令嬢に転生したけど婚約破棄されたので侍女として成り上がります。

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メイドさんがドアを開けると三人の人が入ってきた、背の低い小太りした優しそうな中年男性と涙を浮かべながら微笑みかけてるブロンドヘアーの中年女性、そしてその影に隠れるようにしてこちらを嬉々とした表情で見ている中学生くらいの女の子だ。どうやらシェルエッタの家族のようだ。

「まぁ！美しくし仕上がってますね。ミクラ、上出来よ。」
「ありがとうございます。マミネッダ様。」
「おぉ、まさに人生で一番の晴れ舞台にふさわしい。これで我がテールミス男爵家も家の格も上がり、″成金“と呼ばれずにアルミナも見習いなさい。」
「はい、お姉様のお美しさにアルミナも憧れてしまいます。」
「ははっ、ありがとう…」

家族らしき人物がそれぞれ涙を浮かべながら感想を述べる。そして、今着ているドレスがウエディングドレスだったことが分かり、急にこれから式をあげるのが現実味を帯びてきた。えぇ…私ウエディングドレス着ちゃった…。

「それでは皆さま、相手方を待たせるわけにはまいりませんので、そろそろ広場の方へシェルエッタ様をお連れしますね。」
「おぉ、そうだな。
「引き留めて悪かったわね。」
「いや～もう少しお話ししてもいいんじゃないですか？心の準備が～。」
「大丈夫です。シェルエッタ様ならすぐに慣れてしまいますよ！」

そうメイドのミクラが私を促し、部屋を出る。

「ちっ。」

家族の横を取りすぎる際、アルミナちゃんに舌打ちをされてしまう。
どうやらアルミナちゃんは、姉の晴れ姿があまりお気に召さなかったようだ。

「では、お嬢様この扉の向こうが会場になります。入られましたら。正面の椅子にお座りなってください。」
「わ、わかったわ。」

私の返事と共にミクラは扉を開ける。それと同時に、なんとも猛々しい怒声が聞こえてきた。

「ええい！あんな女など認めない！婚約は破棄だ！」

会場では黒髪の大男が怒声を放っていた。