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十八
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王妃殿下は犬族でゲームでは穏やかな見ためだったはず。陛下とは幼馴染で幼な頃からの婚約者。学園を卒業してすぐに2人は結婚して、1年後に王子を懐妊した。
翌年――王子を産んだ後、王妃殿下は体を崩して15年間もの間、別荘で療養中。王子は乳母、メイドによって育てられた。
(本当なら、学園に入ってヒロインとここに来るはずだったけど、私の一言で悪役令嬢の私が来てしまった)
この行動が――どう影響するのかはわからない。
+
馬車を降り、側近リル、従者、近衛騎士は応接間に通されて、私たちは王妃殿下の専属メイドに、部屋へと案内された。
王妃殿下――15年経ったいまでもお体の調子が戻らないなんて、獣化する子を持つのは大変なことなんだ……、……あれっ? 私も獣化するけどお母様は元気だ。
もしかすると狼と猫の体格の違い?
それとも能力の違いが関係している?
いまは傷が早く治る能力だけど。16歳――大人の仲間入りをした時に、個々に能力が開花すると習っている。
「リチャード様、ミタリア様。こちらがサリア王妃の部屋です」
メイドが王妃殿下の扉の前で足を止めて扉をノックした。すぐ、中から可憐な声が返ってきた、この声が王妃殿下の声なんだ。
ゲームでは声がなかったから――感激する。ちなみに王子と私の声はゲームで聞いていたよりも若い感じで、王子は声変わりが終わったばかりかな?
メイドが扉を開き、王子と私は部屋の中に通された。専属メイドは王妃殿下の命でお茶の支度に向かった。
「母上、失礼します」
「王妃殿下、ごきげんよ」
部屋の中は天蓋付きベッド、テーブル、書斎、化粧台――棚の上には王子の幼な頃からのいまのお姿が描かれた、大きさがポストカードくらいの肖像画が、ずらりと並んでいた。
スチルで見た派手な部屋とは異なる、淡いブルーで統一された落ち着きのある部屋だった。天蓋付きベッドの上に何故か、ブラッシングする為の高級な櫛が何本も置かれていた。
「遠い所までご苦労様、リチャード。初めましてミタリアさん」
部屋のテーブルに着く、鋭い瞳の王子とは違い穏やかな瞳のサリア・ローランド王妃殿下。何故か――自己紹介する前から私の名前を知っていた。
「は、初めまして。サリア王妃殿下。リチャード様の婚約者に選ばれたアンブレラ公爵家の娘、ミタリアです」
スカートを持って会釈した。
「ミタリアちゃん、座ったままでごめんなさいね。話によると、あなたも獣化するのよね」
「えっ、は、はい」
「ふふっ、リチャードとお揃いのブレスレットしている」
――王妃殿下、ちゃんと見てた!
「そのブレスレットは僕がミタリア嬢にプレゼントしました。それで――母上、お体の具合はどうですか?」
王子は常にの堂々とした雰囲気ではなく、緊張しているみたい。
「イリア陛下に似てリチャードも優しいのね――あのね、私の体はもういいの」
「そ、そうなのですか?」
「本当は――リチャードの学園入学に合わせて戻る予定だったのですが。あのね、リチャード。この歳で恥ずかしいのだけど妊娠したの。いま3ヶ月ですって」
――王妃殿下が妊娠⁉︎
「おめでとうございます、王妃殿下」
「母上が妊娠! それはめでたいが、だ、誰の子をですか?」
――王子、それを聞く!
「まぁ、リチャードったらそんな酷いことを聞くの。もちろん陛下の子にですわ。あなたは知らないだろけど15年間――交信鏡で毎日話たり。毎月、満月の夜に狼姿の陛下とお会いしていたわ」
「えぇ! 15年もの間、母上が父上と交信鏡で話して、満月の夜に会っていた? そんなこと父上から聞いたことがない。いつ母上のことを聞いても「お前は気にしなくていい」としか言わなかった――」
――それは酷い。
でも王妃殿下は困りながら微笑み。
「まったく陛下は言葉足らずね。多分、私は大丈夫だから心配するなって言いたかったのよ。交信鏡でも、ここに来ても――あなたの話ばかり。リチャードがハイハイしたとか、リチャードが立って歩いた。パパとママと俺たちを呼んだ――身長が伸びた、近ごろ、リチャードが婚約者を決めた――その子に夢中のようだってね」
――婚約者に夢中⁉︎
「婚約してから僕たちは部屋で過ごしていた。それなのに僕がミタリアに夢中だと知っている。父上は――ご自分の特殊部隊を使い、僕たちの見張りをしていた」
――特殊部隊?
「だから母上も、ミタリアが獣化することを知っていたんですね」
「ごめんなさいね――獣人にとって獣化種は希少な存在。ちょっとの油断で誘拐、監禁されてしまうの。2人が心配で陛下は見ていたのね。だって――あなた達はお互いを信頼して獣化し過ぎです」
「信頼ですか? 僕はミタリアを信頼していますが、ミタリアは僕を信頼してる?」
――えっ、私?
「わ、私は――信頼とか、まだ分からないですけど。リチャード様の側は安心するし、ほっとする」
「ミタリア――」
喜んだ王子に王妃殿下の前で、キツく抱きしめられた。
翌年――王子を産んだ後、王妃殿下は体を崩して15年間もの間、別荘で療養中。王子は乳母、メイドによって育てられた。
(本当なら、学園に入ってヒロインとここに来るはずだったけど、私の一言で悪役令嬢の私が来てしまった)
この行動が――どう影響するのかはわからない。
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馬車を降り、側近リル、従者、近衛騎士は応接間に通されて、私たちは王妃殿下の専属メイドに、部屋へと案内された。
王妃殿下――15年経ったいまでもお体の調子が戻らないなんて、獣化する子を持つのは大変なことなんだ……、……あれっ? 私も獣化するけどお母様は元気だ。
もしかすると狼と猫の体格の違い?
それとも能力の違いが関係している?
いまは傷が早く治る能力だけど。16歳――大人の仲間入りをした時に、個々に能力が開花すると習っている。
「リチャード様、ミタリア様。こちらがサリア王妃の部屋です」
メイドが王妃殿下の扉の前で足を止めて扉をノックした。すぐ、中から可憐な声が返ってきた、この声が王妃殿下の声なんだ。
ゲームでは声がなかったから――感激する。ちなみに王子と私の声はゲームで聞いていたよりも若い感じで、王子は声変わりが終わったばかりかな?
メイドが扉を開き、王子と私は部屋の中に通された。専属メイドは王妃殿下の命でお茶の支度に向かった。
「母上、失礼します」
「王妃殿下、ごきげんよ」
部屋の中は天蓋付きベッド、テーブル、書斎、化粧台――棚の上には王子の幼な頃からのいまのお姿が描かれた、大きさがポストカードくらいの肖像画が、ずらりと並んでいた。
スチルで見た派手な部屋とは異なる、淡いブルーで統一された落ち着きのある部屋だった。天蓋付きベッドの上に何故か、ブラッシングする為の高級な櫛が何本も置かれていた。
「遠い所までご苦労様、リチャード。初めましてミタリアさん」
部屋のテーブルに着く、鋭い瞳の王子とは違い穏やかな瞳のサリア・ローランド王妃殿下。何故か――自己紹介する前から私の名前を知っていた。
「は、初めまして。サリア王妃殿下。リチャード様の婚約者に選ばれたアンブレラ公爵家の娘、ミタリアです」
スカートを持って会釈した。
「ミタリアちゃん、座ったままでごめんなさいね。話によると、あなたも獣化するのよね」
「えっ、は、はい」
「ふふっ、リチャードとお揃いのブレスレットしている」
――王妃殿下、ちゃんと見てた!
「そのブレスレットは僕がミタリア嬢にプレゼントしました。それで――母上、お体の具合はどうですか?」
王子は常にの堂々とした雰囲気ではなく、緊張しているみたい。
「イリア陛下に似てリチャードも優しいのね――あのね、私の体はもういいの」
「そ、そうなのですか?」
「本当は――リチャードの学園入学に合わせて戻る予定だったのですが。あのね、リチャード。この歳で恥ずかしいのだけど妊娠したの。いま3ヶ月ですって」
――王妃殿下が妊娠⁉︎
「おめでとうございます、王妃殿下」
「母上が妊娠! それはめでたいが、だ、誰の子をですか?」
――王子、それを聞く!
「まぁ、リチャードったらそんな酷いことを聞くの。もちろん陛下の子にですわ。あなたは知らないだろけど15年間――交信鏡で毎日話たり。毎月、満月の夜に狼姿の陛下とお会いしていたわ」
「えぇ! 15年もの間、母上が父上と交信鏡で話して、満月の夜に会っていた? そんなこと父上から聞いたことがない。いつ母上のことを聞いても「お前は気にしなくていい」としか言わなかった――」
――それは酷い。
でも王妃殿下は困りながら微笑み。
「まったく陛下は言葉足らずね。多分、私は大丈夫だから心配するなって言いたかったのよ。交信鏡でも、ここに来ても――あなたの話ばかり。リチャードがハイハイしたとか、リチャードが立って歩いた。パパとママと俺たちを呼んだ――身長が伸びた、近ごろ、リチャードが婚約者を決めた――その子に夢中のようだってね」
――婚約者に夢中⁉︎
「婚約してから僕たちは部屋で過ごしていた。それなのに僕がミタリアに夢中だと知っている。父上は――ご自分の特殊部隊を使い、僕たちの見張りをしていた」
――特殊部隊?
「だから母上も、ミタリアが獣化することを知っていたんですね」
「ごめんなさいね――獣人にとって獣化種は希少な存在。ちょっとの油断で誘拐、監禁されてしまうの。2人が心配で陛下は見ていたのね。だって――あなた達はお互いを信頼して獣化し過ぎです」
「信頼ですか? 僕はミタリアを信頼していますが、ミタリアは僕を信頼してる?」
――えっ、私?
「わ、私は――信頼とか、まだ分からないですけど。リチャード様の側は安心するし、ほっとする」
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喜んだ王子に王妃殿下の前で、キツく抱きしめられた。
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