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第一章
20話
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早朝、庭でアール君とホウキに乗る訓練を始めた。
「アール君、見ていて」
「エルバ様、お気を付けて」
ママに乗り方を習って、竹ぼうきに乗る練習を始めてから、一ヶ月は経っている。
はじめのうちは魔力のコントロールが上手くいかず。雲よりも高く飛び、ほうきだけ飛ぶ、などのハプニングもあったけど。
(どうにか、さまになってきたんじゃないかな?)
もう少し上手く魔力を操れる様になれば、ホウキでエルブ原っぱまで、五分もかからずに飛んで行ける。そして、いつの日かアール君と旅に出て、外の世界を見てまわりたい。
まあ、パパとママが許してくれたらだけど。
「アール君、どう? ホウキに乗れてる?」
庭でバランスをとりながら、ホウキに乗りフワフワ浮いていた。
「そうですね。まだ、僕の補助が必要ですが。はじめの頃よりは魔力が安定してきましたね。いまなら魔法を使っても前の様に暴発しないでしょう……しかし、エルバ様の気持ち次第で、魔法の威力が変わるかもしれませんが」
「気持ち次第……そうだよね」
(私がホウキに乗る、魔法を使うときは、常にアール君の補助付き、彼に助けてもらっている)
どうしても魔法を使うときに興奮、緊張と焦りがでてしまい、魔法を暴発させてしまう。……いまから、私が魔法を使うぞ! と思うだけで気分があがる。
それを抑えれば、なんとかなのだけど。
まだ、気持ちの高ぶりの方が勝つ。
「……ハァ、訓練がまだまだ必要だね」
魔力をけし、ホウキから降りる。
「でしたら、エルバ様が魔法を使わなくてもいいよう、僕が頑張ります」
「えーそれは助かるけど……私も魔法を使いたい」
「なら、訓練あるのみです」
「わかった、がんばる!」
アール君にみてもらいながら、そのあともほうきに乗った。しばらくして、魔力はきれていないけど……私の集中力がきれ、ホウキが安定しなくなる。
それの様子を見て、アール君に止められた。
「エルバ様、集中力が切れて魔力が乱れています。ストップしてください」
と、アール君の声の後に、ホウキと一緒にストンと庭に尻餅をついた。魔力切れならぬ、集中力切れ……お尻を叩きながら、立ち上がり深呼吸した。
「ふうっ……疲れた。アール君、訓練前に冷やし庫に冷やしておいた、シュワシュワ飲みに行こう!」
「ええ、行きましょう。ママ様が作った甘イチゴンのジャムをいれた、シュワシュワが飲みたいです」
「イチゴンのジャム入りシュワシュワかぁ、いいね」
イチゴンのジャムを入れると――シュワシュワがほんのり赤く染まり、甘くて美味しくなる。このイチゴンもママが温室で栽培したものだから、博士からタネは貰えていない。
好物のミカン、桃、ブドウなどの果物を見つけたい。
❀
「ねぇ、アール君、午後は書庫で本を読む?」
「いいですね、そうしましょう」
ホウキを庭の魔導具入れに片付けて、休憩をしにアール君と家に戻ると、ママが調合室から血相を変えて玄関まで飛んできた。
「ママ、何かあったの?」
「エルバ、アール君、悪いのだけど……キリ草をエルブの原っぱから、採ってきて欲しいの」
(キリ草?)
確か、魔法水と混ぜれば傷薬になる薬草だ。ママのこの慌てようは、ただことではない。
「ママ、キリ草はどれくらい、いるの?」
「今、他の人にも頼んでいるのだけど……なかなか集まらないの。エルブ原っぱに生えているだけ欲しいわ」
(原っぱに生えているだけ?)
「わかった、出来るだけたくさんのキリ草がいるんだね」
キリ草は発見済みだから、エルブの原っぱに行かなくても採取できる……でも、エルバの畑から採取すれば『きっと』ママとアール君は驚くだろう。
(どうする?)
「2人とも気をつけて行くのよ。アール君、エルバをお願いね」
「かしこまりました。さあ、エルバ様、向かいましょう」
「…………」
たくさんのキリ草がいるということは、怪我人が大勢でたんだ。
(迷ってなんかいられない!)
「ママ、アール君、エルブ原っぱに行かなくても大丈夫だよ。いまから、キリ草をだすね!『【エルバの畑オープン】』」
「え? エルバの畑?」
「エルバ様の畑?」
目の前に自分だけが見える、エルバの畑の画面をだして、キリ草を何度かタップした。すると一束にまとまった、キリ草が目の前に"ポフッ"と現れる。
「これで一束か……ママ、あと、どれくらいのキリ草がいるの?」
「……あと、二十束もあれば助かるわ」
二十束か……その数だと少し時間がかかる。
博士、畑いっぱいにキリ草を生やしたいのだけど、どうすればいい?
《空いている畑にキリ草のタネを植え。キリ草をタップしたままスライドしてください》
空いている畑、スライド? わかった。
キリ草のタネを頂戴。
《かしこまりました。エルバ様、キリ草のタネです》
博士から種をもらい。教えてくれたと通り新しいページまでめくり、貰った畑にキリ草のタネを植えて、タップしたままスライドさせた。
畑にポンポン、キリ草の新芽が生える。
(おお畑一面にキリ草が生えた! この数なら、一気にキリ草を集められる)
博士ありがとう。
エルバの畑に生えたキリ草を、つぎつき画面を押して採取した。私の前に採取された、キリ草がポンポンと束になって現れる。
その様子をみていたママ、アール君。
「エルバ様、凄い」
「エルバ、あなた……」
「ママ、説明は後――このキリ草を使って、手伝えることがあれば手伝うから」
エルバの畑で採れた、二十束のキリ草をママに渡した。
「あ、ありがとう……エルバは調合室で空いている水瓶に水魔法で魔法水を出して、その間に私はキリ草をすり潰すわ」
「ママ様。キリ草をすり潰す、手伝いを致します」
「アール君、ありがとう。エルバ、頼んだわよ」
「まかせて!」
私達は調合室に向かった。
「アール君、見ていて」
「エルバ様、お気を付けて」
ママに乗り方を習って、竹ぼうきに乗る練習を始めてから、一ヶ月は経っている。
はじめのうちは魔力のコントロールが上手くいかず。雲よりも高く飛び、ほうきだけ飛ぶ、などのハプニングもあったけど。
(どうにか、さまになってきたんじゃないかな?)
もう少し上手く魔力を操れる様になれば、ホウキでエルブ原っぱまで、五分もかからずに飛んで行ける。そして、いつの日かアール君と旅に出て、外の世界を見てまわりたい。
まあ、パパとママが許してくれたらだけど。
「アール君、どう? ホウキに乗れてる?」
庭でバランスをとりながら、ホウキに乗りフワフワ浮いていた。
「そうですね。まだ、僕の補助が必要ですが。はじめの頃よりは魔力が安定してきましたね。いまなら魔法を使っても前の様に暴発しないでしょう……しかし、エルバ様の気持ち次第で、魔法の威力が変わるかもしれませんが」
「気持ち次第……そうだよね」
(私がホウキに乗る、魔法を使うときは、常にアール君の補助付き、彼に助けてもらっている)
どうしても魔法を使うときに興奮、緊張と焦りがでてしまい、魔法を暴発させてしまう。……いまから、私が魔法を使うぞ! と思うだけで気分があがる。
それを抑えれば、なんとかなのだけど。
まだ、気持ちの高ぶりの方が勝つ。
「……ハァ、訓練がまだまだ必要だね」
魔力をけし、ホウキから降りる。
「でしたら、エルバ様が魔法を使わなくてもいいよう、僕が頑張ります」
「えーそれは助かるけど……私も魔法を使いたい」
「なら、訓練あるのみです」
「わかった、がんばる!」
アール君にみてもらいながら、そのあともほうきに乗った。しばらくして、魔力はきれていないけど……私の集中力がきれ、ホウキが安定しなくなる。
それの様子を見て、アール君に止められた。
「エルバ様、集中力が切れて魔力が乱れています。ストップしてください」
と、アール君の声の後に、ホウキと一緒にストンと庭に尻餅をついた。魔力切れならぬ、集中力切れ……お尻を叩きながら、立ち上がり深呼吸した。
「ふうっ……疲れた。アール君、訓練前に冷やし庫に冷やしておいた、シュワシュワ飲みに行こう!」
「ええ、行きましょう。ママ様が作った甘イチゴンのジャムをいれた、シュワシュワが飲みたいです」
「イチゴンのジャム入りシュワシュワかぁ、いいね」
イチゴンのジャムを入れると――シュワシュワがほんのり赤く染まり、甘くて美味しくなる。このイチゴンもママが温室で栽培したものだから、博士からタネは貰えていない。
好物のミカン、桃、ブドウなどの果物を見つけたい。
❀
「ねぇ、アール君、午後は書庫で本を読む?」
「いいですね、そうしましょう」
ホウキを庭の魔導具入れに片付けて、休憩をしにアール君と家に戻ると、ママが調合室から血相を変えて玄関まで飛んできた。
「ママ、何かあったの?」
「エルバ、アール君、悪いのだけど……キリ草をエルブの原っぱから、採ってきて欲しいの」
(キリ草?)
確か、魔法水と混ぜれば傷薬になる薬草だ。ママのこの慌てようは、ただことではない。
「ママ、キリ草はどれくらい、いるの?」
「今、他の人にも頼んでいるのだけど……なかなか集まらないの。エルブ原っぱに生えているだけ欲しいわ」
(原っぱに生えているだけ?)
「わかった、出来るだけたくさんのキリ草がいるんだね」
キリ草は発見済みだから、エルブの原っぱに行かなくても採取できる……でも、エルバの畑から採取すれば『きっと』ママとアール君は驚くだろう。
(どうする?)
「2人とも気をつけて行くのよ。アール君、エルバをお願いね」
「かしこまりました。さあ、エルバ様、向かいましょう」
「…………」
たくさんのキリ草がいるということは、怪我人が大勢でたんだ。
(迷ってなんかいられない!)
「ママ、アール君、エルブ原っぱに行かなくても大丈夫だよ。いまから、キリ草をだすね!『【エルバの畑オープン】』」
「え? エルバの畑?」
「エルバ様の畑?」
目の前に自分だけが見える、エルバの畑の画面をだして、キリ草を何度かタップした。すると一束にまとまった、キリ草が目の前に"ポフッ"と現れる。
「これで一束か……ママ、あと、どれくらいのキリ草がいるの?」
「……あと、二十束もあれば助かるわ」
二十束か……その数だと少し時間がかかる。
博士、畑いっぱいにキリ草を生やしたいのだけど、どうすればいい?
《空いている畑にキリ草のタネを植え。キリ草をタップしたままスライドしてください》
空いている畑、スライド? わかった。
キリ草のタネを頂戴。
《かしこまりました。エルバ様、キリ草のタネです》
博士から種をもらい。教えてくれたと通り新しいページまでめくり、貰った畑にキリ草のタネを植えて、タップしたままスライドさせた。
畑にポンポン、キリ草の新芽が生える。
(おお畑一面にキリ草が生えた! この数なら、一気にキリ草を集められる)
博士ありがとう。
エルバの畑に生えたキリ草を、つぎつき画面を押して採取した。私の前に採取された、キリ草がポンポンと束になって現れる。
その様子をみていたママ、アール君。
「エルバ様、凄い」
「エルバ、あなた……」
「ママ、説明は後――このキリ草を使って、手伝えることがあれば手伝うから」
エルバの畑で採れた、二十束のキリ草をママに渡した。
「あ、ありがとう……エルバは調合室で空いている水瓶に水魔法で魔法水を出して、その間に私はキリ草をすり潰すわ」
「ママ様。キリ草をすり潰す、手伝いを致します」
「アール君、ありがとう。エルバ、頼んだわよ」
「まかせて!」
私達は調合室に向かった。
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