えない)
「さぁ、ミタリア」
「書類のここに名前を書くのだぞ」
「……はい」
大いに喜ぶ、二人に見守られながら書きました……とほほ。
書類を折り返しの早馬に渡して、夕食は婚約祝いのためか豪勢だった。両親は滅多に飲まない高級なワインを開けていた。
「ミタリア、幸せになるのよ」
「リチャード殿下に沢山愛してもらいなさい」
「う、うん、殿下が私を愛してくれるなら……ははっ」
(はぁーーお父様、お母様ごめんなさい。王子にはヒロインいるから、私が王子に愛されることはない……学園最後には婚約破棄されるわけだし)
ムズ……ムズムズする? ポリポリ……さっきから、お腹がむず痒い。
ポリポリ
(リチャード王子まさか? ノミで飼ってる? 俺がそんもん飼うか! て言いそう。常に澄まし顔で僕って言っていたのに、急に態度と俺に変わっていたし、笑っていた)
いつもは猫を被っていたのか、彼は王子だからかな。
「いやぁーめでたい、めでたい!」
「ほんと、めでたいわ!」
食事の終い頃に両親はワインを一本、仲良く飲み干して、食堂でダンスを踊りだした。
(いつまでも仲良いなぁ。私も結婚するなら、お父様の様な猫化で優しい人がいいなぁ)
ダンスとワインを楽しむ両親に「疲れたから、先に寝ます」と部屋に戻り。ナターシャにお風呂の準備をしてもらった。
+
脱衣所でドレスを脱いで驚いた。
「なっ、なに、これ?」
姿見に映る、自分のお腹の右下に赤いアザの様なものができていたーーこれが、むず痒いもと?
(いつ出来たの?)
このアザがどこで出来たのかもやもやして、お風呂もあまり楽しめずにあがった。ドレッサーの前で髪をナターシャに乾かしてもらっていた、鏡に映る彼女もまた私の婚約が嬉しそうだ。
「ミタリアお嬢様、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとう、ナターシャ」
「専属メイドを選ぶとき、私を選んでください」
(年頃に結婚もせず私の面倒ばかり見ていたんだ。ナターシャは結婚はいいですと言わず、王都でいい旦那様を見つけて欲しい)
「分かったわ、専属メイドはナターシャにするわね」
絶対ですよと、ナターシャと寝る前の挨拶を済ませて。ふかふかオフトゥンに転がり枕を胸に抱きしめた。
「まだ、お腹のアザがむず痒い」
ポリポリ……ふうっ私のあほな行動で――獣化とへそ天を王子に披露したばかりに。王子に気に入られたて、回避したかった婚約者になってしまった。
でも、あんなに喜ぶ両親の顔を見たら、婚約を無しにしたいだなんて言えないし。王子から婚約の申し込みだもの、突っぱねることは不敬罪にあたる。
「婚約者か……」
そう呟いた時。唇がプルプルして、涙がポロポロ溢れだした。それは私の中に芽生えた小さな感情が原因だ。
だって、思っちゃったんだもん。
獣化した狼王子の姿が余りにも素敵で、カッコ良かった。
前世、一番に推していた王子なんだもの。
「このまま好きになってしまったら、どうしよう?」
けして、実らない恋をすることになる。
私は前世の記憶で、婚約破棄されるって知っている。
自分の終わり方も勿論知っている。ほんとうは陰から二人を応援するつもりでいた。
いまもそう思っている。
(……そうだ、王子に学園に入学する前に嫌われよう。こんな奴とは婚約破棄したいと思われよう、それしかない)
王子を好きになる前に諦めよう。
大好きな、ふかふかオフトゥンの中で、そう決めたのだけど、
……む、むず痒い、ポリポリ。
……なんだろうコレ?
「テーブルの上に開いてあるよ。……ミタリア、急いだほうがいいぞ」
「意地悪……着替えるので、こちらを見ないでください」
楽しそうにわかったと背を向けた王子。私はペンダントを着けて元に戻り着替えた。
着替えてスカートを持ち会釈した。
「リチャード殿下、私、ミタリア・アンブレラは用事を思い出しましたので、帰らせていただきます」
「また明日な、ミタリア」
(王子は、ほんとうに意地悪だ!)
べーっ!
「そんな可愛いことをしていたら、間に合わなくなるぞ」
「うっ、リチャード殿下の意地悪イケメン狼!」
子供の様なことを言い残して。私は王子とのデートを終わらせて従者に馬車を飛ばしてもらい、屋敷に大急ぎで戻っていた。
王子は私を婚約者だと言ったけど、まだ書類のやりとりを終えたわけではない。
(私が先に書類を受け取れば、まだ間に合う!)
従者に飛ばせる速度で帰ってもらった。
頑張ってくれた従者と馬にお礼を言って、馬車を飛び降りて、急いで屋敷の中に入った。
「お父様、お母様!」
両親を急いで探すと、お父様の書斎に二人はいた。
「ミタリア、お帰りなさい。先程、リチャード殿下から婚約申し込みの書類が、早馬で届いたわ」
「ミタリア、良かったな。書類にサインと判は押したからな」
(えっ、ええ⁉ 書類に判とサイン?︎)
私の馬車よりも早く、早馬は婚約の書類を両親に届けていた。
その書類を見た両親は大喜びしたもよう。
間に合わなかった……王子、仕事が早すぎ。
書類には両親の名前と、保証人の名前が書いてあった……保証人はご近所の虎叔父様に頼んだみたい。
あとは私のサインと判子を待つ、のみになっていた。
(もう、婚約を断りたいなんて言えない)
「さぁ、ミタリア」
「書類のここに名前を書くのだぞ」
「……はい」
大いに喜ぶ、二人に見守られながら書きました……とほほ。
書類を折り返しの早馬に渡して、夕食は婚約祝いのためか豪勢だった。両親は滅多に飲まない高級なワインを開けていた。
「ミタリア、幸せになるのよ」
「リチャード殿下に沢山愛してもらいなさい」
「う、うん、殿下が私を愛してくれるなら……ははっ」
(はぁーーお父様、お母様ごめんなさい。王子にはヒロインいるから、私が王子に愛されることはない……学園最後には婚約破棄されるわけだし)
ムズ……ムズムズする? ポリポリ……さっきから、お腹がむず痒い。
ポリポリ
(リチャード王子まさか? ノミで飼ってる? 俺がそんもん飼うか! て言いそう。常に澄まし顔で僕って言っていたのに、急に態度と俺に変わっていたし、笑っていた)
いつもは猫を被っていたのか、彼は王子だからかな。
「いやぁーめでたい、めでたい!」
「ほんと、めでたいわ!」
食事の終い頃に両親はワインを一本、仲良く飲み干して、食堂でダンスを踊りだした。
(いつまでも仲良いなぁ。私も結婚するなら、お父様の様な猫化で優しい人がいいなぁ)
ダンスとワインを楽しむ両親に「疲れたから、先に寝ます」と部屋に戻り。ナターシャにお風呂の準備をしてもらった。
+
脱衣所でドレスを脱いで驚いた。
「なっ、なに、これ?」
姿見に映る、自分のお腹の右下に赤いアザの様なものができていたーーこれが、むず痒いもと?
(いつ出来たの?)
このアザがどこで出来たのかもやもやして、お風呂もあまり楽しめずにあがった。ドレッサーの前で髪をナターシャに乾かしてもらっていた、鏡に映る彼女もまた私の婚約が嬉しそうだ。
「ミタリアお嬢様、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとう、ナターシャ」
「専属メイドを選ぶとき、私を選んでください」
(年頃に結婚もせず私の面倒ばかり見ていたんだ。ナターシャは結婚はいいですと言わず、王都でいい旦那様を見つけて欲しい)
「分かったわ、専属メイドはナターシャにするわね」
絶対ですよと、ナターシャと寝る前の挨拶を済ませて。ふかふかオフトゥンに転がり枕を胸に抱きしめた。
「まだ、お腹のアザがむず痒い」
ポリポリ……ふうっ私のあほな行動で――獣化とへそ天を王子に披露したばかりに。王子に気に入られたて、回避したかった婚約者になってしまった。
でも、あんなに喜ぶ両親の顔を見たら、婚約を無しにしたいだなんて言えないし。王子から婚約の申し込みだもの、突っぱねることは不敬罪にあたる。
「婚約者か……」
そう呟いた時。唇がプルプルして、涙がポロポロ溢れだした。それは私の中に芽生えた小さな感情が原因だ。
だって、思っちゃったんだもん。
獣化した狼王子の姿が余りにも素敵で、カッコ良かった。
前世、一番に推していた王子なんだもの。
「このまま好きになってしまったら、どうしよう?」
けして、実らない恋をすることになる。
私は前世の記憶で、婚約破棄されるって知っている。
自分の終わり方も勿論知っている。ほんとうは陰から二人を応援するつもりでいた。
いまもそう思っている。
(……そうだ、王子に学園に入学する前に嫌われよう。こんな奴とは婚約破棄したいと思われよう、それしかない)
王子を好きになる前に諦めよう。
大好きな、ふかふかオフトゥンの中で、そう決めたのだけど、
……む、むず痒い、ポリポリ。
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