(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

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三十 ブラッシングと撫で撫で

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 終始、ご機嫌な王子との夕食を終えて客間で寝る準備をしていた。
 ワンピースの時も思ったけど、ネグリジェも女の子らしい薄ピンク色。

(……私、こんなに可愛い、ネグリジェは持ってない)

「ミタリア様、ネグリジェと髪型はどうでしょうか?」

「これでいいわ、ありがとう」

 王子が呼んでくれたメイドにお風呂と、着替えを手伝ってもらい、ふかふか高級オフトゥンに潜り込んで、ふかふかと包み込まれる気持ちよさを楽しんでいた。

 マシュマロのような、ふかふか高級オフトゥンは触り心地、寝心地、最高だった。

「……、……あれ?」

 いつもなら、ふかふか高級オフトゥンに潜ったれすぐに寝れるのに、今日にかぎっては目が冴えていた。

(いくらたっても、お腹のむずむずが治らない……王子に甘やかして欲しい、撫で撫でして欲しい要求は治らないけど……深夜に部屋に出向くのはなにか違う。このまま寝てしまえば明日には治ってるかも……)

 と、自分に言い聞かせた。

「では、ミタリア様、おやすみなさいませ」

「ありがとうございました、おやすみなさい」

 メイドが客間から下がり1人になる部屋。
 しかし、私は眠れず、高級オフトゥンの中でゴロゴロしていた。


 その突如、外で声が聞こえてきた。


「リチャード様、ミタリア様は既にお休みになられました。お待ちください」

 慌てる側近リルの声。そして、乱暴に開いた客間の扉と狼のシルエット。

「だっ、誰? ……もしかして、リチャード様?」

「そうだ、俺だミタリア、中には入らせてもらう。リル、いまから婚約者との時間だ――お前は下がれ!」

「……かしこまりました、リチャード様」

 これ以上は王子に言い返せず、下がった側近リルだけど――王子を警備する騎士は客間の扉前に呼んだはずだ。

 こんな時間に王子は何をしに来たの? と王子を見たところ、彼は何かを口に咥えていた。

「あの、リチャード様はこんな夜更けに、どうされたのですか?」

 と聞くと、私のベッドに咥えて来たものを置き。

「……ミタリア、頼む、その櫛で、俺を、俺をブラッシングしてくれないか!」

 と、王子が声を上げた、







 客間に狼王子と私。

「ブラッシングですか?」

「そうだ、ブラッシングしてくれ。ミタリアにブラッシングして欲しくて、たまらないんだ!」

 王子の急な要求。私が王子に撫でられたいと思っているのと同じ? こんな気持ちになっているのは私だけじゃないんだ。

「ミタリア、何を笑っているんだ?」

「あ、すみません。リチャード様が、私と同じだと思って」

「え? 俺と同じ?」

 王子の青い瞳が私を見つめた。
 こうなったら……正直に告白しよう。

「私も王子に撫でられたくて、甘やかされたくて仕方がないんです」

 ヘヘッと、照れて変な笑い方をした。

 撫でらたいと、告白した後から喋らなくなった王子を見ると、口をポカーンと開けたまま固まる狼がいた。







 客間のベッドの上に寝そべる狼に、私はブラッシングしていた。

「リチャード様の毛ってさらさらで気持ちいいですね。ブラッシングはどうですか? 気持ちいですか?」

「あぁ、初めてのブラッシング……凄くいい! むずむずが落ち着いてくる……すー……すーっ」

「ね、寝ちゃだめです、リチャード様。私の撫で撫でが終わるまで、いくら気持ちがよくても寝ないで!」

「おっ、そうであった……しかし、なんとも言えぬ心地よさだ」

 その後――ブラッシング中に寝落ちしそうな、王子をなんとか寝かせず、私の撫で撫での時間が始まった。

(もちろん、王子は元の姿に戻って服を着てもらい、私は猫の姿でだ)

 頭は勿論、耳の裏、頬、顎の下と背中。お尻と尻尾、お腹を触るのはNGだ。

 撫で、撫で。

 王子に撫で撫でされると、お腹のむずむずは止まり、ぽわっと暖かくなるような気がした。

「にゃぁ~これはいいにゃ、堪らないにゃ」

「そうか、ミタリア。次は頬がいいのか? ん? 顎の下か?」

 王子に撫でられてゴロゴロ喉が鳴る。さっきまで眠れないと思っていた、眠気がやってくる。

「ミタリア、眠かったら寝ていいぞ。俺も寝るから」

 撫でられながら、うとうとする私に寝ていいという。

「お言葉に甘えますにゃ……って、リチャード様はどこで寝るにゃ? 部屋に戻るの?」

「いや、ここだけど?」

 普通にこたえる王子に、ダメだと追い返そうとしたが。王子の撫で撫でと、ふかふか高級オフトゥンの寝心地に負けた。

 次の日、目覚めると狼王子のもふもふな胸の中で、猫の姿で丸まって寝ていた。
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