(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

文字の大きさ
20 / 65

十八

しおりを挟む
 王妃殿下は犬族でゲームでは穏やかな見ためだったはず。陛下とは幼馴染で幼な頃からの婚約者。学園を卒業してすぐに2人は結婚して、1年後に王子を懐妊した。

 翌年――王子を産んだ後、王妃殿下は体を崩して15年間もの間、別荘で療養中。王子は乳母、メイドによって育てられた。

(本当なら、学園に入ってヒロインとここに来るはずだったけど、私の一言で悪役令嬢の私が来てしまった)

 この行動が――どう影響するのかはわからない。


 
 +



 馬車を降り、側近リル、従者、近衛騎士は応接間に通されて、私たちは王妃殿下の専属メイドに、部屋へと案内された。

 王妃殿下――15年経ったいまでもお体の調子が戻らないなんて、獣化する子を持つのは大変なことなんだ……、……あれっ? 私も獣化するけどお母様は元気だ。

 もしかすると狼と猫の体格の違い?  
 それとも能力の違いが関係している?

 いまは傷が早く治る能力だけど。16歳――大人の仲間入りをした時に、個々に能力が開花すると習っている。

「リチャード様、ミタリア様。こちらがサリア王妃の部屋です」

 メイドが王妃殿下の扉の前で足を止めて扉をノックした。すぐ、中から可憐な声が返ってきた、この声が王妃殿下の声なんだ。

 ゲームでは声がなかったから――感激する。ちなみに王子と私の声はゲームで聞いていたよりも若い感じで、王子は声変わりが終わったばかりかな?

 メイドが扉を開き、王子と私は部屋の中に通された。専属メイドは王妃殿下の命でお茶の支度に向かった。

「母上、失礼します」

「王妃殿下、ごきげんよ」

 部屋の中は天蓋付きベッド、テーブル、書斎、化粧台――棚の上には王子の幼な頃からのいまのお姿が描かれた、大きさがポストカードくらいの肖像画が、ずらりと並んでいた。

 スチルで見た派手な部屋とは異なる、淡いブルーで統一された落ち着きのある部屋だった。天蓋付きベッドの上に何故か、ブラッシングする為の高級な櫛が何本も置かれていた。

「遠い所までご苦労様、リチャード。初めましてミタリアさん」

 部屋のテーブルに着く、鋭い瞳の王子とは違い穏やかな瞳のサリア・ローランド王妃殿下。何故か――自己紹介する前から私の名前を知っていた。

「は、初めまして。サリア王妃殿下。リチャード様の婚約者に選ばれたアンブレラ公爵家の娘、ミタリアです」

 スカートを持って会釈した。

「ミタリアちゃん、座ったままでごめんなさいね。話によると、あなたも獣化するのよね」

「えっ、は、はい」

「ふふっ、リチャードとお揃いのブレスレットしている」

 ――王妃殿下、ちゃんと見てた!

「そのブレスレットは僕がミタリア嬢にプレゼントしました。それで――母上、お体の具合はどうですか?」

 王子は常にの堂々とした雰囲気ではなく、緊張しているみたい。

「イリア陛下に似てリチャードも優しいのね――あのね、私の体はもういいの」

「そ、そうなのですか?」

「本当は――リチャードの学園入学に合わせて戻る予定だったのですが。あのね、リチャード。この歳で恥ずかしいのだけど妊娠したの。いま3ヶ月ですって」


 ――王妃殿下が妊娠⁉︎ 
 
「おめでとうございます、王妃殿下」

「母上が妊娠! それはめでたいが、だ、誰の子をですか?」


 ――王子、それを聞く!
 

「まぁ、リチャードったらそんな酷いことを聞くの。もちろん陛下の子にですわ。あなたは知らないだろけど15年間――交信鏡で毎日話たり。毎月、満月の夜に狼姿の陛下とお会いしていたわ」

「えぇ! 15年もの間、母上が父上と交信鏡で話して、満月の夜に会っていた? そんなこと父上から聞いたことがない。いつ母上のことを聞いても「お前は気にしなくていい」としか言わなかった――」

 ――それは酷い。

 でも王妃殿下は困りながら微笑み。

「まったく陛下は言葉足らずね。多分、私は大丈夫だから心配するなって言いたかったのよ。交信鏡でも、ここに来ても――あなたの話ばかり。リチャードがハイハイしたとか、リチャードが立って歩いた。パパとママと俺たちを呼んだ――身長が伸びた、近ごろ、リチャードが婚約者を決めた――その子に夢中のようだってね」

 ――婚約者に夢中⁉︎

「婚約してから僕たちは部屋で過ごしていた。それなのに僕がミタリアに夢中だと知っている。父上は――ご自分の特殊部隊を使い、僕たちの見張りをしていた」

 ――特殊部隊? 

「だから母上も、ミタリアが獣化することを知っていたんですね」

「ごめんなさいね――獣人にとって獣化種は希少な存在。ちょっとの油断で誘拐、監禁されてしまうの。2人が心配で陛下は見ていたのね。だって――あなた達はお互いを信頼して獣化し過ぎです」

「信頼ですか? 僕はミタリアを信頼していますが、ミタリアは僕を信頼してる?」

 ――えっ、私?

「わ、私は――信頼とか、まだ分からないですけど。リチャード様の側は安心するし、ほっとする」

「ミタリア――」

 喜んだ王子に王妃殿下の前で、キツく抱きしめられた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

断罪予定の悪役令嬢ですが、王都でカフェを開いたら婚約者の王太子が常連になりました

由香
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気付く。 このままでは一年後の夜会で婚約破棄され、断罪された上で国外追放されてしまう運命だ。 「――だったら、その前に稼げばいいわ!」 前世の記憶を頼りに、王都の裏通りで小さなカフェを開くことにしたエリザベート。 コーヒーやケーキは評判となり、店は少しずつ人気店へと成長していく。 そんなある日、店に一人の青年が現れる。 落ち着いた雰囲気のその客は、毎日のように通う常連になった。 しかし彼の正体は――なんと婚約者である王太子レオンハルトだった!? 破滅回避のために始めたカフェ経営が、やがて運命を変えていく。 これは、悪役令嬢が小さなカフェから幸せを掴む ほのぼのカフェ経営×溺愛ロマンスストーリー。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

何やってんのヒロイン

ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。 自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。 始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・ それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。 そんな中とうとうヒロインが入学する年に。 ・・・え、ヒロイン何してくれてんの? ※本編・番外編完結。小話待ち。

処理中です...