44 / 59
44話 緊急事態
しおりを挟む
「こ、これは・・・。竜の呪い・・・?」
クリードの手の甲を見て、俺は愕然とした。
「何故、今頃になって俺にも現れたのかわからないが、まず、お前に見せたくてやって来たのだ。」
「苦痛は?」
「まだ感じていないが、それも時間の問題・・・ううっ、く、苦しい・・・」
クリードが胸を押さえて突然倒れた。
呪いの苦痛が現れたのだ。
俺は倒れたクリードを担ぎ上げ、ベッドに寝かせた。
クリードは顔を歪めて、うめき声をあげながら苦痛に耐えている。
俺はこの苦しみを知っている。
まともに息ができないほど、正気でいられないほどの、苦痛が俺を襲ったのだから。
だが、俺はエクレーヌのお陰で、その苦痛から救われた。
「今すぐエク・・・」
今すぐエクレーヌを呼んで来ると言いかけた瞬間、俺の心の中で悪魔が囁いた。
お前、エクレーヌに、あの治療をさせるつもりなのか?
相手はクリードだぞ、本当にそれでも良いのか?
放っておけば、クリードは死ぬ・・・。
そしたら、エクレーヌはお前のものになるじゃないか・・・。
放っておけ、放っておけ・・・
放って・・・
「うるさい!黙れ!」
俺は大声で叫んだ。
クリードは苦しみながら、そんな俺を見て驚いている。
「すまない。驚かせたな。お前に言ったのではない。俺の卑怯な心に活を入れたのだ。今すぐエクレーヌを呼んで来る。」
俺は泣きたい気持ちで馬車に乗り、エクレーヌを迎えに行った。
俺には、親友を見捨てることはできなかった。
子どもの頃からずっと一緒にいた友であり、心の許せる唯一の親友。
剣の修行で苦しかった時も、一緒に切磋琢磨してお互いを磨きあった。
あいつは生涯のライバルであり、死ぬまで助け合える友なのだ。
それに・・・、クリードはエクレーヌが愛する男なのだ。
クリードが死んだら、彼女が悲しむ。
彼女の悲しむ顔を見たら、俺は一生後悔するだろう。
だから、だから俺は・・・
俺は侯爵邸の門をたたいた。
俺の姿を見て、侯爵邸の皆が慌てふためいている。
「今すぐエクレーヌの部屋に!」
使用人に頼んで、直接彼女の部屋に向かった。
「エクレーヌ、緊急事態だ。マントを持って今すぐ俺の部屋に来て欲しい。クリードの命がかかっている!」
エクレーヌは真っ青になって、俺と一緒に馬車に乗った。
クリードのことが、心配でたまらないのだろう。
ああ、俺は、俺の想いを諦めなければならないのか・・・。
馬車を降りたら、エクレーヌはマントを着けてクリードになった。
エクレーヌがクリードの姿になるところなんて、見たくなかった。
だが、今は俺の私的な感情に流されている場合ではない。
俺とエクレーヌは、クリードが待つ俺の部屋へと急いだ。
寝室に入ると、クリードはベッドの上で、胸を押さえて苦しんでいた。
「クリード、エクレーヌを連れてきた。今から治療を始めてもらうぞ。」
クリードの手の甲を見て、俺は愕然とした。
「何故、今頃になって俺にも現れたのかわからないが、まず、お前に見せたくてやって来たのだ。」
「苦痛は?」
「まだ感じていないが、それも時間の問題・・・ううっ、く、苦しい・・・」
クリードが胸を押さえて突然倒れた。
呪いの苦痛が現れたのだ。
俺は倒れたクリードを担ぎ上げ、ベッドに寝かせた。
クリードは顔を歪めて、うめき声をあげながら苦痛に耐えている。
俺はこの苦しみを知っている。
まともに息ができないほど、正気でいられないほどの、苦痛が俺を襲ったのだから。
だが、俺はエクレーヌのお陰で、その苦痛から救われた。
「今すぐエク・・・」
今すぐエクレーヌを呼んで来ると言いかけた瞬間、俺の心の中で悪魔が囁いた。
お前、エクレーヌに、あの治療をさせるつもりなのか?
相手はクリードだぞ、本当にそれでも良いのか?
放っておけば、クリードは死ぬ・・・。
そしたら、エクレーヌはお前のものになるじゃないか・・・。
放っておけ、放っておけ・・・
放って・・・
「うるさい!黙れ!」
俺は大声で叫んだ。
クリードは苦しみながら、そんな俺を見て驚いている。
「すまない。驚かせたな。お前に言ったのではない。俺の卑怯な心に活を入れたのだ。今すぐエクレーヌを呼んで来る。」
俺は泣きたい気持ちで馬車に乗り、エクレーヌを迎えに行った。
俺には、親友を見捨てることはできなかった。
子どもの頃からずっと一緒にいた友であり、心の許せる唯一の親友。
剣の修行で苦しかった時も、一緒に切磋琢磨してお互いを磨きあった。
あいつは生涯のライバルであり、死ぬまで助け合える友なのだ。
それに・・・、クリードはエクレーヌが愛する男なのだ。
クリードが死んだら、彼女が悲しむ。
彼女の悲しむ顔を見たら、俺は一生後悔するだろう。
だから、だから俺は・・・
俺は侯爵邸の門をたたいた。
俺の姿を見て、侯爵邸の皆が慌てふためいている。
「今すぐエクレーヌの部屋に!」
使用人に頼んで、直接彼女の部屋に向かった。
「エクレーヌ、緊急事態だ。マントを持って今すぐ俺の部屋に来て欲しい。クリードの命がかかっている!」
エクレーヌは真っ青になって、俺と一緒に馬車に乗った。
クリードのことが、心配でたまらないのだろう。
ああ、俺は、俺の想いを諦めなければならないのか・・・。
馬車を降りたら、エクレーヌはマントを着けてクリードになった。
エクレーヌがクリードの姿になるところなんて、見たくなかった。
だが、今は俺の私的な感情に流されている場合ではない。
俺とエクレーヌは、クリードが待つ俺の部屋へと急いだ。
寝室に入ると、クリードはベッドの上で、胸を押さえて苦しんでいた。
「クリード、エクレーヌを連れてきた。今から治療を始めてもらうぞ。」
16
あなたにおすすめの小説
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました
ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。
幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果
景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。
ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。
「俺……ステラと離れたくない」
そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。
「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」
そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。
それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。
勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。
戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──?
誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。
続・ド派手な髪の男にナンパされたらそのまま溺愛されました
かほなみり
恋愛
『ド派手な髪の男にナンパされたらそのまま溺愛されました』、『ド派手な髪の男がナンパしたら愛する女を手に入れました』の続編です。こちらをお読みいただいた方が分かりやすくなっています。ついに新婚生活を送ることになった二人の、思うようにいかない日々のお話です。
ハードモードな異世界で生き抜いてたら敵国の将軍に捕まったのですが
影原
恋愛
異世界転移しても誰にも助けられることなく、厳しい生活を送っていたルリ。ある日、治癒師の力に目覚めたら、聖堂に連れていかれ、さらには金にがめつい師によって、戦場に派遣されてしまう。
ああ、神様、お助けください! なんて信じていない神様に祈りを捧げながら兵士を治療していたら、あれこれあって敵国の将軍に捕まっちゃった話。
敵国の将軍×異世界転移してハードモードな日々を送る女
-------------------
続以降のあらすじ。
同じ日本から来たらしい聖女。そんな聖女と一緒に帰れるかもしれない、そんな希望を抱いたら、木っ端みじんに希望が砕け散り、予定調和的に囲い込まれるハードモード異世界話です。
前半は主人公視点、後半はダーリオ視点。
獅子の最愛〜獣人団長の執着〜
水無月瑠璃
恋愛
獅子の獣人ライアンは領地の森で魔物に襲われそうになっている女を助ける。助けた女は気を失ってしまい、邸へと連れて帰ることに。
目を覚ました彼女…リリは人化した獣人の男を前にすると様子がおかしくなるも顔が獅子のライアンは平気なようで抱きついて来る。
女嫌いなライアンだが何故かリリには抱きつかれても平気。
素性を明かさないリリを保護することにしたライアン。
謎の多いリリと初めての感情に戸惑うライアン、2人の行く末は…
ヒーローはずっとライオンの姿で人化はしません。
侯爵令嬢ヴェロニカの推し活~義弟の恋を応援していたはずが、最初から逃げ場はありませんでした~
春野ふぶき
恋愛
貴族の家督は男子のみが継げる世界。
侯爵家の一人娘ヴェロニカは、家を継ぐために迎えられた義弟ルートヴェルを、前世日本人の感覚で「推し」として崇拝していた。
容姿端麗で完璧な義弟には、いずれふさわしい伴侶が現れる。
そう信じ、彼の恋を応援し続けるヴェロニカは、自分が選ばれる未来など想像もしない。
しかし彼女の献身は、義弟の静かな執着と独占欲を確実に育てていた。
「姉上は、最初から僕のものですよ」
勘違いに気づいた時には、すでに逃げ道は閉ざされている。
甘く、重く、逃がさない――義弟の歪んだ執着に囚われるTL短編。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる