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48話 初仕事
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私は家に帰った後、早く朝になって欲しいと思いながら寝床についた。
本当は、帰ったらすぐに会いに行きたかったけれど、子どもはもう寝ている時間だから、今起こしに行ったらかわいそうだもの。
馬の飼育係の朝は早い。
私は朝の陽ざしで、庭が明るくなってから、彼に会いに行った。
厩舎のそばまで行くと、何やら話し声が聞こえてきた。
「ははっ、ここかな? えっ?もうっちょっと右だって?」
「クラック、誰と話しているの?」
声の主、クラックは、馬の世話をしているところだった。
「聖女様、おはようございます。この子がお腹がかゆいって言うから、僕がかいてあげてたんです。」
「まあ、クラックは馬ともお話ができるようになったのね。」
「はい。まだ少しですが・・・。」
「鳥とネズミはどう?」
「はい。聖女様に言われて、あれからもっと親しくなりました。自分の能力を磨くって、こういうことなのかな?って・・・」
「まあ、クラック、偉いわ。」
私とクラックが話をしていると、厩舎の責任者のおじさんが声を掛けてきた。
「お嬢様、おはようございます。クラックはどうやら馬の考えていることがわかるようで、わしも助かっております。」
「まあ、それは良かったわ。ちょっとクラックを借りるわね。」
私はクラックを賓客専用応接室に連れて行った。
クラックは、初めて入る応接室に、目をキョロキョロしている。
「クラック、座ってね。」
「はい。聖女様。」
クラックはソファに座ったけれど、ふかふか過ぎて、なんだか落ち着かないみたい。
その気持ち、私にもわかるわ。
「今日は、あなたにお仕事を依頼するために呼んだの。もちろん、これは正式な依頼だから、ちゃんと報酬は払います。」
「いえ、聖女様、こんなに良くしていただいているのですから、お金なんていりません。」
「それはダメよ。あなたはその能力に相応しい対価を得なければならないわ。だから、受け取りなさい。これはあなたの初仕事なのよ。」
「あ、はい・・・、わかりました。では、どのような仕事なのですか?」
私は鏡の絵を見せた。
「この鏡が、どこにあるのか探してほしいの。あなたの能力を使って・・・。」
「すごく大きな鏡ですね。ユリの花の彫刻のある木枠が目印か・・・。わかりました。やってみます。」
「じゃあ、しばらく忙しくなるだろうから、馬のお仕事は休んでもいいわ。責任者には私からも話しておくわね。それからこれは、軍資金。必要なものは何でも買ってね。足らなかったら言ってちょうだい。」
「何から何までありがとうございます。」
この後、クラックは屋敷を出て、王都中を歩き回ったらしい。
買い物に出かけたメイドが、たまたまクラックを見かけたそうだが、彼の周りには猫がうじゃうじゃいて、クラックから餌をもらっていたと話してくれた。
シューク様とクリード様も闇魔法の使い手を調べているそうだけれど、まだ犯人を特定するには至っていない。
三日後、私が神殿で祈りを捧げている最中、クラックが私に会いに来た。
本当は、帰ったらすぐに会いに行きたかったけれど、子どもはもう寝ている時間だから、今起こしに行ったらかわいそうだもの。
馬の飼育係の朝は早い。
私は朝の陽ざしで、庭が明るくなってから、彼に会いに行った。
厩舎のそばまで行くと、何やら話し声が聞こえてきた。
「ははっ、ここかな? えっ?もうっちょっと右だって?」
「クラック、誰と話しているの?」
声の主、クラックは、馬の世話をしているところだった。
「聖女様、おはようございます。この子がお腹がかゆいって言うから、僕がかいてあげてたんです。」
「まあ、クラックは馬ともお話ができるようになったのね。」
「はい。まだ少しですが・・・。」
「鳥とネズミはどう?」
「はい。聖女様に言われて、あれからもっと親しくなりました。自分の能力を磨くって、こういうことなのかな?って・・・」
「まあ、クラック、偉いわ。」
私とクラックが話をしていると、厩舎の責任者のおじさんが声を掛けてきた。
「お嬢様、おはようございます。クラックはどうやら馬の考えていることがわかるようで、わしも助かっております。」
「まあ、それは良かったわ。ちょっとクラックを借りるわね。」
私はクラックを賓客専用応接室に連れて行った。
クラックは、初めて入る応接室に、目をキョロキョロしている。
「クラック、座ってね。」
「はい。聖女様。」
クラックはソファに座ったけれど、ふかふか過ぎて、なんだか落ち着かないみたい。
その気持ち、私にもわかるわ。
「今日は、あなたにお仕事を依頼するために呼んだの。もちろん、これは正式な依頼だから、ちゃんと報酬は払います。」
「いえ、聖女様、こんなに良くしていただいているのですから、お金なんていりません。」
「それはダメよ。あなたはその能力に相応しい対価を得なければならないわ。だから、受け取りなさい。これはあなたの初仕事なのよ。」
「あ、はい・・・、わかりました。では、どのような仕事なのですか?」
私は鏡の絵を見せた。
「この鏡が、どこにあるのか探してほしいの。あなたの能力を使って・・・。」
「すごく大きな鏡ですね。ユリの花の彫刻のある木枠が目印か・・・。わかりました。やってみます。」
「じゃあ、しばらく忙しくなるだろうから、馬のお仕事は休んでもいいわ。責任者には私からも話しておくわね。それからこれは、軍資金。必要なものは何でも買ってね。足らなかったら言ってちょうだい。」
「何から何までありがとうございます。」
この後、クラックは屋敷を出て、王都中を歩き回ったらしい。
買い物に出かけたメイドが、たまたまクラックを見かけたそうだが、彼の周りには猫がうじゃうじゃいて、クラックから餌をもらっていたと話してくれた。
シューク様とクリード様も闇魔法の使い手を調べているそうだけれど、まだ犯人を特定するには至っていない。
三日後、私が神殿で祈りを捧げている最中、クラックが私に会いに来た。
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